ギフトに関して例え話を交えて教えられました
「いつもと違う感覚……うーん、そこまでの事はなかったかな? 感覚的には、他の植物の時と変わらないと思う。頭で効果や見た目とかを考えて……あぁ、でも感覚とは別に違う部分もあるかな? いや、感覚という部分でもちょっとあるかも……」
「それは……?」
感覚的には、同じような部分もあるけどちょっと違うと言えるのがあったのに思い当たった。
それと同時に、はっきりと現象として違う部分もあったな。
「さっきも見ていたと思うけど、ゼンマイを作る時はちょっとだけ光っていたっていうのが、他の植物とのはっきりとした違いかな。シェリーを助けた薬草の時は、もっと大きく光っていたけど」
「確かに、さっきもそうだけどフェンリル達を助ける時もそうだったね。いつもはそうじゃないの? あんまり、光っているとか意識してタクミ君を見ていなかったんだけど」
大体、『雑草栽培』を始めての人に披露する時は、俺の手に注目が集まっている事が多い。
けどユートさんには、じっくりと近くで『雑草栽培』を見てもらった事がほとんどなかったから、かもしれないな。
あと、フェンリルの時も今回も、どちらかというとユートさんの関心はフェヤリネッテの方だったり、話していたりしたから。
椿の時などにも作って見せたけど、その時はあまり意識して手元を見ていなかったんだろう。
「よく作るラモギとかロエとか……その他の植物ではそんな事はないね」
「成る程ね。うーん、やっぱり他のギフトとかと違うようだね。それと、感覚的の部分でもっていうのは? そっちはあまり自信がなさそうだったけど」
「そっちは本当になんとなくなんだけど、作る際の違和感というか違いっていうのは特にないんだ。けど、ゼンマイとか作る時に光る植物だけじゃなくて、この世界にもなさそうな植物を作る時は、ちょっとだけ力が多く消費されているような感じ、かな」
疲労回復薬草、筋肉回復薬草、それと二種まとめて感覚強化薬草と呼んでいる物など。
これらの薬草を作る時は、『雑草栽培』を使い慣れてきてからではあるけど、なんとなく作った時に消費している感が他の植物、ラモギとかよりも強い。
過剰使用で倒れてしまう、という事があるためそこまで達するのが近いと言うか……要は、大量に作ると危険に感じるっていうわけなんだけど。
「うーん、そっちはゼンマイだけじゃないか。でも、それもおかしな感覚というか話なんだよ。本来ギフトが引き出して使う力の消費は一定なんだ。そうだね……ありふれた薬草を作る時、種類の違いで消費の大小はあったりするかい」
「いや、そういうのはなかったと思う」
感覚的な部分なのではっきりと断言はできないけど、ラモギにしろロエにしろ、効果はそれぞれ違う薬草だけどそれらを作った時に消費する力に違いは感じない。
数値化して色々と調べたというわけではないし、俺の感覚が鈍いとかで感じていないだけかもしれないが。
「うん、そうだよね。そうだなぁ……タクミ君にわかりやすいよう、ゲーム的に言うとだね。仮にギフトに使う力をMPという表記に置き換えたとして……」
「MPって……まぁ確かにゲーム的だ」
ギフトを使う力だから、最初はギフトポイントのGPって考えた事はあるけど。
あくまで例えとしてユートさんは、ゲームでよく使われるMPという事にしたみたいだ。
まぁ理解できれば置き換える記号なんてなんでもいいって事なんだろうけど。
ともかく、ユートさんが話すにはギフトを使う時に消費するMPは常に一定だと。
「ほら、ゲームとかだと使う魔法によって消費するMPって違うでしょ? ほとんどが、強力な魔法程消費MPが多い。けど、ことギフトに関してそれは当てはまらないんだ」
ユートさんに例えれば、『魔導制御』で無限の魔力を引き出せるけど、その魔力は一定で何回引き出すかによって消費するMPが変わるだけの事とか。
それは、どんな魔法でも使えるというギフトの主効果でも同じで、どんな魔法を使ったとしても消費MPは同じらしい。
まぁ人間が呪文で使える魔法はギフトの力を借りず、魔力だけを引き出しているようだけど。
そしてギフトを使う際に感じる感覚や、エフェクト……ユートさん曰くゲームで魔法を使う時などに発生する、光を伴った効果らしいけど、それもどんな魔法を使おうと、どれだけの魔力を引き出そうとも全て一緒だと。
「僕の場合は、僕以外の外の人にはわからない事だけどね。体の内部で起こるエフェクトというか……頭の中で本当に小さなヒバナが散るような感じかな。それは、魔法が体内から放出するものだから外からは見えづらいんだと思ってる。逆に、外から見てもわかるってギフトもあったよ。例えば……」
ギフトのエフェクトに関して話すユートさん。
それによれば、今まで見た中で一番わかりやすかったのはギフトを使用した時に、体のどこかから小さな稲妻が迸るとかがあってそれだと。
ちなみにその稲妻は音もなく、触れても何も感じずギフトの力を目標に対して使う際に出ていたみたいだ……力を飛ばして能力を発生させるための効果、ユートさん的に言えばエフェクトってところなんだろうか。
「外に向かって力を出すと、他の人からも見えるエフェクトになる事もあるってところだね。逆に、内向きの力は本人以外には見えない事も多い。例外もあるけど……とにかく、そのエフェクトは体の内部の人に聞いても、外に出る人のを見ても、全部一定で同じものだったよ。力の強弱とかは関係なくね」
「……それじゃ、その強弱みたいなのを感じているうえ、エフェクトが変わる俺のギフトって……」
「だから、一体なんなの? っていう話になるわけだね。僕が疑問に思うのも当然でしょ?」
「それはまぁ……」
エフェクトだとかMPだとか、クレア達にはわからない話ばかりで、皆キョトンとしていたり首を傾げていたりするけど、それはともかく。
俺の『雑草栽培』だけは、ほかのギフトとは違うエフェクトの出方や、消費の形になっているって事か……。
強弱というのは消費に関してだけど、それが変わる事すらユートさんにとっては、ギフトをよく見知っている人にとっては不思議というか、本来はあり得ない事にもなる。
元々、不思議な能力で謎の部分が多いギフトだけど、俺に関してだけはさらに謎が深まったようだった――。
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