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試験的なフェンリル便ができそうでした



「そうでした、これを言うのを忘れていました。今魔物と遭遇する可能性の話をしていましたけど、もし魔物がいてもフェンリル達なら、兵士さん達の手を煩わせずすぐに倒すなりして進めるはずです。数にもよりますが……やろうと思えば、馬が走る速度くらいのまま走りつつ魔物を倒して進むなんて事も」


 倒した魔物をそのままにする事になるから、急いでいる時限定ではあるけど。

 フェンリル達なら馬車を曳きつつ、適当に魔法で氷漬けにするなりして走り去るなんて事もできるはずだ。

 後ろのフェンリル達は、任せてと言うように頼もしい鳴き声を上げているしな。

 まぁさすがに、馬車を曳きつつ激しく飛び掛かるとかはできないだろうけど……そんな事をしたら、繋がっている馬車が大変な事になるからな。


 ともあれ、通常時に魔物と遭遇したら一旦全体の馬車を止めて、兵士さん達が対応して片付けた後、再び出発……という手順が省略できたり、時間を短縮させたりもできる。

 フェンリル達なら、喜んでお片付け用の穴を掘ってくれるだろうし、人の手で掘るよりはかなり早いはずだ。


「ただ、絶対的にフェンリル達が曳く事がいいわけでもなくて……」


 一応念のため、デメリットの話もしておく。

 食べる量が多いというのもあるが、それだけでなくフェンリルに任せて速度を出し過ぎると馬車の方が故障する可能性だ。

 もちろん、馬車自体がそれなりに丈夫に作られているし、軍で使っている物なので補強されて頑丈になっているだろうけど、さすがに全速力で走ったらどうなるかわからない。

 いやまぁ、全速力の場合は新馬車ですら危ういだろうけど。


「すぐに壊れる、という事はなくても走っているうちにという事もあり得るので、そこは気を付ける必要はあるんですけど……」

「な、成る程……」


 他にも、現状馬がいるのでそれらをラクトスに行かせないといけないため、あまり速度は出せないだろうけど、馬車は全てフェンリルに曳かせておけば、馬の方も疲れにくいし馬車を曳く時よりは速度を出せると思われる……。

 等々、フェンリルを使う利点もさらに伝えてアピールしていく。

 そこまで輸送をフェンリルに任せる事に対して、必死になる必要はあまりないんだけど……兵士さん達にも、フェンリルに慣れて欲しいと言うのがあるからな。

 あと、駅馬のためにフェリーが集めて連れて来てくれたんだし、活躍したいと考えているフェンリルもいるようだし。


 森の調査には協力してもらっているし、何かしら細々とした事は手伝ってもらったりはしているんだが、それでは大量にいるフェンリル達全てがというわけでもなく、暇そうにしているのもいるからなぁ。

 まぁ大半は、適当な場所でひっくり返ってへそ天状態で、のんびり日向ぼっこしながら寝ていたりもするんだけど。

 ただこの話をフェリーにした時、他のフェンリル達が尻尾を振って楽しそうにしていたから、何かしたいと思っているんだろう。


「どうでしょう? もしかしたらフェンリルを恐れて、不満を持つ人などもいるかもしれませんが……」


 兵士さん達が輸送のためにフェンリル便になってくれれば、対外的にも良く駅馬が開始した時に、一般の人が使いやすくなるかも? という目論見もあったりはする。

 フェンリルだけでなく、兵士さん達も目立つからな。

 それらの考えなども含めて、輸送隊長さんがどう判断するか……。


「いえ、レオ様も含めて、フェンリルに不満を持つ者は我が隊にはおりません。皆、ラクトスで過ごすレオ様やタクミ様。そしてフェンリル達も見ておりますから」

「そうなんですか?」

「タクミ様、輸送隊のメンバーは全て、ラクトスで衛兵を務める者などのみで構成されております。性質上、ラクトスを出入りするためですが」


 プレルスさんが輸送隊長さんの言葉を補足する。

 成る程、輸送隊の人達はラクトスで過ごしていたからこそ、出入りも簡単になるし、俺達を見た事もあって、プレルスさんのように多少はレオやフェンリル達に慣れている、というわけなんだろう。

 よくよく見れば、馬車の近くで木箱を持ってあれこれやっている兵士さんの中には、見た事のある気がする顔がちらほらと……。


 あ、あの人は以前、フェンリル達が森で狩った魔物を引き取ってくれた人だ。

 その節は、大量に押し付けてしまって申し訳ありません……など、目が合ったのでそんな気持ちを込めて会釈しておいた。


「それなら……?」

「はい。今回の話、お受けいたします。――おい!」

「はっ!」


 窺うように輸送隊長さんを見ると、まだ少し戸惑いのような色が見える表情ながらも、しっかりと頷いてくれた。

 続いて、馬車の方にいる兵士さん数名を呼び、簡単に事情説明。

 馬車に繋いで出発準備を整えていた馬を外し、この事を知らせろと命じる……部隊への伝令役だな。


「タクミ様、馬車を曳いていただくフェンリルの事なのですが……」

「あ、それなら……」


 その後、輸送隊長さんと馬車に繋げるフェンリルは、一台に付き一体でも二体でも大丈夫な事などを伝え、相談のもと決定していく。

 基本的にはラクトスへ向かう際には馬車の荷物が少なく、軽いため一台に一体でいいだろうと、フェリーとも話して決まった。

 他のフェンリル達は、ラクトスからランジ村に向けて出発する際に、二体でとなるが、そうなるまでは護衛役のように周辺を走ってもらうと。


 自由に動けるフェンリルがいるなら、先行して魔物を倒してもらったりもできそうだ。

 鼻を使っての索敵? とかも広範囲にできそうだと、色々話をしたら輸送隊長さんは喜んでいた。

 どのくらいの距離がわかるのかまで話したら、ちょっと顔が引き攣っていた気がするけど。


「あとフェンリル達が食べる物は、調理済みを好むので基本的に兵士さん達と同じ物で大丈夫です。好みは多少違いますけど、大体は……」


 簡単にハンバーグの作り方を教えて、それを焼いて食べるので十分だと伝える。

 フェリー達曰く、ヘレーナさんが作るような凝ったソースがなくても、おいしく食べられるのだそうだから。

 まぁハンバーグの話になって、フェリー含め一部のフェンリル達が尻尾を大きく振りながら、よだれを垂らしそうな勢いになっていたけど……作り方を教えただけで、今作るわけじゃないからなー。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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