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挨拶会が終わりました



「それじゃ、テオ君」

「え、えっと……テオと呼んで下さい。ここでは、色々な事を見聞きし、学べたらと思い滞在しています。見かけたら、気軽に声をかけて下さい。よろしくお願いします」


 テオ君を促し、皆の前で挨拶と一言。

 実際には一言ではなく、テオ君らしい真面目な言葉だったけど、さっきまでの緩い雰囲気のおかげで皆拍手で歓迎してくれた。

 まぁ、一部には事情を知っている人や察している人もいて、その人達は朗らかに微笑んでいたけど。

 その次に、オーリエちゃんが「よろしくお願いしましゅ!」と、皆に近くで注目される緊張から噛んでしまいつつ、ペコリとお辞儀をするのを、暖かく見守った。


 特にエルケリッヒさんとか、近いくらいの年齢の人達は孫のように見えるのか、顔が綻びっぱなしだった。

 オーリエちゃんは、お爺さんお婆さんに人気が出そうだなぁ。

 そんなこんなもありつつ、テオ君とオーリエちゃんの紹介の後は近衛護衛さん達。

 総勢八人の人達は、班長の二人から簡単に紹介を済ませた。


 男性四人はテオ君で、女性四人はオーリエちゃんの護衛を担当するけど、状況に応じて柔軟に対応してくれる人達……今は、森の調査隊としても活躍してくれる人達だな。

 テオ君達が表向き身分を隠している以上、近衛護衛さん達は公爵家から追加の護衛兵士だと紹介されていて、テオ君やオーリエちゃんの専属みたいな部分はあやふやにしていたけども。

 今更だけど近衛護衛さん達、正式には「第二近衛騎士隊」で騎士とある通りエリートらしく、肉体的にも精神的にも優れている事が問われるとか。

 まぁ、近衛護衛というのは俺が勝手に内心でそう呼んでいるだけの事だな。


 ちなみに、第一近衛の方は王様を守るための騎士隊らしい。

 それと、正式名称も含めて後で聞いた話だけど……調査隊で意欲的に森の調査をしてくれていて、よく報告にも来てくれる女性班長さんは、実は第二近衛騎士隊の隊長さんでもあるみたいだった。

 男性班長さんの方は、副隊長とか。

 騎士隊を全て率いているわけではなく、小隊よりもさらに少ない人数のため、今は班長でもあるとの事だった。


 ……考えていたよりも、凄い人が来てくれていたんだなぁ。

 そんな人達が、森の調査をしてくれたり俺に使われているような状況は、まずいのでは? と思ったけど、ユートさんはむしろ使ってやった方が喜ぶだろうと笑って言っていたし、女性班長さんも頷いていた。

 近衛騎士なのに、それでいいのだろうか……? まぁ、レオとかフェンリルがいてくれるおかげだと思っておく事にした。

 借りているだけという風に考えておいて、変に勘違いしたりしないようにしなきゃな。


「はぁ……とりあえず何事もなく終わった、のかな。エッケンハルトさん達が仕掛けた盛り上がりが、一番疲れた気がするけど……」


 挨拶会を終えてそれぞれ解散となり、一部の人達はそのまま大広間で雑談などをしていたようだけど、俺はクレアやアルフレットさん達と一緒に執務室で、疲れと一緒に息を吐きだす。

 レオやリーザも一緒だ……今日はリーザの勉強はお休みの日だから、外で遊んでいてもいいんだけど、俺に付いてきたがったから。

 まぁ、仕事に追われているわけでもないし、やる事はあっても合間に相手をする事もできるから、いいんだけど。

 ちなみに、レオとリーザに関しても近衛護衛さん達の後、最後の最後で一応紹介しておいた。


 レオの背中に乗ったリーザは暖かい目で皆が見ていたのは、オーリエちゃんみたいだったけど。

 まぁ、可愛いから仕方ない……なんて親バカな事を考えていたりもする。

 ただそれだけじゃなく、ずっとリーザを乗せて伏せていたレオが立ち上がって、大きく一声鳴いた時には何故か皆、跪いていた。

 立っているのは俺とユートさんくらいなもので、エッケンハルトさん達もだったんだが……どこぞの王様を前にしたようで、ある意味壮観だったけど驚いた。


 レオ自身は跪かれてどうこうというより、皆の様子を見て首を傾げていて可愛さしかなく、風格のようなものは一切なかったんだけど。

 ……とりあえず、レオってすごいんだなぁと思うだけにしておいた。

 細かく考えると、公爵家とシルバーフェンリルの関係とか、その他諸々を考えないといけなくなって面倒そうだったからな。

 いや、面倒というより怖い……かな。


「一部、お父様達には驚かされましたけど、それ以外では何事もなかったですし、皆仲良くなれそうで良かったです」

「うん、そうだね。元々知り合いだったり、面談の時にも会っていたり、別邸に招いた事もあったのも大きいかな?」

「そうですね。それぞれ担当や働く内容が違っても、それを越えて親しそうにしていました」


 執務室にあるいつもの机に付く俺の隣に座っているクレアが、微笑みながら言って、ホッとした息を吐く。

 まぁ、エッケンハルトさん達の事はともかくとして……集まった皆は特にいがみ合う事やぶつかる事もなく、親しく談笑しているようだった。

 俺達が雇う以前から、同じ村や街の出身というわけでなくても交流があった人達もいたみたいで、面識のある人同士も含めて、部署などの垣根なく話していたのも、軋轢とかは今のところなさそうだと思える一因かな。

 ティルラちゃんのギフトが発現して倒れた印象が強いけど、その前の日に全員じゃないけどできるだけ集めて別邸で親睦会みたいな事をしたのも良かったみたいだ。


 あの時の事を話している人の声もちらほら聞こえたしな。

 一部は、お酒の強さを競ったり、食べる量を競うような話をしていた人もいたみたいだが。

 飲みすぎ、食べ過ぎには注意して欲しいところだ。


「とりあえず、このままいけば何事もなく薬草園を始められそうだね」

「えぇ。でも、そろそろ薬草園、薬草畑以外の呼び名を考えないと……」

「そういえば……」


 クレアに言われて思い出す。

 薬草園とか薬草畑と呼ぶだけだと、全体としてはふさわしい呼び名ではないので、何か名前を考えて欲しいと言われていた事を。

 まぁ、実際に薬草を作る畑の事を薬草園、薬草畑とも呼ぶわけだし、全体の事を言っているのか畑の事を言っているのか紛らわしいからな。

 あと会社名とか店舗名のような、屋号的な意味合いもある――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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