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1812/1996

新しい物語について相談を受けました



「それで相談っていうのは?」

「次回も同じ物語を、としていいのかどうかです。新しい物語を考えた方がいいのかなと」

「うーん、全く同じのを何度もだと飽きてしまう事もありますから、どちらかと言えば新しい物語の方がいいのかもしれません」

「やはりそうですか……」

「ただ、アレンジを加えたり、演じる人を変えるだけでも新鮮に感じる事もあるので、必ずしも新しいものをというわけではないとは思います」


 例えば、リーザが求めたようにレオが出演したりな。

 今日やった物語では、悪を打倒する側のフェンリルをレオにすればいいだけだ。

 体の大きさも違うので、それだけで違うもののように感じれるかもしれないし。


「成る程……」

「新しい物語を考える、といってもそんなにすぐポンポン考え付くものではありませんし……」

「それはまぁ」


 ちょっとした話程度ならまだしも、今回ヴォルターさんが考えたのは結構壮大な、国一つの存亡が関わってくるような内容だったからな。

 お芝居にしても、一時間近くのものだったし……同様のものを一日や二日で、いくつも作れるわけじゃないと思うからなぁ。

 そうして、休憩がてらヴォルターさんと相談をしていく。

 基本は今ある物語をアレンジしたり、出演者希望などが他にいれば人を代えたりする方向になる。


 とはいえ、それだけだと俺もそうだったけどヴォルターさんも考えたように、飽きられてしまう可能性があるので、別の物語も作っていきながらだ。

 それだけでなく、物語というものに興味を持った人もいたらしいので、そういう人達と協力、もしくはそれぞれで物語作りをしたり、募ってみるのもいいかもしれないという話になった。

 ただエッケンハルトさんが物語作りというのに興味を持ち、自分もやろうかなというような事を言いだしたので、それなら主演してみるのはどうか? と提案してみる。

 こちらの世界の子供達は大人も含めて、割と英雄譚や勧善懲悪の壮大な物語の方が人気が出そうだし、貴族とか出てくるようなのでどうせなら本物の貴族が出てもおかしくはない、かもしれないし。


 俺としては、子供達に読み聞かせる絵本が基本として頭の中にあるから、ちょっとした教訓的な話をと思うんだが……。

 まぁ子供達が喜ぶならそれでいいか。


「ふっふっふ、私が出るからにはもっと激しく、ぶつかり合うような内容のものにせねばな。ふむ、私も一つ考えてみるのも一興か……」


 などなど、俺の提案を聞いたエッケンハルトさんが、乗り気になってブツブツと何やら考え始めたりもした。

 ……なんとなく、全部任せたら出来上がったものが戦闘しかないような物語になりかねない、という気がしたけど、とりあえず楽しそうなのでこのままにしておこう。

 ヴォルターさんと各自で物語を募ってできたものに関しては、精査するというか内容を確かめてふるいにかけると、コッソリ決めたしな。

 多くの人が物語を作ったとして、その全てをお芝居として披露……というのは内容的な事だけじゃなくて難しいだろうし。


 難しくなる程の数が出てくるかどうかは、わからないけど。

 ともかく、ヴォルターさん本人はこれからも考えるとして、流行ではないけどこのままお芝居、演劇というものが皆の娯楽になるのもいいかもしれない。

 畏まったものではなく、有志のお芝居で皆を楽しませてくれる、誰でも自由に参加できる催しみたいな感じで。

 まぁ、どうなるかは始まったばかりでもあるので、これからに期待だが。


「ありがとうございます、タクミ様に相談して良かったです。おかげで、今後も続けられそうです」

「いえいえ。まぁまた何か相談があれば気軽に持ち掛けて下さい」

「はい!」


 大きく頷いて、話しかけてきた時とは打って変わった晴れ晴れとした表情で、相談を終えたヴォルターさんが屋敷の中に戻って行く。

 その背中に……。


「あまり根を詰め過ぎて、無理をしないようにして下さいねー! じゃないと、いい物語とかは作れないかもしれませんからー!」


 と声をかけるだけはかけておく。

 これから図書室に行って、また色々と練ってみると言っていたから、カナンビスの事をセバスチャンさんと調べてくれた時のように、夜通しとかありそうだし。

 あの時は疲れはありありと出ていたけど、どこか楽しそうでもあったからなぁ……本当に無理しなければいいけど。


 とりあえず、誰かに無理をしないよう定期的に様子を見るようお願いしておこう。

 そう考えながら、まだ考え中のエッケンハルトさんに声をかけて、素振りの鍛錬へと戻った――。



「さて、全てではないが一部の調査隊も来た事だし、本腰を入れて調査を開始せねばな」

「はい」

「そうですね、お父様」


 翌日、朝のうちにやる事をやっておいて昼食前に、再び執務室に集まる俺、エッケンハルトさん、クレア。

 さらにルグリアさんやフィリップさんなど、元々森の調査をしてくれていた人達に加え、プレルスさん達ラクトス周辺から集まった調査隊の隊長さん四人を加えた。


「とりあえず、現状ですけど……」


 森を調査する事に関して、あらましは昨日のうちにプレルスさん達には伝えてあるけど、改めてと現状の進捗も含めてルグリアさんへの確認も交えつつ、皆へと話す。

 新しい異変というか、痕跡などはあれから見つかっていない事もだ。


「かなり前の痕跡の方には、見張りを付けていますけど人の数が足りていないので少数で当たっているのが現状です。ですので……」


 現状を伝えた後は、調査隊の割り振り。

 ラクトスからの調査隊は二百名、四隊になっているので、一隊五十名での行動を基本に割り振ると、エッケンハルトさん達と話をしていた。

 もちろん、細かに分ける必要があればその時は別で考えるけども。

 とりあえず、最初にフェンリルが見つけた村から北東の森の入り口付近にあった痕跡、というか足跡だな。


 痕跡を発見して以来、調査をする人達以外は近付いていないけど、こちらにも念のため見張りの調査隊を一隊配置。

 とはいえ五十人全員が見張りというのも多すぎるので、交代でというのと、森に踏み込むのも含めて周辺の調査もしてもらう。

 まだあちらで調べられていない何かを、発見できる可能性もあるからな――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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