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諸事を済ませて魔物図鑑を読みました



 ――魔法講義と、魔法の見本等々が終わった後は、屋敷に戻って最後に到着する従業員さんに関する書類を確認後、本人を迎えた。

 その従業員さんは、到着が遅くなった事をしきりに謝っていたけど、まだ薬草畑が本格的に始まる前なので問題ないと伝えて安心してもらった。

 まぁその後、夕食の時にエッケンハルトさん達と同じ食卓に着いて、気を失いかける程に緊張していたけど。

 これが遅れた罰ですか……なんて呟いていたけど、罰のつもりはない。


 あと、ユートさんはその日の夕食に姿を現す事はなかった。

 ルグレッタさんにこってり絞られている、というよりは、やり取りするための手紙などがまとまらなかったらしい。

 要は残業だ。

 さすがにルグレッタさんから二度目の逃亡を図る事はできなかったようで、ユートさんとルグレッタさんだけは食事を部屋でする事になった。


 そうして、夕食が終わった後はエッケンハルトさんやティルラちゃんと、今日はリーザも加えて日課の素振り、シャドーボクシングのような仮想敵に対するイメージを追加で。

 久々にやったけど、素振りよりは体も動かすし少しハードな鍛錬と言ったところだな。

 リーザは仮想敵を思い浮かべての鍛錬はやった事がないので、とりあえずの素振りだったけど……参加したのは、レオ達が魔法を使っているのを見て、なんとなく刺激されたらしい。

 体を動かしたくなった、ってところだろう。


 その後はお風呂に入って汗を流し、一旦執務室に行って借りた本を持って寝室へ。

 本は、従業員さんの到着を待つ間に少し読んでみたけど、まだまだ残っているので寝る前に少しでも読み進めようと思ったからだ。


「ふむ、コカトリスは大まかには聞いた通りみたいだけど……俺が想像していたのとは、少し違ったみたいだなぁ」

「ワッフ、ワッフ」

「きゃぁ、にゃふふ……ママ、くすぐったいよう」


 レオとリーザが、じゃれ合う……というより、レオがリーザの顔を舐めているだけだが、楽しそうな声を聞きつつ、机に向かって本を読み進める俺。

 まず読んでいるのは、魔物図鑑のコカトリスに関する項目。

 成長すると赤いトサカが生え、白い羽毛に包まれるという話からニワトリを想像していた……まぁ鶏が全て白い羽毛というわけじゃないが、それはともかく。

 図鑑に書かれているコカトリスも、その話との違いはないんだけど他の部分が鶏とは違った。


 まず、体は大きめで脚部が発達して伸びるらしい。

 首も少し伸びるみたいで、ニワトリ改めガチョウが思い浮かんだ。

 図鑑に書かれている絵も、ダチョウっぽかったのもある……ダチョウと比べると、首が少し短めだが。

 ただ、さらに詳しく読み込むと足には水かきがあるとか。


 水かきがあるといっても、ガチョウやアヒルのように泳ぐ事はできないらしく、嘴もアヒルとは違う。

 図鑑では、泳がせようと川に入ったら溺れたと書かれている……何て事をと思ったが、図鑑を書いた人が無理やり川に放ったのではなく、自ら入ったのだとか。

 ……泳げないのに、自ら入ったのか。

 それはともかく、足の水かきは泳ぐためよりも安定して地上を走るためのものらしく、その走りは馬の全力にも勝つ事があるという。

 ただし、森の中に生息する事が多いため、馬と競う機会はほぼないうえ、当然ながら人を乗せたりもできないのであまり意味はないとの事だ。


 軽い物なら載せて走れるとも書かれているので、もしかしたらルグレッタさんが言っていた、ユートさんや一部が利用できる方法に関係しているのか?

 コカトリスの事は、ユートさんも詳しくないみたいだったから、似ているけど別物かもしれないが。


「んー、焼いて食べると美味しい、というのはまぁ聞いた通りか。ただ、食べるために調べているわけじゃないけど」


 ラーレがコッカーとトリースを連れて来た時、セバスチャンさんが言っていたように、焼いて食べると淡白ながら美味だとも書かれていた。

 鶏肉といえば、手羽先や唐揚げなどが思い浮かぶ。

 こちらに来てから鶏肉はともかく、手羽先や唐揚げは食べていないから……とは思うが、さすがに仕事をしてもらおうとしているのに、食料としてみるのはどうかと思うので、考えを打ち払っておいた。


「ん……ふむ。こっちは期待できそう、かな?」


 コカトリスそのものを食べること以外にも、その卵に関しても絵と一緒に書かれていた。

 大きさは両手で持つ程の物で、地球でもこちらでもある一般的な卵よりかなり大きめで、それこそ地球で世界最大の大きさと言われているダチョウの卵とかと同等みたいだな。

 卵と言えば、ユートさんがジュウヤクで消毒液を作るよう進めているので、近いうちに生卵も食べられるようになる。

 もしかしたら、ダチョウ……じゃなかった、コカトリスの卵も美味しく食べられるかもしれないな、と少し期待。


「ただ、さすがにこれはな……」


 卵を食べる部分は、特に詳細に書かれてているのは著者が卵好きなのかもしれないが、有精卵と無精卵の両方とも食べられるうえ、その味や調理法なんかも書かれていた。

 コカトリスは日に数度産卵し、大きさのせいなのか一度に一つくらいで多いとは言えないみたいだけど、そこは問題じゃなく無精卵と有精卵についてだ。

 無精卵は、他の卵と同じように茹でたりなどなんだけど、有精卵は卵の殻を上半分だけ取り除いて焼くとか……それ、ほとんどコカトリスの子供を食べるのと変わらないよな。

 地球でも、国によっては有精卵を食べる所もあるみたいだが、俺は日本生まれの日本育ちで、日本食での卵と言えば無精卵だ。


 だからさすがに有精卵は食べる気がしないし、有精卵はさすがにコカトリスが許してくれないと思う。

 無精卵なら許してくれる、とは都合のいい考えかもしれないが。

 とりあえず卵に関しては、コカトリスに協力を取り付けてから次第だな。

 交渉の余地があればだが……。


「えーっと、他には……あんまり高くは飛べないのか。だから、脚が発達しているのかもなぁ」


 コカトリスが飛べる高さは、大体十メートルから二十メートルくらいらしい。

 森にある木よりも低いくらいだから、空を飛んで森から出る事はほぼないんだとか。

 まぁ、逃げるために走るより飛ぶ方がいい時は、飛んで行くらしいけど。


 他には、仲間意識はあっても家族とか血の繋がりみたいなものは希薄らしく、一度群れなどから離れた個体は、戻って来るなり合流するなりしても、別の場所から来た同種族くらいにしか考えないのだと。

 この辺りは、ラーレがコッカー達を連れて来た時に聞いたか――。



読んで下さった方、皆様に感謝を。


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