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エッケンハルトさん達が入室しました



「ほうほう……タクミ様は、中々どうして侮れない商才があるようですな」

「いえいえ俺なんて。カレスさんのように実際に商売をして、利益を出している人と比べたら全然ですよ」


 俺の知識なんて、日本にいた時の物ばかりだからな。

 この世界で学んで、この世界で商人をして上手くやっている人と比べたら、商才なんてないと言っていいだろう。

 これは自分に自信があるとかないとかではなく、単純に事実としてそう思う。

 多分俺が一人で店を持ってやっていこうとしたら、変に日本での真似をしたりこの世界に合わない事をして、大きな失敗をしそうだし。


 俺の周囲にいる人、公爵家の人達やそれに連なる皆が優秀で、俺の案をこの世界に合う形にしてくれるから今のところ上手く行っているだけだ。

 ほぼ元手ゼロな『雑草栽培』や、レオがいてくれるのも大きいか。


「それでタクミ様、その新商品と言うのはどういった物ですかな?」

「新商品はですね、実は一つではないんです。目玉商品として利益度外視で販売するというのもあるんですけど……」

「失礼するぞ。タクミ殿、待たせた。カレス、久方ぶりだな。二人共……いやニックも合わせて何やら楽しそうだが……?」


 新商品について、何故かというか半分は俺がそうしたんだけど妙な悪代官と越後屋的な雰囲気のまま、説明しようとしていたところに、客間の扉を大きく開いてエッケンハルトさんが登場。

 その後ろから、レオに乗ったリーザもいる……レオが入りやすいように、扉を大きく開いたのかもしれない。

 ……いや、エッケンハルトさんの事だから、ただ豪快に登場したかっただけかもしれないが。


「あ、カレスおじちゃんだ!」

「ワフ!」

「これはこれは、公爵様。それにリーザ様にレオ様。ご機嫌麗しく……タクミ様には、商売の助言を頂いていたところですよ」

「こらこらリーザ、レオ。まずは挨拶だ」

「あ、そうだった! ごめんなさい、カレスおじちゃん。それからえっと……いらっしゃい、ませ?」

「ワッフワフ」

「いえいえ、お気になさらず。お久しぶりです、リーザ様、レオ様」


 リーザとレオがカレスさんを見て反応するのに対し、カレスさんは立ち上がってエッケンハルトさんやレオ達に恭しく頭を下げながら挨拶。

 俺が注意すると、レオから降りたリーザが両手を真っ直ぐ伸ばしたままぺこりとお辞儀をして、謝罪と共に挨拶。

 うんうん、素直ないい子だ。

 カレスさんは、リーザを店に連れて行ったりと何度か会って面識があるからまだいいけど、こういう挨拶をちゃんとして欲しいと思う親心……というのは、元は日本に住んでいたからかもしれない。


「ほう、タクミ殿はカレスに助言を与える程に、商売にも明るいのか」

「いやいや、そういうわけじゃないですよ。新しく作った商品の話をしようと思っていたところです」


 カレスさんの挨拶に頷いて返したエッケンハルトさんは、そう感心しながら俺を見たので、慌てて首を振る。

 けど俺がカレスさんに助言なんて……広告に関してとかはあったけど、目玉商品にする予定のミリナちゃん特製傷薬など、売り方として問題ないかとか、実際は俺が意見を求めようとしていたくらいだ。

 俺ができる話なんて、本当に素人意見でしかないからなぁ。


「新しく作った商品と言うと、目玉にするというあれか?」

「はい。ミリナちゃんが作ってくれた物ですね」

「成る程な。あれは、特殊な作り方と言う程ではないようだが……タクミ殿の協力なしでは作れない物だからな。効果も含めて、売れるだろう」

「公爵様も、お認めになられる程の物なのですね……」

「うむ。まぁ効果自体は、驚く程高い物というわけではないのだがな」


 ロエがあるから、傷薬の効果はそこまで特別じゃない。

 ただ俺は調合法も特殊だと思ったんだけど、カナンビス関連で調合に魔力を使うとかもあったから、それを考えると使う水は井戸水でなければいけない、とかはエッケンハルトさんの言う通り特殊と言う程でもないのかもしれない。

 ただ、原料として使われている主な薬草が、俺の『雑草栽培』で作った新種認定された疲労回復薬草と筋肉回復薬草が使われている、体力回復薬というのもあるから確かに俺の協力なしでは作れないんだろう。

 ロエの効果を薄めた傷薬とか、コカトリスの石化能力を受けた際に使う、石化回復薬とかは実際のところ、別にミリナちゃんが作った物じゃなくても良かったりする。


 傷薬に関しては、効果が怪しい物も含めて玉石混淆状態ではあるけど、なくはないし石化には有効な薬が既にあるからな。

 ただ効果が確かであり、値段も抑えめでという部分でさっきカレスさんにも言ったように、広告として使ってお客さんを呼び込む役割にしようってだけだ。


「そろそろいいかの、ハルト?」

「タクミさんやそちらの方と込み入った話をするのは、後でも構わないでしょう?」

「おぉ、そうでした」

「ん?」


 エッケンハルトさんの後ろから、聞き覚えのある声がした。

 その声に応えるように、エッケンハルトさんが俺のいる方へ近づいて来て、後ろにいた人達も客間へと入って来る。

 エルケリッヒさんとマリエッタさんだ……クレアも一緒だな。


「ラクトスにいる者が来たとあったのでな。それを聞いて付いてきたのだ」

「これから先、ティルラの事もあってラクトスには何度も行く事もあるかもしれんからな。ついでに、顔を見せておこうかと思っての」


 エルケリッヒさんとマリエッタさんは、ティルラちゃんが別邸に戻り、ラクトスの事に着手したらその補助というか、手伝いをしてくれるらしいからな。

 ラクトスに行く事もあるだろうし、カレスさんの顔を見ておきたかったって事か。

 というか、カレスさんとエルケリッヒさん達はあった事があるんだろうか?


「レオ様とリーザちゃんは、ここに来る途中でタクミさんを探しているのを見かけたので、一緒に来ちゃいましたタクミさん」


 俺の座っている場所のすぐ横で、伏せの態勢になったレオに近付き、撫でながら少しお茶目に笑いつつ説明してくれるクレア。

 マリエッタさんも、クレアと同じくレオに近付いて撫でている。

 いつの間にか、レオには慣れてくれているようだ……エルケリッヒさんが、できるだけレオが見える場所にいたがるから、一緒にいる事の多いマリエッタさんは慣れるしかなかったのかもしれないが――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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