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クレアから気になる事を聞きました



「そうですね。必ずしもタクミさんが行かないといけない、というわけではないでしょうけど……レオ様やフェンリル達がいてくれれば、危険はほとんどありませんし。もちろん、油断はできませんけど」


 そう言って、意気込むように拳を握るクレア……もしかしたら、魔法を使ってみたいのかもしれない。

 でも、女性のクレアに狩りはどうだろう? と思う。

 フェンリル達に任せれば、ほぼ凍らせて終わりなところもあるから、あまり血が飛び交うような場面は見ないで済むとは思うけど……。

 場合によっては、俺もちょっと目を逸らしたくなる事があったりもするからな。

 まぁ、前にリーザとかテオ君達も連れて行ったから今更ではあるけど……クレアも、フェンリルの森に一緒に入ったし、レオ達だけでなく魔物を倒すところを見ていたから問題はないかも。


 ……この世界の人達は、生きる糧を得るために魔物などを狩るという事にはあまり抵抗を感じていないみたいだから、大丈夫なのかもしれないなぁ。

 いや、全然何も感じないとかではなく、ある程度は覚悟とか考えそのものが違うというべきか。

 そう言った事を感じていて、だからこそブレイユ村で率先してデリアさん達の狩りに参加したんだけども。


 あと、貴族といえば余暇を楽しむための狩猟みたいなイメージがあるから、ある意味クレアやエッケンハルトさんには合っている……のか?

 地球の中世ヨーロッパでの歴史からの、勝手なイメージだから実際は関係ないと思うけど。


「ワウ?」

「ははは、そうだね。今度は、クレアも一緒に行こうか。特別いい物ってわけでもないけど。――とりあえずレオ、また近いうちにでも……時間があればになるけど、フェンリル達と狩りにいこうな?」


 クレアの言葉に、伏せて目を閉じていたレオが顔を上げたので、呼ばれたのかと思ったんだろう。

 立ち上がってクレアに応えながら、レオの顔を撫でて話しかける。


「ワフ、ワフワウ!」

「私も、ママやパパと一緒に行くー!」

「そうね、リーザちゃんも一緒にね」


 尻尾を振って嬉しそうなレオ、同じくリーザもか……レオはともかく、もしかしたらリーザも獣人だから狩猟本能みたいなのがあるのかもしれない。

 確か、以前聞いた時に獣人の国では狩猟をする事が多いとか聞いた気がするし。

 とはいえ、危ない事はできるだけ避けつつ、レオが見守っている時に限ってリーザがやりたいのなら、魔物と戦うくらいでいいだろう。

 怪我とかできるだけして欲しくないからな。


 まぁ、森の魔物を狩りつくしてもいけないし、廃棄する余剰な食料にならないようにだけども。

 もちろん、害のある魔物が森の外や村に近づいてくるようなら、それとは別に倒す必要はあるけど。

 こちらは狩りというより、駆除とかに近いか……生活圏を脅かされないようにそういった事も必要だろう。

 薬草を栽培する畑も守らないといけないからな。


 そうして、時折レオやリーザを構ってやりながら、クレアやアルフレットさんと共に和やかな雰囲気で過ごした。

 仕事というか、必要な事を話し合いながらでもあるけど。

 ただ、屋号に関してはまだいい案が出なかったので決まらないままだったが……何か、いい案はないものか。

 そんな中、ふとクレアが思い出したように言った。


「そういえば、ライラの様子が少しおかしい気がしました……自己管理のみならず、お世話をする人の事もこなすあのライラが、不調という事は考えづらいですが」

「ライラさんだって、不調な時はあるとは思うけど……」


 そつなくお世話をしてくれるうえ、イレギュラーな事があっても冷静に動く、というイメージがピッタリのライラさんでも、さすがにロボットじゃないんだから、不調の時だってあるだろう。

 それこそ、男の俺が口にするのは躊躇われる女性の日とかな。

 ……まぁ、そう考えている俺自身も、ライラさんが体調を崩している姿を想像できないんだけども。

 クレアもそうだけど、こちらの世界に来てすぐ知り合った別邸の人達は、ライラさん以外は体調が悪そうな事は当然あったのに、ライラさんはそういうのを見た事がない。


 ただ隠して見せないように、とかそういう事なんだろうけど。

 ちなみにライラさん以外で見た事があると言っても、怪我や大病とかではなく、ただの寝不足だったり疲れが溜まっていたりといったくらいだけど。

 薬酒のおかげや、俺が作る薬草の効果もあるんだろう……大体の不調なら、すぐに対処できるからな。

 以前俺がやったように、疲労からくる発熱とかでない限りは。


 一番多く見た不調は、フィリップさんの二日酔いだったりするのはまぁ、気にしないでおこう。

 大体はその状態でヨハンナさんに叱られていたり、セバスチャンさんなどに注意されていたし……二日酔いを治す薬草というのもないからな。

 疲労回復薬草なら、少し和らぐみたいだけど、それよりヘレーナさんの作った暖かいスープとかの方が効くようだ。


「まぁ、それはそうなのですけれど……なんというか、不調とは違う雰囲気を感じる気がするんです」

「不調とは違う? んー……クレアが見た様子がおかしいっていうのは、さっき皆が集まっていた時だよね?」

「はい。それに、ライラなら必ず今こうしている時にもお茶の用意をしてくれるはずですし……」

「言われてみれば……」


 そういえば、執務室に俺がいる時は必ずライラさんがお茶を淹れてくれていた。

 けど今日は他にやる事があるらしく、アルフレットさんが淹れてくれたお茶だ。

 どちらがいいとかそういうわけではないんだけど、いつもライラさんがやってくれていたから、ほんの少し寂しさのようなものを感じたっけ。


「でもまぁ、いつでもライラさんがお茶の用意ができるとは限らないし……時折、いつ用意しているのか疑問に感じるくらいの時もあるけど」


 これも、不調な様子を見せないのと似ているけど、別邸でも屋敷でも、どこをどう動いているのかいつの間にかお茶を用意されている事が多い。

 お茶に限った事ではないけど。

 ある時なんて、俺と一緒に部屋を出て客間に行くからと、途中の廊下で別れたのに俺がその客間に行った時には既に暖かいお茶が用意されていた、なんてこともあったからな。

 ちなみに、別邸と屋敷の両方で何回もだ――。



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■7巻書影■mclzc7335mw83zqpg1o41o7ggi3d_rj1_15y_1no_fpwq.jpg


■7巻口絵■ mclzc7335mw83zqpg1o41o7ggi3d_rj1_15y_1no_fpwq.jpg


■7巻挿絵■ mclzc7335mw83zqpg1o41o7ggi3d_rj1_15y_1no_fpwq.jpg


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