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1770/1997

エルケリッヒさん達の登場にカレスさんが驚きました



「ありがとう、クレア。……って、ん?」

「せ、せ、せ、せ……」


 レオ達を連れて来てくれた事をクレアにお礼を言ってすぐ、カレスさんがさっきまでとは違う様子になっているのに気付いた。

 何やら、全身を振るわせて目を見開き、よくわからない声を繰り返し発している。

 ちょっと顔が青ざめているようだけど、大丈夫かな? 突然体調不良になったとか……ラクトスからこの屋敷に数日間かけて来た事で、疲れがとか……ではない気はするけど。


「んむ? どうしたカレス?」

「何やら、震えておるぞ?」

「まぁ、いきなり出てきたらこうなるのも無理はないでしょうね」

「お父様とお爺様は、わかっていないようですけれど……」

「ワフ?」

「カレスおじちゃん、どうしたの?」

「カレスさん、どうしたんですかい?」


 エッケンハルトさん、エルケリッヒさん、マリエッタさん、クレア、レオ、リーザ、ニックと、それぞれがカレスさんを見て声をかけている。

 唯一声を出さなかったのは、皆の分のお茶を用意するために動いているらしいライラさんくらいか。

 あ、あとエッケンハルトさん達を呼びに行ってくれたゲルダさんも、同じく声を出しておらずライラさんを手伝い始めているようだ。

 というか、マリエッタさんとクレアは妙に納得しているようで、カレスさんの様子がおかしな理由に思い当たっているみたいだけど。


「せ、せ、せ……先代当主様!? それに、奥方様も!!」


 あぁ、エルケリッヒさんやマリエッタさんがいる事に驚いていたのか。

 よく考えなくとも、現当主のエッケンハルトさんだけでなく、


「うむ、レオ様やタクミ殿という、公爵家だけでなく国にとっても重要な存在がいるのでな。私達も一度お目通りしておかねばと思って来たまでだ」

「私は、置いて行かれましたけどね……」

「んん! まぁ、なんだ……タクミ殿とは、これから長い付き合いになりそうでもあったしなぁ」


 驚くカレスさんに落ち着いて話すエルケリッヒさんだけど、マリエッタさんがジト目で見ると、視線を逸らして咳払い。

 私達も、とは言っていたけど最初に来たのはエルケリッヒさんだけだったし、マリエッタさんを置いて来ていたからなぁ。

 マリエッタさん、結構な剣幕で怒っていたけどまだ少し根に持っているのかもしれない。

 いじるネタみたいなものだろうけど。


「も、申し訳ありません! お二人共、ご機嫌麗しく……!!」

「よいよい、頭を上げるのだ。もう当主の座はハルトに渡して引退した身だ。そこらの爺と婆がいるとだけ思っているくらいで……」

「誰が婆ですって……?」

「い、いや、間違えた。うむ、まだまだマリエッタは若いぞ」


 慌ててその場で平伏するカレスさんに、微笑みかけるエルケリッヒさんだけど、またしても失言。

 今度はマリエッタさんにきつく睨まれたうえ、底冷えするような低い声で問われ、先程のカレスさん程じゃないけど全身を震わせていた。

 なんというか、リーベルト公爵家の男性陣……ってまぁ、知っているのはエッケンハルトさんとエルケリッヒさんくらいだけど、失言で自分の首を絞めてしまう事があるような気がするのは、そういう血筋かなにかなんだろうか?

 一応、冗談で済む範囲ではあるけど……。


 ちなみにマリエッタさんはお世辞でもなんでもなく、クレアの母親と言っても通用するだろうし、初めて見る人に聞いてもほぼ頷くだろう若さを保っているので、冗談でもお婆さんなんて言えなかったりする。

 マリエッタさんが怖いから、というだけじゃなく。

 美魔女とはマリエッタさんの事を言うのだろう、なんて本心から思ったりするくらいだ。


「ま、まぁとにかくだ、私達の事はあまり気にせずに話せばいい。顔を見に来ただけだから、特に口出ししたりはしないし、商売に関する事だろう? そちらはハルトに任せているからな」

「は、はい……」


 気にするな、と手を振るエルケリッヒさんだけど、まぁそうは言ってもやっぱりカレスさんにとっては気になるようだ。

 ニックは、キョトンとしているくらいで特に気にしていないようだけど……まぁエルケリッヒさんとは会った事があるからな。

 マリエッタさんはニックがラクトスに戻った後に来たから、初めてだけどしばらく屋敷に滞在して、エッケンハルトさんというか公爵家や俺達の雰囲気にも慣れているので、ニックの方は大丈夫そうだな。

 育った環境もあるのか、度胸もあるようだし。


 ちなみに後で聞いた話だけど、カレスさんはエッケンハルトさんの代になってから公爵家直営のお店を任されたらしく、それまでは別で商売をしていた人らしい。

 だから、直接エルケリッヒさん達とは会った事がなく、顔だけ知っていたとか。

 公爵領内にある街のスラム問題を数々解決し、全体的な治安向上があったおかげで自由な商売がしやすくなり、そういう意味でも尊敬しているとも言っていた。


「成る程成る程……タクミ様やクレア様は、そうして広く販売する方針なのですね」

「はい。まぁ上手くいくとは決まったわけではありませんが、できるだけ失敗しない方法だとは思います」


 エッケンハルトさんに、改めてカレスさんがあいさつした後、途中になっていた新商品や販売方法、販路の広げ方などの話をする。

 カレスさんはさすが商売人なのか、エルケリッヒさんやマリエッタさんを前にしばらく緊張していたけど、商売の話を続けていくうちに平常に戻ったようだ。

 黙ってお茶を飲みつつ、レオを構ってくれているエルケリッヒさん達の事を気にしなくなったというよりは、商売の話に集中したという感じだけど。

 しかし……なんで俺はクレアとエッケンハルトさんに挟まれて座っているんだろう? ニックとカレスさんは向かいに座っているけど。


 座る場所などは他にもあるのに……結構密着するくらい体が近い。

 クレアはむしろ嬉しいくらいで、緊張感がなくなって緩んでしまうくらいなんだけど、さすがにエッケンハルトさんは少し暑苦しい。

 ソファーの中央に押しやられたため、レオを撫でる事もできないし。

 まぁリーザが俺の膝に座っているから、今更緊張感も何もないし、そういった話をしているわけでもないからいいけど――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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■7巻書影■mclzc7335mw83zqpg1o41o7ggi3d_rj1_15y_1no_fpwq.jpg


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夫婦で異世界召喚されたので魔王の味方をしたら小さな女の子でした~身体強化(極限)と全魔法反射でのんびり魔界を満喫~


― 新着の感想 ―
リーベルト公爵家の男性陣……ってまぁ、知っているのはエッケンハルトさんとエルケリッヒさんくらいだけど、失言で自分の首を絞めてしまう事があるような気がする タクミ君や、君もクレアと結ばれるなら、その男…
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