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1669/1997

早めの調査報告に来たみたいでした



「年齢は離れていますが、同僚のライラさんの事ですから気にはなりますが……女性が隠し事をしようとしている時は、騒がず触れずが一番とジェーンからよく言われています。……それで、痛い目にあった事も何度かありましたから」


 ライラさんの様子は気になるけど、その気持ちを抑えてクレアに頷く俺に追従するように、アルフレットさんも冗談を交えながら頷いた。

 というかアルフレットさん、冗談っぽく言っているけど本当に痛い目にあった事があるみたいだ……まぁ、俺の倍は生きている人だから、それなりの経験をしているって事だな。

 でも、女性ならではというのなら、本当に毎月の男にはないあれが関係していたりするんだろうか? っと、いかんいかん、気にしすぎないようにと思った矢先に、考えてしまっている。


 とりあえず、ライラさんが見るからに様子がおかしかったり、体調が悪いのを隠せないくらいになるまでは、黙っておこう。

 クレアがいてくれるから、俺があれこれ気遣わなくても大丈夫だとは思うけど。

 あ、そうだ……。


「レオとリーザも、今話していた事はライラさんには内緒な? ライラさんが困っちゃうから」

「ワフ」

「うん、わかったー」


 こういう時、どんな事情かはともかくライラさんはそれを表に出そうとしていない。

 けど、レオやリーザとかから伝わったりして悩んでいる本人があたふたする、という事もよくあるからな……物語の中でだけど、現実でも時折あるという実体験だ……あたふたしたのは俺じゃないが。

 ともあれ、そういった事を防ぐために念のためレオとリーザには内緒にするよう言っておく。

 それからしばらく、キースさんが執務室を来て、さらにクレアを探しに来たヴァレットさんやエルミーネさんも加えて、薬草園に関係する話……以外の雑談も含めて、話し合った。


 たまには、同じ場所でクレア達と仕事を進めるのも悪くはない、というかいい事だ。

 せっかく、同じ屋敷にいるわけだし、レオやリーザに構いながらだけど和やかな雰囲気でもあったから。

 ……日本にいた時の、会社で仕事をしていたような緊張感とは無縁だ。

 精神をすり減らしながらの仕事は、できる限りやりたくないからすごくありがたかった――。



「……ん?」


 そろそろ夕食が近い時間、執務室内に扉をノックする音が響く。

 ヴァレットさん達は他にやる事があるため、少し前に退室していて、今部屋の中にはレオとリーザ、クレアとエルミーネさん、それから仕事ぶりを観察しに来た、という名目で遊びに来たエッケンハルトさんと、そのお目付け役らしいハイディさんがいる。

 ハイディさんは、マリエッタさんに付いてきたメイドさんだな……エルミーネさんやアルフレットさん達と同年代らしい。

 お目付け役というのは、俺達の邪魔をしないようにエッケンハルトさんを見張る役らしい。


「タクミ様、ルグリアです。入ってもよろしいでしょうか?」

「いつもの報告かな? どうぞ」


 扉の外から女性の名乗りの声。

 ルグリアさんは大広間で皆の前で紹介されていたんだけど、オーリエちゃんの近衛護衛で班長さんだ。

 つまり、第二近衛騎士隊の隊長さんでもあるって事だ。

 そんな人だけど、最近は森の調査をするための調査隊の隊長もしてくれていて、こうして今のように何かあれば、もしくは何もなくても定期的に報告に来てくれる。


 その調査隊には、他の近衛護衛さん達やフィリップさんなど屋敷の護衛さんもいるのは、以前森に人が何度も踏み込んでいるという報告に来た時に一緒にいた通りだ。

 オーリエちゃんの護衛班は女性で編成されているんだけど、その近衛護衛さん達にちょっかいを出さないよう、ヨハンナさん達が目を光らせているとも聞いたけど、これはまぁいいか。


「失礼します」

「ルグリアさん、今日の報告……でいいんですよね? 少し早い気もしますけど。あと、パプティストさんもいるのは……?」


 扉を開け、一礼して入ってくるのは名乗った通りのルグリアさん……だけでなく、パプティストさんも一緒だった。

 パプティストさんは、テオ君側の近衛護衛班長の男性で、第二近衛騎士隊の副隊長さんらしい。

 森の調査隊でも副隊長だ。

 かなりの美形なんだけど、照れ屋なのかその美形から過去に何かあったのか、よっぽどの事がない限り女性が近くにいる場所でフルフェイスの兜を外さない人だったりもする。


 ちなみに、大広間での挨拶会の時も外していなかったから、従業員さんが驚いていた。

 まぁ、正式な礼をしなければいけない場合などは外すらしいけど。

 俺は男性のみの場で、その顔を見た事があるけど……男相手でも結構おどおどしてしまっていたけど、本当に美形で同じ男として自信を無くしてしまいそうな程だった。


 多分、顔を晒して外を歩いたら、村の奥様方だけでなく女性達が黙ってはいないだろう、ってとこだ。

 兜を被るなどで顔を隠していれば、普通に話せるんだけどな。


「早くに報告に参りましたのは、調査に進展というべきかは迷いますが……報告すべき事を見つけましたので。公爵様もおられるのなら、ちょうど良かったかと。あぁ、パプティストはついでです」

「ついでって、隊長は手厳しいですね。発見したのは私なのに、はぁ……」


 いつもなら夕食の前くらいに報告に来るんだけど、少し早めの時間に来たのは調査の方で何かがあったかららしい。

 パプティストさんは、ため息を吐いているけどルグリアさんの言い方にも慣れている様子だ……さすが、第二近衛騎士隊でも隊長と副隊長という間柄だけはある、のかな。

 まぁ、ルグリアさんの冷たい言い方は妹さんとそっくりで、聞く方の俺はもう慣れてしまったけど。

 ……ルグリアさん、ルグレッタさんのお姉さんらしい。


 そのルグリアさんは、ルグレッタさんと同じ髪色を短く切り揃えていて、冷たいというよりは生真面目を体現しているという風な人。

 高めの身長なのもあって、多少圧力を感じる人もいるかもしれないが、俺は好ましい人物だと思っている……実際、真面目に毎日報告してくれているし、真剣にオーリエちゃんの身を案じているような話も聞いたからな。

 ただ見た目だけでなく、仕草や行動は真面目さが前面に出ているため、ルグレッタさんの方がユートさんに気に入られたんだろうとも、同時に考えたけど。


 ユートさんに気に入られるのがいい事かは、なんとも言えないが。

 ともあれ、余計な事を考えている場合じゃなく、俺やエッケンハルトさんに報告するべき何かが、森の中で見つかったって方が重要だな――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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