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フェンリルに狩られたのは初めて見る魔物でした

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「人を乗せているフェンリルは、馬車の近くに! それ以外のフェンリルは先行して魔物を狩って来てくれ! えーと……行け、ハンティング!」

「ガァゥ!!」

「グルァウ!!」


 クレアが抱き着いていない方の腕を振り上げ、言葉と共に前方を指し示す俺の合図で、誰も背中に乗っていないフェンリルが五体ほど前に飛び出す。

 一瞬にして、先行させたフェンリル達が小さくなっていく……全速力だと、とんでもない速さだなぁ相変わらず。

 合図などは、準備中に決めた事だけど……少し恥ずかしくて躊躇してしまった。

 言葉自体は俺が決めたわけではないんだけど、フェンリル達がそれがいいと意見の一致を見せたため、「ハンティング」という合図になってしまったんだが。

 もう少し、違う言葉の方が良かったなぁ。


 というか「行け!」だけでも十分に恥ずかしいけど、それでいいと思うんだ、俺は。

 なんて考えている間にも、レオが魔物を察知する前と同等の速度に達する。

 その頃には、先行したフェンリル達が遠くで何かと戦っている様子が見えた。


 飛んだり跳ねたり、色々動いている様子なのはこちらから見ても確認できたけど、どんな魔物かまではわからない。

 戦い自体がどうなっているのか少し不安で、フェンリル達がちょっとでも怪我をしないか、という心配も少しはあったんだけど……。


「おぉ……」

「綺麗な氷の柱が出来上がりましたね……」

「綺麗なのー!」

「ワッフ。ワウワフー」

「終わったのか。さすがフェンリルだなぁ」


 突如出来上がった、空に突き出る程の氷柱が出現する。

 クレアやリーザがそれを見て、いや俺もだけど、感嘆の声を上げるのと一緒に、レオからは終わったと言うような鳴き声が。

 無事に終わったようだ。


「もう安全なんだな?」

「ワウー」

「そうか。それじゃ、あの場所に向かって速度を上げて行こう!」

「ワフ!」


 レオにも一応安全を確認してもらい、魔物がいる場所へと速度を上げて走ってもらう。

 かなりの速度……馬が全速力で走るよりも少し早いかな? くらいの速度が出たけど、馬車の方は問題なさそうだった。

 ただ、乗っている俺達への揺れが強まったので、さすがにこの速度やそれ以上は長時間乗っていられないだろう、という結論も出たけど。

 ……馬車の耐久性を上げても、人間である以上限界はあるよな、うん――。



「とりあえず、全部片付きましたかね?」

「そのようだ。しかし、あれだけの数がこの辺りにいるはずがないのだが……」

「見た事がないわけではありませんが、あれだけの数は初めて見ました」

「森の中でもないのに、数が多すぎたよね。それを楽々倒して氷漬けにするフェンリルは、さすがとしか言えないけど」


 フェンリル達が魔物を倒した現場に到着し、後片付けなどを済ませる。

 ほとんど、楽しそうに深い穴を掘ったフェンリル達が、そこに放り込んで埋めるというだけだったけども。

 子供達にはあまり見せられないと思ったので、そちらはリーザやティルラちゃんに頼んで、一部のフェンリルと一緒に離れた場所で待っていてもらっているが。


「トロイト……でしたか。小さい猪という感じでしたけど……」


 フェンリル達が倒して後片付けをしてくれた魔物は、ユートさんやエッケンハルトさん曰く、トロイトという名称の魔物らしい。

 牙や爪で斬り裂かれていたり、氷漬けになっていて一つたりとも無事と言えるかはともかく、ちゃんとした形の物は残っていなかったけど。

 残骸から推測するに大体体長が八十センチあるかどうかくらいで、俺の知っている猪よりは小さめだ。

 ただ口には太くはないが鋭い牙があり、大きさはともかくかなり凶悪にも見えた。


「うむ。トロイトは森の奥深くに棲む、と言われる事の多い魔物だな。一部では、オークになる前の魔物とも言われているが……その辺りはよくわかっておらん」

「猪……トロイトがオークになるんですか?」

「まぁそう言われているというだけで、実際はわかっておらんのだが……」

「ではここからは、私が……」


 チラリ、とエッケンハルトさんがセバスチャンさんに視線を送る……よりも前にスッと前に出てきて説明を開始。

 待ち構えてたなぁ。

 まぁ知らない事を教えてくれるんだから、ありがたく聞いておこう。


 セバスチャンさん曰く、トロイトは家畜として飼育されているポルクスという動物が、何かしらの条件で魔力を獲得し魔物になった存在らしい。

 何かしらの条件とか、実際に魔物になる瞬間を誰も見た事がないため、らしいという言葉でしか言えずただの一説だという。

 ただトロイトの姿は、大きさも含めて牙以外はポルクスにそっくりなのだとか。

 ちなみにユートさんがコッソリ教えてくれたけど、そのポルクスは豚の事で、いくつかの品種を掛け合わせてできた動物との事だ。


 品種を掛け合わせてって事は、日本で言う三元豚みたいなものかな……一応広く食べられているし、市場に出回っているので俺も屋敷で出た料理として食べた事があるんだと思う。

 あくまで一説らしいけど、豚のポルクスからトロイトになったのなら、豚から猪になったとなるのか。

 地球では、そもそも豚自体が猪を家畜化したみたいなものなんだけど、こちらではちょっと違うのかもしれない。

 まぁその辺りは今関係ないか。


「さらに確証はない話なのですが、ポルクスからトロイトに、そしてトロイトからオークになる。という説もあるのです」

「トロイトからオークに……それは進化、と言っていいのでは?」

「どちらが種族として優れているかは、考え方によって違うでしょうが……そう捉える向きもあるようです」


 森で何度も遭遇したオーク、フェンリル達の狩りの成果もあるし、俺にとってはこの世界で初めて口にした物だから、ポルクスよりそちらの方が馴染みがあるけど。

 とにかく、そのオークはトロイトから進化したのではないかという説もあるらしい。

 オークの方が体が大きく、二足歩行で手を使う事ができるから確かに進化と言えるけど……外敵に対しての突進力とそれに伴った攻撃力とかは、トロイトの方が高いとか。


 あくまで予想だが、オークとトロイトがもしお互いに争った場合、突進に対処しきれず十中八九トロイトが勝つだろうとの事だ。

 戦いの強さ、という意味では進化ではなく退化しちゃってるな――。



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■7巻口絵■ mclzc7335mw83zqpg1o41o7ggi3d_rj1_15y_1no_fpwq.jpg


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