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レオを思う存分甘えさせてやりました



「ん、よし。レオ、いつもありがとうな。レオがいるおかげでいろんな事ができる気がするよ」

「バフ」


 体を撫でていた手を離し、レオの正面に行って顔というかマズル部分を両手で挟みつつ、しっかりと目を合わせて感謝を伝える。

 鼻近くのマズルを挟んでいたから、レオからの返答は不格好な鳴き声になってしまったが。

 これは、マルチーズだった時にもやっていた事だけど、なんだったか……何かの本か誰かに聞いたか、愛犬に愛情を伝える方法として優しく目を合わせて声をかける、というのがあってからだったと思う。

 マズルを掴むのは、俺オリジナルというか子犬だった頃のレオが、落ち着かずに顔を逸らすからこうなったんだったはずだ。


 もちろん、嫌がったら離すつもりだったし、強く痛みを与えるような掴み方はしないように気を付けているが、レオは事さらこれが気に入ったらしく、正面からしっかりと目を合わせると、むしろせがむようにマズル部分を俺の手に擦り付けていたっけ。

 以前は片手で軽く掴む……というか振れるくらいだったけど、今は両手で挟んでも足りないくらいだな……。

 尻尾を振って喜んでいる事だけは、相変わらずだけど。


「よーし、それじゃ今日は甘えさせてや……」

「ふに……にゃふ……」

「甘えさせてやるぞ~」


 意気込んで宣言する途中、リーザのむずがるような寝息のような寝言のような音が聞こえて、声を小さくする。

 せっかく寝ているのを邪魔したり、起こしたらいけないからな。


「アフ……」


 レオも、俺と同じく小さな鳴き声になったが、嬉しそうに頷いた。


「と言ったものの、まずは何をするか……リーザが寝ているから、音が出るような遊びはできないしなぁ……」

「ワッフ。ワフワフ」

「ん? ここに座れって?」

「ワフ~」


 レオを甘えさせてやるにしても、リーザが寝ている中で起こさないようにするにはどうするか、と頭を悩ませる俺に、レオが俺の服の裾を咥えて引っ張りつつ、床に座れと鳴いた。

 ベッドではなく床に座って何をさせるつもりだろうか? と疑問に思っていると、あぐらをかいている俺の足の上にレオが下顎を置いた。

 さすがに、重量的な問題があるのでレオも力を抜いて完全に乗せているわけではなく、少しだけ寄りかかっているような感覚だな。


「そういえば、こうするのもあまりなくなっていたなぁ。レオの全身を乗せるわけにもいかないし」


 レオが俺に乗ったら、当たり前だけど潰れてしまうからな。

 少しだけ懐かしさを感じる……常に、というわけじゃないが甘えたいときのレオは、いつもこうして俺が据わっていると足の上に乗ってきたっけ。

 そこでレオが寝てしまうと、足がしびれても我慢してしばらくそのまま座っていた事もあったけど。


「ワフ、ワフワウ~」

「そういえば、こちらに来てそんな事もあったなぁ」


 レオがこちらの世界に来ての事を思い出させてくれる。

 森で迷子というか、こちらの世界に来てすぐクレアとも出会う前に、川で休憩していた時にこうしてレオを足に乗せた事があった。

 あの時は、重くなったなんて言ってレオが気にしていたけど……シルバーフェンリルでも女の子は気にするものなのかな? なんて思ったりもする。


「ワッフ、ワウ」

「はいはい、わかったよ」


 レオが上目遣いで俺を見つつ、催促してきたので頭を毛並みに沿って優しく撫でてやる。

 こうしてのんびりするのが、レオ一番のお気に入りだったはずだ。

 相変わらず触り心地のいいレオの毛を撫でつつ、お互いの視線の位置が違う事に気付いた。

 今更だけど、マルチーズの頃だと催促する時は顔を上げて俺を見上げていたのに、今は顔を動かさなくても足に顔を乗せている状態で、俺の視線と高さがあまり変わらない。


「本当、種族を越えてここまで大きくなるとは……ある意味、勇ましい名前を付けて正解だったかな?」

「ワウゥ? ワフ」


 勢いで付けたレオの名前には、一応拾った時には弱々しい子犬だったため、元気になって走り回る事ができるようにという願いを込めている。

 けど、あの時レオが雄ではなく雌だと気づいていれば、また違った名前にしていたのになぁと、少しだけ後悔する部分もあったり。

 俺のネーミングセンスで、いい名前が思いつくかはわからないが……。

 ちなみにレオという名前は、ライオンを想像させたり、猫科のイメージが強かったりもするけど、実際には雄の犬に対して付ける人も多いんだとか。


 調べ方とかによって違うけど、一部のランキングでは一位になる事もあったりする。

 そういう意味では、レオというのも間違っているわけじゃないんだろう……あくまで、雄であればだが。

 まぁレオ自身が気に入っているようだから、気にしすぎないでいいかな。


「ほんとは足の方もマッサージしてやりたいけど、このままだとできないから……ほらほら、ここが気持ちいいんだろー?」

「ワフ、ワウゥ……」


 名付けの事はともかくとして、レオの頭を撫でる手を耳の付け根辺りに持って行き、揉み解すようにマッサージをしてやる。

 気持ち良さそうレオの鳴き声を聞く限り、ご満悦な様子だ。

 今日は馬車を曳いていたから、本当は足の付け根辺りをマッサージしてやりたかったが、今足にレオの顔が乗っている状態ではできないからその代わりだな。

 耳の付け根や足の付け根は、実は結構凝っていたりするんだよなぁ。


 しばらくの間、そうやってリーザを起こさないように気を付けながら、レオと一緒にくつろぐ。

 甘えさせてやると言ったのは俺だから、レオがやって欲しい事、撫でて欲しかったりマッサージして欲しかったりするのは、全力で応えてやっていたんだけど……。


「……さすがに、そろそろ寝ないかレオ?」

「ワウ~、キューン、クゥーン……」

「まだまだ甘えたいってか。はぁ……多少の寝不足は覚悟しようかな。忙しいと言っても、日本にいた頃程じゃないし。それこそ、少し前に熱を出した時程ですらないわけだからな」


 結構な時間が経っても、レオが満足しなかったので寝不足を覚悟しながら構ってやる事になってしまった。

 まぁ、レオから求められて俺が宣言しちゃったからな……というかレオ、俺が撫でたりマッサージしてやる程に眠気よりも元気になっていないか?

 ……元気になるのはいいんだけど、マッサージで気持ちよくなったら眠くなると思っていたのに、当てが外れたな……。

 なんて、ほんのちょっとだけ後悔しながら、レオを存分に甘えさせながら更けて行った――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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