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大まかな周辺の地理を聞きました



 俺、ユートさん、エッケンハルトさん、クレア……それから話に積極的に加わっていないけど、セバスチャンさんも、トロイトがこの場所にいたのはカナンビスの薬が原因だった、という可能性を考え、深刻な表情になる。


「一応、一応ですけど……ランジ村近くの森以外の場所からって事は……?」


 言っていて、自分でも否定する材料がいっぱいあるけど、念のため聞いてみる。

 他の可能性を潰しておくってのは大事だと思うから。


「それはおそらくないな。トロイトがいるだろう場所はこの付近だと、ランジ村の北にある森くらいだ。フェンリルの森にもいる可能性は高いが……ここからは遠い」

「そう、ですよね……」

「一応、ざっくりとですがタクミ様にこのあたりの地理などをご説明しておきましょう」

「あ、はい。お願いします」


 なんとなく聞いてはいるし、周辺の地図を見た事はあるけど……俺がよく知っているのは、公爵家の別邸やフェンリルの森方面、ラクトスの街周辺くらいだからな。

 フェンリルの森に関しては、ある程度奥まで探索した事はあるけど、それでもあちらの森は広くて全体の中心部まで三分の一に行かない程度でしかないらしいが。

 とりあえず改めて、セバスチャンさんからランジ村周辺というか、新馬車のお試しで来た今いる辺りに関しての説明を受ける。

 今いるのは、ランジ村から南東辺りで……。


「馬ですと、大体半日程度来た辺りでしょうか。馬車だともっとかかるでしょうが、それをこの短時間で来れたのは、レオ様やフェンリル達のおかげでしょう」

「まぁ、新しい馬車が壊れずに丈夫に作ってもらえたのも大きいとは思いますけど」


 新馬車の方は、一応使用人さん達などが現在損傷個所がないかなどの点検をしている。

 今のところ特に問題は発見されていないようなので、従来の馬車よりかなり耐久性は高まっているのは間違いなさそうだ。

 ……単純に、新しくて経年劣化していないからというのもあるだろうけど。


「そうですな。そしてここから……」


 街道からは外れてしまっている場所だけど、ここからしばらく南に行けば、南東へ続く街道があるそうだ。

 その街道が繋がっている先は、公爵家の本邸と大きな街だとか。

 例え先程レオ達が馬車を曳いていた速度でも、数日はかかるみたいだけど。

 本邸はともかくとして、そちらの街はこの公爵領で一番大きな街だというのは以前聞いたか……いずれは行ってみたい。


 それとは別に、街道に出て東に行けばまた別の街。

 南に行っても街があるとか……規模はラクトスより随分小さいらしいけど。

 ちなみに街に行くまでに、街道が直接繋がってたりいなかったりするらしいけど、複数の村が点在しているとか。

 こちらは、規模としてはランジ村と同程度らしいな。


「西……ラクトスを越えた王都方面にまずは薬草を、という話でしたけど、そちらが順調に進めば今度は東から南の村々、いずれは街にもタクミさんの薬草や薬を広めないとですね」

「まぁ、目玉商品は用意しているけど、基本的には一般的な薬とか薬草だから、一部はあるだろうけどね」


 特に街にはラクトス程の規模じゃなくても、人が多いのならお店だって多いだろうし。

 なら、薬草や薬の需要はあるため既に商売をしている人だっているはずだからな。

 ちなみに一般的な薬としては、コカトリスの石化能力を受けた解毒薬など魔物に対処するための物から、腹痛や頭痛を和らげる物。

 解熱薬や痛み止めみたいなのや、他にも虫下しの薬もある。


 湿布薬なんかもあったな……その中で特に需要の多い物は、ラクトスへ薬草を卸す中でも既に作っており、馴染み深いため『雑草栽培』で作る事に問題はない。

 状態によって効かない事もあるけど、咳止めや意外な物でクシャミ止めというのもあったな。

 クシャミ止めは早い話が鼻炎薬のようなものだな……花粉症に効くような物ではなく、アレルギー薬ではないみたいだが。

 とにかく、それらの物は調合する物もあれば、単一の薬草を煎じるなりでそのまま摂取するものもあったりと様々だから、俺自身ももっと勉強しなくてはいけないなぁ。


「品質で劣る事はないので、販売を開始すれば一定数は売れるでしょうな」

「うむ。タクミ殿の『雑草栽培』で作った薬草は、間違いのない品質だ。その上状態変化だったか? あれで効能が損なわれる事なく加工される」

「まぁ調合に関してはまた別ですけど、そちらはミリナちゃんが頑張ってくれていますからね」


 『雑草栽培』で作った薬草は、育ち切らなかったりなどの事はなく、いずれも最高品質と言える物ができる。

 そのうえ状態変化をかければ、乾燥させたり粉末にしたり、液体を絞るのも全てやってくれるから、作業の中で劣化とかも防げるため、品質は保証されているようなものだ。

 あとは調合をすればいいだけなので、そちらは腕の良し悪しが関わって来るけど、それもミリナちゃんがやってくれている。

 師匠と呼ばれている俺としては、任せっきりになってしまって情けない限りだけど。


「少々話が逸れましたが、戻しますと……この付近にランジ村北や西にあるフェンリルの森以外には、トロイトが生息してそうな森はありません。小さな森程度は公爵領にも点在しておりますが、トロイトが棲息するような大きさではなく、そしてこの付近ではなくもっと別の場所にあるのです」

「成る程……フェンリルの森からとなると、街道を横切る必要もありますし……やっぱり考えられるのはランジ村の北から出てきたって事ですね」


 フェンリルの森はその端ですらここから遠いため、そこからトロイトが出てきたというよりは、近いランジ村北の森から出てきたと考える方が自然ってわけだな。

 他に目ぼしい森がないのなら、特にだ。


「そうだな。いや、それ以外に考えられないだろう。フェンリルの森からならば、どこかで目撃する情報、もしくはあまり考えたくないが、被害に遭っている者がいるはずだ。そしてそれらは、周辺の村や街に伝わる」

「あの薬の事件があってからは、逐一報告させるようにしておりますが……現状ではトロイトに関する報告は一切ありません」


 数秒で数百キロ離れた場所でも情報共有ができた地球とは違い、この世界は手紙や報告書などを直接やり取りするしかないため、どうしても時間差はでてしまうんだろう。

 けどそれでも、一切の報告がないのなら森から人がいないような場所を通ってここまでトロイトが来た、と考えられるか――。



読んで下さった方、皆様に感謝を。


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