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18/1981

皆で朝食を取りました



「このサラダ、美味しいですね」

「フフ、お口に合ったようで何よりです」

「スープも美味しいですよ、タクミさん!」

「ワフワフ……ガフガフ!」


 サラダは青野菜のサラダのようだ。

 朝だからか、さっぱりしたドレッシングで食べやすく、パンに合わせて食べるとさらに美味しい。

 ティルラちゃんに勧められたスープの方も、肉が入ってるのにさっぱりとした味だ。

 朝からこんなに美味しい食事をしたのはいつ以来かな……。


「レオ、ちょっとがっついて食べ過ぎだぞ。誰も取らないから落ち着いて食べなさい」

「レオ様は良く食べますね」

「レオ様、凄い勢いです!」

「ガフガフ……ワウ?」


 勢いよく食べてたレオが皆に見られてるのに気付いて顔を上げて首を傾げた。

 ……ちょっとかわいいじゃないか……まぁ、クレアさんも気にしてないようだし、そのまま全部食べてればいいか。


「あ、セバスチャンさん。ちょっといいですか?」

「はい、何でございましょう?」


 食べてる最中にセバスチャンさんに声を掛けるのは行儀が悪いかもと思い、ササっと自分の分を食べ終わってから声を掛ける。

 急いで食べたけど、昨日の夕食に続いてこの朝食も美味しかった。

 手招きをして、近づいて来たセバスチャンさんの耳に口を近づけ小声で話しかける。


「あの、すみませんが着替えとかってありますか? 何も持たずにこちらに来たもので……」

「それは気付かず申し訳ありません。着替えですか……私と似たサイズでよろしければ準備出来ますよ」

「お願いします。あと、髭を剃りたいのですが……」

「そちらもご用意させて頂きます。後で部屋に持って参りますので」

「ありがとうございます。お願いします」


 髭を剃るの部分からは特に小声になった。

 女性にあまり聞かせる話じゃないからな。

 まぁ、何となく恥ずかしかったからというのが一番だけど。

 話し終えたセバスチャンさんはライラさんの元へ行き、耳打ちをしてライラさんが部屋を出て行く。

 ……あ、ライラさんには伝わるんだな……。


「タクミさん、セバスチャンと何の話を?」

「いえ……ちょっと身だしなみに関して相談があったので」

「そうですか。セバスチャンもライラも、優秀な執事とメイドです。何かありましたら使って下さいね」

「はい。……ゲルダさんは違うんですか?」

「ゲルダはまだ新人なので、これからに期待ですね。ふふふ」

「粉骨砕身、頑張りたいと思います!」


 ゲルダさん、ちょっと肩に力が入り過ぎじゃないかな?

 本人が頑張るって言ってるんだから水を差す事もないかもしれないが。

 緊張しすぎると思わぬところでミスをしてしまいそうで怖い……。

 まぁその時はその時か。


「姉様、食べ終わりました! これでレオ様と遊べますね!」

「ティルラ、少しは落ち着きなさい」

「……すみません」

「ははは。ティルラちゃんごめんね、レオがまだ食べてる途中だからもう少し待ってくれるかな?」

「はい、わかりました!」


 クレアさんに軽く怒られて、しょんぼりしそうだったティルラちゃんだが、俺が言うとおとなしく待つ事にしたようだ。

 レオの方を見て食べ終わるのをニコニコしながら待ってる。


「……タクミさんはご兄弟とかおられるのですか?」

「え? いえ、兄弟に憧れはしたりしましたが、いませんよ」

「そうですか……子供の扱いに慣れてるように見えましたので」

「ははは。それはレオのおかげですね」

「レオ様の?」

「はい。仕事で忙しくて……今まであまりレオに構ってやれなかったんですが、たまにレオを外に連れ出すとよく近所の子供が寄って来たんです」

「成る程、それでなのですね」

「近所の子供達とレオを遊ばせてるうちに慣れる事が出来ました。それにレオも子供が好きなようでしたし」


 たまに子供のパワーって凄いよな。

 でも、そんな子供のパワーに負けなかったレオ、俺の方は負けそうだったから扱いを覚えたと言った方が正しいのかもしれない。

 俺に向かいそうになった子供達をレオに向けたり、何とかおとなしくさせたりしてたもんだ。

 そういえば、集まって来てた子供達のうち特にレオを気に入ってた女の子は今どうしてるかな?

 俺だけじゃなくレオもこっちに来たから寂しがってるかもしれない。

 確かその子、今のティルラちゃんと同じくらいだったっけ、レオと遊ぶ事で頭がいっぱいな所とかよく似てるな。


「ガフガフガフ……ワフー」

「お、食べ終わったか?」

「レオ様が食べ終わりました!」


 レオの前に、皿に積んであるという表現が正しい程盛ってあったソーセージが全部無くなっている。

 がっついて食べてたレオはソーセージが無くなると、一息とばかりに横に置いてあるバケツのような入れ物に入ってる牛乳を飲んで息を吐いた。

 ……レオ、女の子がその仕草をするのはちょっとまずいんじゃないか?

 まぁ、狼とか犬の世界では良いのかもしれないけどな。


「クレアさん、レオとティルラちゃんを遊ばせても良いですか?」

「はい、構いませんよ。それじゃあティルラ、裏庭に行くわよ」

「はい!」

「あ、クレアさん」

「はい、何でしょう?」

「しばらくの間、レオをお願いしても良いですか? 俺はさっきセバスチャンさんと話してた件で、部屋に一旦戻るので……」

「わかりました。レオ様、タクミさんと離れますけど大丈夫ですか?」

「ワフ?……ワウ!」


 満腹で満足そうにしてたレオがクレアさんに声を掛けられ、一瞬驚いたような表情をしたが、承諾するように頷いた。


「それではタクミ様、また後で」

「はい。後で俺も裏庭に行きますね」

「レオ様行こー!」

「ワフワフ」


 客間からクレアさん、レオ、レオの背中に抱き着いて運ばれるティルラちゃんが出て行く。


「あ、ゲルダさんちょっと待って下さい」

「はい、何でしょうか?」

「……すみませんが、部屋まで案内してもらえますか?」

「畏まりました」


 クレアさん達について部屋を出ようとしたゲルダさんを呼び止め、部屋への案内をお願いした。

 ……まだ部屋までの行き方がわからないからな……迷子になるのは案内をお願いするより恥ずかしい。

 クレアさん達の方はセバスチャンさんがついて行き、俺はゲルダさんの案内で部屋へと戻った。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はブックマークを是非お願い致します。


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