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女性の深い関心を集める物が届きました

ブックマーク登録をしてくれた方々、評価を下さった方々、本当にありがとうございます。


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 ニックに関しては……悪人と見られ、まったく罪を犯していないわけではなかったニックを、更生してくれればという思いだったけど……今考えると、結構無茶をしたなぁと思う。

 もしニックが根っからの悪人で更生できなかった場合、カレスさんだけでなく多くの人に迷惑をかけてしまっていただろうから。

 例えレオが臭いを覚えて、悪さをしようものなら追いかけるし捕まえるという保証があったとしてもだ。


 あの時はこの世界に来たばかりで、色々とわからない事が多くて突拍子もない事を考えてしまっていた、と今では思う。

 多分だけど、同じ事があっても今度はニックのように雇うとまではしない気がするなぁ。

 なんて、話が逸れてしまったが、とりあえずスラムの現状なども確認して、客間での話を終える。

 ちなみにマリエッタさん曰く、スラムを脱しようと思う人が多く、治安も街全体を悪化させる程ではないようだから、ティルラちゃんに協力して道を示して行くのはそんなに難しくないだろう、と言っていた――。



「いよいよ……ですね……」

「そんなにすぐ効果が目に見えて出るものでもない気がするけど、そうだね」


 大広間で、とある箱の中に並んでいる瓶を見て、神妙に呟くクレア。

 周囲には使用人さんなど、屋敷にいる女性の多くが固唾を飲むようにしてこちらを見ている……皆、深刻になり過ぎじゃないかな?

 とは思うが、女性にとっては重要な事かもしれないので、これも仕方ないんだろう。


 あれから、客間を辞すカレスさんとニックは客室に案内され、少しだけエッケンハルトさんやクレアと談笑して過ごした。

 さらに少し経って、昼食やティルラちゃんと一緒に鍛錬をしたりなどをして、アルフレットさん達と薬草畑に関する書類の確認などをして終わりそうな頃、申し訳なさそうにしながらも執務室に飛び込んできたのはユートさん。

 ……申し訳なさそうと、飛び込むの二つは相いれないもののような気がするけど、それを実際にやるのがユートさんだ、というのはどうでもいいか。

 どうやら、届いた物を俺に渡すの忘れていたのを思い出したらしい。


 ただユートさん自身は、その物自体がどうなるのかまであまり興味ないのか、というかまだ他にやる事があるらしく、物を俺に届けただけですぐルグレッタさんに連れて行かれてしまったけど。

 細かい事に関しては、箱……一抱え程もあるずっしりとした物の中に、一緒にメモ書きというか取扱説明書というか、それらしい物が入っているので読めば問題ないとの事だ。

 そういう事なので、とりあえずユートさんには後で結果を報告するとして、客間などの適当な場所で試そうと思っていたんだけど……事がライラさんやゲルダさんに伝わり、さらにクレアにも伝わる。

 さらにどこをどうしたらそんな伝達速度が出せたのか、と疑問に思う程の速度で、気付けば屋敷中の女性達に伝わり、現状屋敷内にいるほぼ全員の女性が集まってしまったため、大広間を使う事になったわけだ。


 ちなみに、ユートさんを連れて行ったはずのルグレッタさんもいつの間にか参加していたりする。

 ルグリアさんは森の調査のため不在だけど、エッケンハルトさんから訓練を受けているはずのヨハンナさんを始めとした女性の護衛兵さん達と、近衛護衛さん達。

 さらには女性使用人さんだけでなく、ウラさん達女性従業員さん、ヘレーナさんを始めとする女性の料理人さん達等々、急遽こんなに集まって色々と大丈夫か? と心配になる程の人達が集まった。

 皆、集まった時は目がらんらんと輝いているように見えたし……俺の錯覚かもしれないが。

 女性の美への欲求、恐ろしや……。


「えっと、何々……?」


 箱の中にあった、取扱説明書と見られる数枚の紙を取り出し、素早く用意されたテーブルでクレアと一緒に読む。

 ……気付いたらテーブルが用意されていたけど、いつにも増して迅速な動きをしたのはゲルダさんだった。

 いつもなら転んでもおかしくないのに、それだけ期待しているという事なんだろう。


「椿油は……」


 箱の中にあるのは、俺が作ってユートさんに抽出するよう頼んだ物……椿油だ。

 まぁまだ試作段階らしいけど。

 ともかくその椿油は、一抱え程もある木箱いっぱいに瓶詰で入れられている。

 一つの瓶は大体百ミリリットルくらいだろうか? 化粧瓶になみなみと液体が入れられていて、それが数十個ってところだ。


 試作であくまで試供品だけど、確かな効果で集まった人たちに配るとしたら一人一瓶はさすがに足りなさそうだし、二、三人で一つを使ってもらう事になるかな。

 さて、肝心の説明書に書いてある事だが……抽出方法に関してと、使用方法に関しての詳細だ。

 使用方法はざっくりとこう使えばいいのでは? という感じだけどそれは試作だから仕方ない。

 ただ……。


「……効果は確実にあるはず、と書かれているのが気になるなぁ」

「そうですか?」

「だって、確実な自信があるのなら、試す必要なんてないだろうし……どういう事なんだろう? あ、こっちに書いてあった」


 説明には「確実に」と書かれているのに、「はず」で締められているのが気になったけど、その理由は次の用紙に書かれてあった。

 なんでも、作った人達も試してみたらしいんだけど、その時に効果ははっきりと出たらしい。

 ただしそれは、数名で試したのみで個人差などを調べるまでには至っていないからという事みたいだ。


 つまり、確かに効果は出たけど他の人や条件などが違ったら効果が出ないかもしれない、ってわけだな。

 化粧品に限らずだけど、よくある効果は個人差がありますってやつだ。


「ふむふむ……液体の抽出量と使う椿の数や部位もちゃんと書かれているんだ……」

「結構な量が、一つの椿で採れるみたいですね?」


 椿一つに対して、箱に入っている瓶数個分の油が抽出できるらしい。

 俺はむしろ、複数の椿で瓶一つ分くらいに考えていたから、これは嬉しい誤算ってやつだろう。

 この世界での椿が、地球の物とは似ていてもやっぱり少し違うって証明でもあるかもしれないが。

 あと、抽出方法は単純に椿の種子と花を絞って出た液体に、乾燥した根を漬け込んで取り除き、何度か濾過するらしい。


 濾過とかはまぁわかるけど、乾燥した根を使わないといけないのか……。

 確か、俺の『雑草栽培』による状態変化ではっきりと変化が起きたのは、乾燥状態になった根っこだけだった。

 もしかしたら、椿油の効果のように肌とか髪の修復機能とか何かに作用する効果を、根っこが持っているのかもしれない。

 適当に修復機能とか考えたけど、あまり化粧類に関しては詳しくないので適当だ――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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