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発光丸薬の効果がわかりました



「うーん……さすがに詳しい事は僕にもわからない部分はあるけど、多分作った誰かの魔力とかによって持続時間が変わるのかもしれない。実際に、発光している丸薬に含まれている魔力が、多かったり少なかったりするから。多ければ多いほど、発光する時間が長いね」

「誰が作ったかかぁ……」


 発光させるための条件だけでなく、発光の持続時間にも何か仕掛けみたいな事があるみたいだ。

 ユートさんの言う通り魔力の含まれている量によって違うなら、こねる時に作った誰かから魔力が流れているとかかもしれないから、外部的な要因なんだろうけど。


「レオとリーザ、レオとデリアさんが作ったのが、一番長い時間発光しているのかぁ」

「そうみたいだね。レオちゃんとフェリーのや、フェンリル同士って事じゃないなら作った誰かの魔力量が原因ってわけでもないみたいだね。魔力量や質で言えば、レオちゃんとフェンリルの組み合わせが一番だろうし」


 ちなみに、次点としてフェリーとリーザ、フェリーとデリアさんが作った物の発光時間が長かった。

 レオだからではなく、リーザやデリアさんのような獣人の方に何かあるような気がする結果だ。

 リーザとデリアさんではどちらも時間はほぼ誤差の違いしかなく、リーザとデリアさんの二人が作った物は、レオとフェリーが作った物よりも発光時間は短かく、それぞれが一人で作った物と同じ発光時間だった。

 獣人に何かあるようではあるけど、獣人だけで作るのが良さそう、というわけでもないようだな。


「そうですね……意思疎通ができる獣人と、獣型の魔物という部分に何かあるんでしょうか」

「それはわからないけど、でもクレアの言う通りそういうのも何か関係しているのかもね。とりあえず……」


 理由とかはわからないけど、作られた発光丸薬が組み合わせによっても多少変わるのなら、色々な組み合わせを試すだけだ。

 幸いにも、ここには獣人とシルバーフェンリルだけでなく、他にも魔物がいるわけだしな。

 人では作れなくても、協力してくれる皆がいるのは助かる……試験的にとはいえ危険な事じゃないのも、遠慮なく頼めるしな。

 というわけで、ラーレやコッカー達をティルラちゃんに呼んでもらっているうちに、俺はサニターティムを量産。


 それぞれで花を摘み取ってもらって、様々な組み合わせを試してもらう。

 ラーレやコッカー達は、器用に羽をすり合わせてこねていた……レオがちょっと羨ましそうにしていたけど、体の作りが違うんだから仕方ない。

 さすがにシルバーフェンリルとはいえ、生まれ持った体の仕組みまでもを無理矢理は変えられないようだからな。

 もしできたとしても、それがいい事なのかわからないし……と、ラーレ達やレオとフェリーの真似をするフェンリル達の発光丸薬作りの様子を見ながら考えていたら……。


「わかったのよう!」

「お?」


 発光する丸薬に顔を近づけて観察、発光しなくなったらまた別の誰かが作った物へと移動して、凝視するように調べていたフェヤリネッテが声を上げた。

 どうやら、発光丸薬について何かわかったらしい。


「サニターティム、だったのよう? これの効果がわかったのよう……んぐんぐ」

「……調べてくれたのは助かるし、フェヤリネッテが調べてわかったのは朗報だけど……何を食べているんだ?」

「見るだけじゃ、はっきりわからなかったから食べてみたのよう。それで、体の中でどうなるか調べたのよう」

「そ、そうか……えっと、体の方は大丈夫なのか?」


 確かに、効果を確かめるには見るよりも体内に取り込んだ方がわかるのかもしれないが……一応毒とかはないと思うけど、それでもあの毒々しい紫と黒の斑点模様、花を凝縮した丸薬を口に含むのは、結構勇気がいると思う。

 妖精のフェヤリネッテだから、人間とはそういう価値観みたいなものが違うのかもしれないけど。


「全く問題ないのよう。むしろ、体内の魔力が整ってすっきりとした気分なのよう!」

「お腹を壊したりしていないのなら良かったけど……体内の魔力が?」

「そうなのよう! 光っている状態の丸薬は、体内の魔力を整えて正常にする効果があるのよう! つまり、あれとは逆の性質って事なのよう!」


 興奮気味にそう言うフェヤリネッテ。

 魔力が整ってスッキリした気分というのはよくわからないが、フェンリル達がカナンビスで魔力を乱され、戻したり気持ち悪そうにしていたのを考えると、そういうものなのかも。


「じゃあ、あれに対抗するための効果もあるって考えていいのかな?」

「できれば実物を食べて確かめたいところだけどなのよう、けど多分あると思うのよう!」


 実際にはカナンビスと食べ比べ? みたいな事をしてみないと絶対とは言えないけど、効果は保証されたに近いって考えて良さそうだ。


「そうかぁ……良かった。それじゃ、サニターティムを作るのは無駄にはならないな」

「うむ、さすがタクミ殿だ」

「私達では、情報があっても探すくらいでこんなに簡単に作りだすなんてできませんからね」

「ははは……『雑草栽培』のおかげだけどね。あと、セバスチャンさん達が調べてくれたのもあるかな」


 ホッと息を吐いて呟くと、フェヤリネッテと俺のやり取りを見ていたエッケンハルトさん、それとクレアから褒められる。

 言葉としては謙遜したし、これはもう癖みたいなものだけど……クレアとも話したように、『雑草栽培』に対して、そして俺自身に対して少しは自信に繋がりそうかなとも思う。

 まぁ、前向きにというかそういう方向に考えるようにしているからだろうけど。


「ただ……光がなくなったら効果もなくなるみたいだから、作ったらすぐに使わないといけないのが問題かな。――で、いいんだよなフェヤリネッテ?」

「光っていないのも食べたけど、あっちは花の蜜の味しかしなかったのよう。何かの効果とか、そういうのはないはずなのよう」


 蜜の味はあるんだ……どんな味かは食べていないからわからないが、丸薬にする時もなった後も蜜らしきのはなかったから、そういうのはない物なのだと思っていたけど。

 フェヤリネッテ、モコモコとした毛玉のような見た目で妖精というイメージとは少し違うけど、宙を舞って花の蜜を求めるというのはなんとなくそれっぽくはあるか。

 いやまぁ、フェヤリネッテが花の蜜を求めるために花に向かう所は見た事がないし、好むかどうかはまた別だろうけど。


 最近はユートさんの作りだした魔力球に吸い寄せられている姿ばかりだし。

 なんて、サニターティムの効果に少しだけ安心してちょっと思考を逸らしてたら、クレアが何やら口元に手を当てて考え、呟いた――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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