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レオも丸薬作りに挑戦してみました



 発光する段階を把握すれば、ある程度こねておいて発光されるかどうかの直前の段階で止めておいて、すぐに発光する丸薬が作れるかも?

 そのためには、多く試してみないといけないが……と、それよりも、この結果と発光している事による効果の方が大事だな。

 いくら発光しているからといっても、カナンビスに効果がなかったら意味がないんだから。


「まずは僕の方から。これは多分、本来は人間に扱えない物なのかもしれないね。だから、人が触れて作った丸薬は発光しない。理由はまぁ色々あるのかもしれないけど、わかりやすく言えば人間除外ってところかな」

「人間除外?」

「いや、僕が今勝手に作ったんだけどね。とにかく、作る条件として人間以外がこねる必要があるんだと思う」


 人間除外、というのは今ユートさんが適当に言った言葉らしいけど、ともかくそういう事らしい。

 実際に、リーザ以外はレオと試したように俺や人がこねた物は発光しなかった。

 発光しないという事は、うまく魔力の塊になっていないという事だ。

 ユートさんも、発光していない丸薬は魔力を見て首を振っているから、魔力は霧散してしまっているんだろう。


「だから、この丸薬を発光させなければいけないのなら、人間以外の誰かが作る必要があるんだと思う。もしくは……」

「俺が、『雑草栽培』で状態変化させないといけないって事かな」

「だろうね。さっきタクミ君が変化させた時は光っていたけど、手でこねて作ったら光らなかった」


 『雑草栽培』はそういう、人間がとかの種族的な部分すら越えて変化させていたってわけか。

 そもそも、魔力があるのはわかるにしても植物に人間かそれ以外かを判定する何かがあるかというのは疑問だけど……意思があるわけではないしなぁ。

 実際にそうなっているんだから納得するしかない。


「じゃあ、人間以外なら……リーザはできているけど、デリアさんはどうだろう。ちょっと試してみようかな。――デリアさん!」

「は、はいただいま!」

「まぁ獣人だから大丈夫だと思うけど、色々確かめるのは大事だね」


 リーザが楽しくなってきたのか、いくつかの丸薬をこねるのと一緒に尻尾をフリフリしているのを、横でエッケンハルトさん達に混じって見ているデリアさんを呼ぶ。

 若干犬っぽさもあるデリアさんだけど、尻尾と耳は猫の物で身体能力とかもそれに近いのか、意外といつの間にか近くにいる事があるんだよなぁ。

 本人は多分気配を消して動いているつもりはないんだろうけど……森で狩りをしていた経験から、癖になっているのかもしれないけど。


「どうされましたか、タクミ様」

「えっと、リーザと同じようにこのサニタ―ティムの花を使って丸薬を作ってみてくれますか? 条件があるらしくて、獣人のデリアさんに試してみて欲しいんです」

「わかりました!」


 シュタッ! と気を付けをしたデリアさんに、サニターティムの摘み取った花を渡す。

 ちょっと緊張気味に、デリアさんがゆっくり両手でこねていくと……。


「うん、光ってるね。やっぱりユートさんの言う通りみたいだ」

「ワフ、ワッフワウ」


 俺とユートさんの話を聞いていたんだろう、レオがデリアさんが発光丸薬を作れたのを見て自分もやりたいと主張するように鳴く。

 でもさすがにレオはちょっとどころじゃなく、難しいと思う。

 シルバーフェンリルになってからのレオが器用なのはわかるけど……。


「いやぁ、レオはさすがにできないんじゃないか?」

「ワウ!?」


 俺の言葉に、なんで!? と驚くように鳴いた。

 作りたかったんだろうけど残念ながら、レオは自分の手というか足を合わせる事ができないからな。

 絶対できないと言う程ではないけど……まぁ丈夫な台とかを用意すればいいしな。

 けど今はそんな準備はないし。


「レオはこねられないからなぁ」

「ワウゥ……ワフ。ワーフワウワフ!」

「グ、グルゥ!? グルルゥ……」

「ん?」


 落ち込むように、一瞬だけしょんぼりしていたレオだけど、何かを思いついたのか鳴き声を上げてフェリーを呼んだ。

 何をするつもりだろう? と思っていたら、俺の足元でまだ摘み取っていなかったサニターティムの花弁を口で摘み取り、フェリーの前へ持って行く。

 そうして……。


「ワフ。ワッフワウガウ」

「グルゥ……? グル、グルルゥ」


 レオの声を聞いたフェリーが、戸惑いながらも両前足を上げて後ろ足立ちになる。

 さらにレオも同じく後ろ足立ちになって、お互いの両前足を重ねた。

 サニターティムの花弁は小さいから、レオの右前足とフェリーの左前足の間にしかなく、もう片方には何も挟まっていないけど……まぁそこはバランスを取るためってところか。


「な、成る程……そうすれば確かにこねられるけど、それでいいのか……?」

「まぁまぁ、シルバーフェンリルとフェンリルの共同作業ってところだし、見てて面白いからいいんじゃない?」


 自分の足を合わせられないのなら、同じく合わせられないフェリー達フェンリルの手……足? を借りてこねればいいって事か。

 確かにパッと見はレオとフェリーが仲良しに見えるだけで、微笑ましいし面白いとも言えるんだろうけども。

 いや、今はなんでも試してみるべきだろうから、手段は気にしないでおこう。

 そうして、しばらくレオとフェリーが両前足を合わせてもぞもぞと動かした結果、発光丸薬ができあがった。


 巨大な狼二体だから、かなりの重さがかかっていたんだろう、丸薬と言うにはいびつな形ではあるが。

 まぁさすがに形を整えられる程、器用じゃないか。


「ワッフ、ワウーワフワウ!」

「はいはい、わかったよ」

「私も、ママと一緒に作るー!」


 ちゃんとできた事に対して、レオが誇らしげに胸を張ってもっとやりたいと主張するのに苦笑し、リーザも楽しそうなので追加のサニターティムを作る。

 遊びではないけど、楽しんじゃいけないわけでもなし、作るのはすぐだから構わないだろう。

 大量に作っても、まだはっきり効果があるかは出ていないんだから、後々処理に困る可能性がないとは言えないが……。


「タクミさんタクミさん、これ……それぞれ、光が続く時間が違うみたいですね。使った花の数とかは、皆一緒だったと思うのですけど」

「確かに。誰が作ったかによって違うのかな?」




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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