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1758/1996

調査隊編成について少し聞きました



「私の方でもそうですね。お父様は……?」

「もちろん、私にもだ。父上や母上は……既に当主やそれに関わる地位を退いて久しいからな。独自の情報網はあるとしても、報告はないだろう」


 クレアさんは別邸周辺のラクトスも含めた村や街、エッケンハルトさんはそれ以外の公爵領全体から、色々と報告などが来るんだろう。

 だがどちらも、トロイトに関する事はなかったみたいだ。


「じゃあほぼ間違いなく、ランジ村北の森から出てきたって事でしょうね。すみません、余計な確認を。ただトロイトの様子から、あの薬の影響があるとしたらそちらでも確定と言えるでしょうけど……数が多く本来いない場所にいる事にも繋がった、と考えて良さそうですね」

「謎を謎とせず、繋がった事を喜ぶべきか、目的がわからず不気味と恐れるべきかは、迷うがな……」


 どうしてトロイトに薬の影響があったのかも含めて、カナンビスの薬を振り撒いている誰かの狙いが全くわからない。

 トロイトをわざと狙ったのか、それとも香りが風で流れて偶然影響してしまったのかもわからないくらいだし。


「なんにせよ、森の調査は急がねばならんな……」

「はい。フェンリル達への影響はタクミさんのおかげで抑えられますが、周囲にも何かしらの悪い影響が出るのも時間の問題かもしれませんし」

「確かに。今回の場合、誰もいない所にトロイトがいたからいいけど、これが人のいる所だったらと考えると……」


 誰かが襲われたりしていてもおかしくないからな。

 あれから森ではカナンビスの薬が散布された所に遭遇はしてないようだし、サニターティムの丸薬のおかげで予防もできているけど、森にいる魔物全てにというわけにはいかない。


「……まだ、馬車の点検は終わっていないな。至急戻ってこちらから急かす報せも送りたいところだが。まぁ焦ってもこちらからの報せが届く日数などは、あまり変わらないが」

「私も、お父様の気持ちはわかります……」


 調査の人手を増やしたり、カナンビスに対応するため公爵領内から人……というか兵士さんかな? を呼んでいるみたいだけど、今焦って屋敷に戻って連絡を差し向けても、あまり大きく変わらないからな……。

 エッケンハルトさんが自己完結したように、焦っても仕方ない。

 周辺で何かしらの悪い事が起こる可能性を考えたら、焦る気持ちもわかるけど。


「エッケンハルトさん、ラクトスがランジ村から一番近い街ですけど……そちらからは?」

「それはクレアとティルラだな。――クレア、セバスチャン、準備の方はどうなっている?」


 そう言って、クレアとセバスチャンさんに問いかけるエッケンハルトさん。

 セバスチャンさんにも聞いたのは、ティルラちゃんがこの場にいないからだろう……ティルラちゃんとは色々と話しているようだし、別邸での執事長はこれからもセバスチャンさんだから。

 それと、クレアは別邸にいた頃からだけど、ラクトスを含む周辺を公爵家の人間として見ていた。

 もちろん、判断が難しい事などエッケンハルトさんという当主でなければならない場合は、連絡をしてという事らしいけど。


 まぁ当主様の権限が必要な判断をする事なんて、そうそうなかったみたいだ。

 俺が来てからは、レオの事以外だとバースラー伯爵とその息がかかった、ラモギなどを買い占めて粗悪な薬として売っていた事件に関連する事くらいかな。


「毎日報告で進捗が届くようにしていますが、周辺からも集めた隊を編成し、今日明日にはラクトスを出発する事になっています」

「街の治安はタクミ様やレオ様のおかげで、改善しつつあるとはいえ衛兵なども全て呼び寄せる事はできませんから……数日中には、おおよそ二百人がランジ村へと到着する見込みです。急がせますかな?」

「そうだな……こちらに向かっているのなら、途中で報せを受け取る事もできるだろう。少しでも早く到着するようにさせてくれ」

「畏まりました」

「屋敷に戻ったら、すぐに伝令を向かわせます」


 クレア、セバスチャンさんが現状の報告と共に、急いでランジ村に来るよう伝令を送る事が決まる。

 こういう時、検討するだけでなく決断まですぐに終わらせる速度が早いのは、公爵家の皆の行動力や判断力がなせる事なのだろうか。

 あれこれと、ありもしない可能性を考えてがんじがらめになった挙句、決断が遅くなってしまうなんて事がないのは、好印象だ。

 日本ではよく見られる光景かな……話し合い、検討する事が悪いとは言わないし、そうした方がいい事だってあるとは思うけど。


「それにしても、二百人ですか……」

「まぁ、ラクトス周辺で調査に差し向ける人員となればそれくらいだろう。あくまで、足りない調査の手を補うためだからな。別方面からも呼び寄せているから……最終的には二千くらいか。魔物のいる森を詳しく調べる、と考えれば少し心許ないかもしれんか?」

「ランジ村北の森であれば、妥当かと。あくまで調査であり、魔物などを根絶させるのであれば、その倍……数倍は欲しいところですな」


 俺が言いたかったのは二百人って予想していたよりも多いなぁ、ってことだったんだけど……。

 というか、話している様子的に数倍……一万前後は動かせると言っているようにも聞こえるな。

 まぁ、公爵家という領主貴族だから領内全域から集めればそれくらいにはなるのかな?


「セバスチャン、レオ様もそうだけれどフェンリル達も協力してくれるのよ? 探索能力だけでなくその戦闘力、移動速度なども考えたら、お父様の仰る二千もいれば魔物を根絶させられると思うわ」

「いや、それはむしろ、我々の人員がいるのかすら怪しいのだがな、クレア……」

「少なく見積もって、フェンリル一体で兵士百人と言ったところでしょうか。トロイトを氷漬けにした魔法を見るに、フェンリルが遠慮なしに全力でとなると千に匹敵する気もしますが」

「過大な戦力評価……というわけではない、んですよね……」


 冗談を言っているような雰囲気ではないので、セバスチャンさんが言うようにフェンリル一体でそれだけの兵士さんの数と同等の強さって事なんだろう。

 そのフェンリルが、今屋敷に数十体はいるわけで……万の兵士さんどころじゃないんじゃ――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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