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1742/1996

リーザの勉強について聞きました



 空腹は昼食まで我慢するとして……俺が『雑草栽培』で作ったのは疲労回復薬草、筋肉回復薬草、身体強化薬草、二種の感覚強化薬草に、もしかしてと思ってブレイユ村でフェルの動かなくなった足に使ったロエもどき、それらを二つずつだ。

 この世界で色々と役に立ってもらった物で、俺の想像というかこんなのがあればなぁ……と考えて作れた薬草だな。

 二つずつなのは、一つではユートさんが見逃してしまう可能性があったためだ、芽が伸びて大きくなるにつれて手が隠される物もあるからな。

 ちなみに、あればいいなぁと思っても作れない物もあるので、人の手が入っている植物は作れないという判定といい、どうやって『雑草栽培』が判断しているのかわからない。


 ともあれ、何やら考え込んでいるユートさんを邪魔しないようにして、作った薬草を全て摘み取り、訓練などで必要になればと疲労回復薬草と筋肉回復薬草をルグレッタさんに渡す。

 残った身体強化薬草はもしもの際に取っておくとして……感覚強化薬草は森の調査のために後で追加を作ってフェンリル達に渡すかな。


「ふぅ、ちょっと休憩っと……すまないな、レオ」

「ワフ」


 息を吐き、ちょっとだけ緊張していた体の力を抜きながら、お座りしているレオに断って地面に座りながら寄りかかって体を預ける。

 相変わらず、ふんわりと受け止めてくれるレオの毛はどんなベッドやソファーよりも心地がいい。

 ギフトを使っただけなので体が疲れているわけではないが、ポカポカとした陽気に誘われてこのまま寝てしまいそうだ。

 座り込んだ地面が堅いのだけが難点だが。


「あー私も休憩ー!」

「おっと。リーザは、まだまだ元気そうだけどな?」

「んふふー、パパとママと一緒なのがいいのー」


 楽しそうに飛び込んできたリーザを受け止め、俺の横に座らせて一緒にレオへと寄りかからせる。

 相変わらず元気で、寄りかかっている必要はないとは思うが……一緒がいいと言うなら、そうさせておいた方がいいだろう。


「そういえばリーザ、勉強の方はどうだ?」


 こういう時、なんとなく勉強とか学校の事を聞いてしまうのは、ある意味父親としての自覚が芽生えかけているからだろうか?

 まぁ父親代わり、ではあるけど。

 学校はこの世界にあるかはわからないし、読み書きを覚える勉強を始めたばかりのリーザに聞いてもわからないだろうけど。


 ……後でユートさんに聞いてみるか、リーザが望むとかではない限り学校に入れたいとかではないが。

 あってもこちらでは、一般的には義務だったりしないだろうし。


「うんとねー、数字? って言うのが難しい。数字が一緒になると、増えたり減ったりもするの!」

「計算ってところかな? うーんそうだなぁ、数字は文字でもあるけど足したり引いたり、増えたり減ったりして不思議だよなぁ」

「ワウゥ?」


 何が不思議なの? と鳴いているレオだけど、初めて数字や計算を教えられると不思議な気持ちになるのも無理はないよなぁと思う。

 文字も漢字とかは特に組み合わせだったりで、読み方や意味が変わったりするが……まぁそれは計算とはまた別の話か。


「今はまだ、足し引きくらいだと思うけど、掛けたり割ったりしてもっと増えたり減ったりもするんだぞー?」

「んー? かけ……わった? よくわかんない……」


 首を傾げるばかりのリーザの頭を撫でる。

 うん、レオに負けず劣らず耳の毛がふわふわとしていて、こちらも撫で心地がいいな。


「ははは、そうだな。まだまだわからないよなぁ。リーザは勉強を始めたばかりだし、これから色々デリアさんに教えてもらえばいいさ。計算なら、少しくらいは俺も教えられるだろうしな」


 リーザは年齢的にも、まだ小学校一年生の算数を習い始めたばかりと言ったところだろう。

 掛け算や割り算は、まぁまだこれからだろうな。


「でも文字の方はもういいのか?」

「んっとね、デリアお姉ちゃんがね、数字も覚えておいた方がいいいって。だから、交互? にやるみたい」

「成る程なぁ」


 国語と算数をゆっくり教えているって事か。

 文字は覚えてもその後に文章というか、文法だったり色々あるけど……時間はあるんだしのんびりやっていけばいいだろう。

 進学校を受験するために急いでいるとかではないんだし。

 ちなみに俺は国語も算数……数学も割と苦手な部類だ。


 さすがに小学生くらいのはわかるけど。

 じゃあ何か得意な科目は? と聞かれたらどれも苦手で、強いて言えば図工とか工作系と理科系の一部が少しだけ得意だったというくらいか。

 得意と言っても、少し器用なくらいで特に成績が良かったってわけじゃないけど。


 理数系というように、理科系には数学も欠かせないし……その数学が苦手なんだから。

 工作でも、数学というか計算式を使ったりするし。

 まぁ、勉強熱心な学生というわけでもなかったからなぁ、苦手だからなのか、熱心じゃないから苦手になったのかはわからないが。


「……」

「ん、ルグレッタさん?」

「ワウ?」

「ルグレッタお姉ちゃん?」


 そんな事を考えつつ、リーザの勉強の進捗を聞いていると、ルグレッタさんがこちらを見て目を細めているのに気付いた。

 口角が少し上がり気味だから、朗らかに見ているという感じかな。


「あ、失礼しました。その、タクミ様方の様子を見ていますと、こういう家族の形もあるのだなと。つい……温かい気持ちが胸に溢れてきまして」


 俺達が視線に気づいたのを見てハッとなり、頭を下げるルグレッタさん。


「そ、そうですか? はは、家族に見えているなら良かったです」

「パパとママ、リーザで家族なのー!」

「ワッフ、ワフゥ?」


 ディームに対して言った時の事を覚えているからだろう、前にもそうだって言ったけど? というようなレオの鳴き声。


「いやまぁ、以前はそう言ったけどな? でも、自分でそう思うのと、他人から見てそう見えるのでは違うんだぞレオ?」

「ワウゥ?」


 家族か……そう見えていたなら嬉しいな。

 ただ、見られていたと思うと気恥ずかしくもあるけど。

 血は繋がっていないどころか、種族も違う俺達……家族という言葉の意味は、本来的には血の繋がった親族というのもあるんだろうけど。

 でも俺やリーザ、レオだってお互いを大事にしてこうして過ごしていられるんだから、家族って言ってもいいはずだ――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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