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これまでにわかっている薬草の増え方をまとめました



「この後、増えたサニターティムがさらに増えて……その後はギフトの影響を受けていない物になっていく、でしたよね?」

「そうだね。ここではまだ始めたばかりだけど、別邸で試験的にやった時はそうだった。ここでも大きく変わらないとは思う。あと、土がいい状態であれば根付くかもしれないね」


 まさに増殖、という言葉が相応しい速度で増える『雑草栽培』によって作られた植物は、数を増やせば増やす程、後になった物程ギフトの影響を減らしていき、成長自体も遅くなる。

 そして最終的には……三世代から四世代目くらいになった辺りで、通常と変わらない成長速度になるはずだ。

 その後は、土や環境が合うかどうかで栽培を続けられる物、続けられない物になるってわけだな。

 ギフトの影響が少なくなればなるほど、急激な成長をしなくなるためか、土の消耗も少なくなっていく……手入れをあまりしておらず、植物にとっての栄養が少ない土は最初の植物が作られ、枯れるまでそのままにした時点で、砂漠化のようにサラサラで何にも使えそうにない、栄養素のない砂になる。


 別邸の裏庭で試した時なんかはそうだったな……まぁ本当に何にも使えないわけではなく、コッカー達が好む砂ではあるんだけど。

 一応、ちゃんと整備してペータさんと作った畑は、腐葉土など土の状態として良いためかそこまでにはなっていないようだけど。

 とはいえ、区分けしたうえ作る薬草の種類よりさらに多い畑の準備をしているから、使った畑はしばらく休ませる期間を設けて、土を変えたり肥料を与えたりするつもりだ。

 要は、休耕期間を作るって事だ……連作障害じゃないが、そういった事が起こる可能性をできるだけさけるために。


「増殖する植物。この速度だけでもすごいし、見ていて面白いけど……そう言えばどんな風に増えるのか聞いていなかったね」


 どうやら、新種を作らずともユートさんの興味は『雑草栽培』そのものと、成果を見るだけである程度満たされたらしく、先程の興奮状態が抜けきって落ち着いた様子。

 興味がなくなったわけではないようだけど。


「どんな風にって……うーん、ギフトの影響がなくなった物は、他の植物と同じはずだけど……」

「あぁ、植物の増え方とかじゃなくて、タクミ君のギフトで作った物が増える法則っていうのかな? 例えば一つが二つになったり、二つが六つになったりとか、そういう意味だよ」

「そっちね。えーと確か……」


 薬草畑での、薬草を増やす計画が始動したので、ここである程度は知っているクレアや俺自身のためにも、一度おさらいをしておくつもりでユートさんに説明していく。

 『雑草栽培』で作った薬草、便宜上雑草と呼ぶとして……その雑草は、一つ作れば翌日二つに増えて元の雑草は枯れてしまう。

 そして二つに増えた雑草は、さらに二日かけて四つに増えてまた枯れる。

 この時重要なのは倍にしか増えないという事と、増えた後は元の雑草は枯れてしまうという事と、さらに成長速度が遅くなって行く事などだ。


 倍に増えるのだから簡単に数を増やす事はできるけど、倍以外にはならず、例えば三つの雑草があった場合には三つ以下に減る事はないし、七つの倍以上にはならないというのは注意しなければならない。

 まぁ、計算はしやすいかな……十の雑草を最初に作れば、そこから倍々の計算をすればいいだけだから。

 成長速度に関しては、一日から二日に、二日から四日にと、こちらも数と同じで倍になっていく。

 通常の植物は、種子を作ってそこから増えるにしても数は一定じゃないのに対し、『雑草栽培』の影響を受けている物は常に一定で成長も早い。


 ちょっと機械的な印象を受ける法則ではある。

 そうして、最初の雑草を一世代目とするなら、そこから増えて三世代目から四世代目になり、成長しきったくらいで完全にギフトの影響がなくなり、通常の植物と同じ性質になる。

 植物によっては種を作り、その種を植えて増えるわけだけど……種から新しく発芽するかはその植物や環境次第。

 これまで作った薬草は、環境が悪いのかなんなのか結構な種類と数で経過を見ているけど、ほとんどが発芽しなくなっていたりもする。


 もしかしたら、ギフトからの影響が何かしらの悪い形で残っているのかも? という推測もあるけど、環境に適応しなかったという見方の方が強い……絶対に発芽しないわけでもないから。

 おそらくこれが、これまで畑などを専用に作って栽培しようとしなかった原因なのだろうとも思う。

 簡単に種から発芽して増えるようなら、既にやっていてもおかしくないからな。

 それと共に、種から発芽した物も含めて、ギフトの影響がなくなった物は品質としても全てが上等な物というわけではないようだ。


 『雑草栽培』で作った物は影響が残っている物も含めて、全て最上級らしい品質なのにだ。

 その分、土を過剰に消耗させる事はないんだけど。

 ともあれこれらの事から、薬草畑ではまず『雑草栽培』の影響が残っている範囲で数を増やす事を予定している。

 要は、種などで増やすのは徐々に試し、植物に合った環境などを考えるために一部を残す事にして、三世代か四世代かは植物によるが、その辺りで摘み取って薬にして販売するってわけだな。

 調合するかしないかはそれぞれだけど。


 とりあえずはこの方法で、ラクトスだけでなく公爵領内に行き渡る薬草の数は確保できるはずだ。

 もちろん足りなければ、追加で俺が作ってさらに増やす事もできるし、市場を荒らす気はないので過剰に供給する予定もない。

 とまれ、新種やら他にも可能性があるとしても、これまで薬草を栽培して増やす試みがされていなかったのもあって、やり方を間違えなければ成功が約束されているようなものだ。

 公爵家という、領主貴族のでっかい後ろ盾もあるわけだし。


 ちなみにだけど、疲労回復薬草などユートさんが新種認定した薬草などは、この法則で増える事はなくただ放っておいたら枯れるだけだった。

 つまり新種の薬草は根付かせる事ができないというわけだ……本来ないはずの物だからなのか、他に何か理由があるのかまではわからないが。

 翻せば、ユートさんに新種認定されなかった身体強化薬草などは増やせるって事だけど……増やしても怪しい薬になりそうで、数を揃えるのは見送る事にした。

 あと、昨日新馬車テストから戻って、他のもユートさんに見てもらったけど、ゴムは新種で増やせず、椿は増やせるものだという事なども判明した。


 椿はこれから実用できるか次第だけど、ゴムは増やしたかったなぁ……馬車のタイヤとかに使えそうだし。

 ユートさんも悔しがっていたけど、できないのは仕方ないと割り切るしかないか――。




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