プレルスさん達から詳細な聞き取りを開始しました
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「まぁ、何か思いついてできそうだったら、やってみますよ。俺がじゃなくて、誰かに任せて作れそうならでもありますけど」
「うむ、うむ! 何か思いついたら、すぐに私に報せてくれ! できる協力はすると約束しよう!」
興奮気味に言うエッケンハルトさん。
エッケンハルトさんが協力してくれるなら、物を作る事に関して任せる人も探してくれそうだ。
作る物も定まっていない状況ではあるけど。
「お父様は、自分が遊びたいだけな気がしますが……」
「まぁまぁ。遊びばかりじゃいけないだろうけど、そういうのも悪くないかもしれないよ?」
遊びは心を豊かにする……可能性もあるからな。
のめり込み過ぎて、殺伐とした精神になってしまう人もいるにはいるが。
要は、やり方、付き合い方次第だ。
人との関係性を取り持つ道具にもなり得るから、娯楽というか遊びやそのための道具を求める事に、俺は肯定したい。
なんて、子供達やリーザが仲良く遊んでいる姿を想像しながらそう思う。
あ、でも今はレオやフェンリル達がいるから、そちらに子供達が夢中になったら焼きもちを焼くかな?
フェンリル達も参加できるようなルール、遊びを考えた方がいいかもしれない……賢いフェンリルなら理解できるだろうし。
もしかしたら、簡単な遊びくらいはすぐに考えられると思ったけど、意外と大変かもしれないな……。
なんて考えつつ、遊びについての相談やリーザからも意見を求めたりなどをして、屋敷へと戻った。
道中、プレルスさんだけはちょっと置いてきぼりになっている感があったけど――。
「ふむ……やはりラクトスやその周辺では、特に目立った何かがあるわけではないか。カレスから街での噂などで確認はしていたが……」
娯楽についての話をしながら屋敷に戻った後、俺の執務室でエッケンハルトさんやクレア、それにプレルスさんなど新たに来た調査隊の隊長さん達を加えての会議。
野営準備や輸送隊の出発など、滞りなく予定が進んでいる事の報告後、ラクトス周辺で怪しい動きがないかの確認のため、エッケンハルトさんからプレルスさん達にいくつか質問されていたが、それも全て異常なしと判断できるものだった。
カレスさんには街での噂話などを主な情報源として聞いていたけど、改めて公的機関というか、取り締まる側の衛兵もやっていた調査隊の面々に聞いても何も出ない。
という事は、本当にラクトス周辺ではカナンビスなどに関わる何かはないんだろう。
「はっ! タクミ様方がここランジ村へ移動される前後で、賊を捕まえましたが……それらも、今回の事に関与しているような情報はありません」
俺達が移動する前後っていうのは、ユートさんが壊滅させたウルフを強制的に従魔にして、悪だくみしていた集団の事だろう。
俺は見ていないが、主にユートさんよりルグレッタさんが暴れたらしいけど。
「そちらの報告は受けている。ウルフを利用する者達だったか……こちらの件とは無関係なのだろうな」
「調査隊編成以前、公爵様から情報収集を命じられた際にも考慮いたしましたが、我々の方でもそう判断いたしました」
「うむ」
ウルフを利用していた賊がどうなったか、という詳細はともかく……捕まえた事やその後の聴取については多少聞いている。
単にウルフにやらせれば、自分達で手間をかけるより街に出入りしている人達からの収奪が楽だったから、というような理由らしい。
そのために、ヴォルグラウは別口としても、ウルフを利用するのは許しがたいと少し怒りを覚えたくらいだ。
いや、自分達で手間をかければいいってわけではないけど。
「タクミ様やセバスチャン殿が調べ、話したデウルゴという男との繋がりも、特に深い物ではないようでした」
「そのようだな。ただ単に、ウルフを探している際に利用されただけのようだ」
デウルゴ、ウルフのヴォルグラウと強制的に従魔契約をして、訓練と称して虐待と思える事をしていた男だ。
そのデウルゴがヴォルグラウと契約する際の話で、他の集団と一緒に行動したような事を言っていたんだけど、それがユートさんやルグレッタさんが壊滅させた賊だったってわけだ。
その時既に賊はウルフを数体確保してもいたんだろうけど、追加で増やそうとかそういう事なんだろうな。
デウルゴ自身はともかく、賊の方はウルフを育てる……訓練させればフェンリルとかも相手にできる、とかはさすがに信じていなかったらしいが、そういった考えとか話があるなどは知っていたようだ。
実際にフェンリルとウルフを間近で見ていると、いくら厳しい訓練をしても、簡単にはいきそうにない事がわかるんだけど、どこでそんな話が出ているんだか。
ヴォルグラウなんて、ヴォルターさんと仲良くしているけどフェンリル達の前ではまるで、子犬のような扱いだからな。
いやまぁ、これはヴォルグラウがというよりフェンリル達が、子犬を見守るように温かい目で見ているような雰囲気だってのもあるんだけど。
ともあれ、賊の方はただ単に楽して人を襲い、お金や物を奪うためにウルフを利用していただけって事だろう。
「私が近くにいながら、その賊の存在に気付きませんでした……申し訳ありません、お父様」
「いや、確かにもっとよく見ておくべきだった、というのは簡単だろうが、相手も巧妙だったと言えるだろう。ウルフに襲わせる事で、魔物が原因と見せかけて人が関わっているとは思わせないように、とも考えていたのだろうな」
クレアが悔しそうにするのを、エッケンハルトさんがフォローする。
森の奥に潜んで、スラムの人達にすら溶け込むユートさんがいなければ、少し怪しい噂がある程度だったから、クレアが気付かないのも仕方がなかったんだろう。
特に怠けていたとか、見て見ぬふりをしていたわけでもないんだしな。
「実際、賊のほとんどは日頃街に出入りし、怪しまれる事はなかったようです。ウルフの目撃情報や、街道を行きかう者達を襲う、という話は増えてはいましたが……多くはありませんでした」
人を襲う数を少なくする事で、さらに自分達に疑いの目を向けないようにさせていたのかもしれない。
被害が大きくなればなる程、調べられる可能性などは上がるだろうからな。
そういう意味でも、巧妙だと言えるしユートさんやルグレッタさんが見つけてくれて良かったと思う。
ウルフも、ともすれば人を襲ったりする危険な魔物かもしれないが、だからって無理矢理従わされて人を襲いたいとまでは考えていなかっただろうし……。
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