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無詠唱と対極の考え方を教わりました



「戦争? いや、そんな……一切考えていないけど」


 魔法に関して褒められたのはいいけど、その後いきなり戦争の話に吹っ飛んだ。

 人と戦う、というのも苦手というかやりたいとは一切思わないのに、戦争を起こそうなんて頭の片隅にすら浮かばなかった事だ。

 話の流れ的に、大艦巨砲主義だとか言っている魔法の到達系? とやらが関係しているみたいだけども。


「そう、なら良かった。タクミ君とは敵対したくないからね……いや、敵対したらレオちゃんがいる以上、絶対勝てないだろうし、むしろ味方に付いた方がいいのかな。まぁそれはともかく、僕が勝手に大鑑巨砲主義って言っているだけなんだけど」

「それはまぁ、そうだと思ってた」


 大艦巨砲主義なんて言葉、地球の歴史を知っていないと出て来ないだろうからなぁ。

 そもそも、この世界に海があれば船はあるだろうけど、大口径の主砲とか、それを乗せた重装甲の戦艦をはじめとした艦隊なんてないだろうし。

 船での船隊くらいはあってもおかしくないけども。


「照れるなぁ……」

「そこは照れるところじゃないけど、それで、その魔法って?」

「魔法というか、体系……いや、考え方の一つってところかな? 完全無詠唱は、思い浮かべる内容と一致させるために小威力になる傾向なんだけど、大艦巨砲主義の方はとにかく広範囲に、とにかく威力を高くすることを求めて、って考えだね」

「広範囲と高威力……」


 無詠唱が小威力になるというのは、確かに人間の想像力もあるからわからないでもない。

 ものすごい威力の魔法! というよりも、ちょっとした火を飛ばすとか、水を撒くとかの方が想像しやすいし。

 それに対し、ユートさんが言う大艦巨砲主義は想像とかを飛び越えて、とにかく威力などを求めるってわけか。

 逆の考えってところだな。


「無詠唱は規模が小さくなっても、とにかく利便性と速射性を求めた極致と言えなくもない。変わって、大艦巨砲主義の方は、利便性とかそんなものは一切考えず、ひたすら威力とかを求める。当然だけど、その分呪文も長くなるし、呪文の省略なんてもっての他だね」

「そういえば前に、複数人で呪文をずっと唱え続けてって言うのを聞いた事があるような……?」


 あれは確か、初めて魔法の事をセバスチャンさんに聞いた時だったか。

 実験か何かで、ひたすら長い呪文を唱え続ける魔法を……と聞いたような気がする。


「それは戦略級魔法の実験だね。複数人の魔力をかけあわせて、一緒に、またはリレー形式で唱えることで発動させる大規模な魔法だよ。それこそ、戦争用とも言えるから、個人では絶対できないんだけどね。タクミ君にわかりやすく言うと……超長距離の、巡航ミサイルとか弾道ミサイルを魔法で再現、みたいな感じかなぁ」


 戦略級……弾道ミサイルとかと同じようにって事は、離れたところから目標に大規模な破壊をもたらすものってところだろう。

 そんな魔法もあるのは、ちょっとどころではなく恐ろしいな。


「まぁ安心して。そういった魔法に対する防御策、というかこれも魔法なんだけど……都市が一つ破壊される規模でも簡単に防ぐための魔法っていうのもあるからね。この国だと、大体の大きな都市なら整備されているよ。まぁ、物理的な物に対しては無力だから、本当にミサイルが飛んで来たらダメなんだけど、ははは」


 はははじゃないが……。

 とりあえず、この世界では地球と違ってミサイルとかではなく、魔法で国家間の戦争を行う事もあるようだ。

 まぁ、本当に防げるのなら実際の戦争は、軍隊と軍隊が直接戦って決着をつけるんだろう。


「戦略級魔法を使うとしたら、その国にいる主要な魔法使いを百人単位で使い潰さないといけないから、そもそもあってないようなものと考えていていいよ。多分、もし飛んできてもレオちゃんがいれば大丈夫だし。一体で戦略級、さすがシルバーフェンリルだよね! 僕が裏ボスと戦う時に魔法を使わない理由もわかるでしょ?」

「シルバーフェンリルを裏ボス扱いなのは、わかるつもりはないし、実際わからないけど……まぁ、そういう事なら」


 つまり、数百人も……それも主要な魔法使いという事だから、魔力が多くて魔力操作に長けているような人を犠牲にしないといけないわけで。

 そんな事はどの国もできないって言いたいんだろう。

 それだけの損失があるのなら、その後の戦力は当然低下するし、防げるのならやる意味もあまりない。

 派手に宣戦布告、とかをしたいとかでない限り……。


 というか、レオってそれすらも防げるのか……さすが最強。

 もはや戦略級魔物だな、語呂悪いし、レオに対してそんな扱いをする気はないが。


「また話が逸れちゃったね。おっと、今度は発動しなかったみたいだから、もうちょっと魔力を集めてみて」


 苦笑しながら、話を戻そうとする前に、ユートさんから続けていた魔法の練習に対して注意される。

 話を聞きながら、休み休みではあるけど教えてもらった魔法を試して、発動するよう練習しているんだけど……属性的な相性もあるらしく、どうしても火の魔法の発動に手間取ってしまうなぁ。

 攻撃的な魔法、というので俺自身に忌避感があったりするのかな? そういった感情的な部分も、大事らしいし。

 ……種火のように使える、ライターやロウソクの火のような魔法は、簡単にできたのになぁ。


「うんうん、そんな感じ。それじゃ改めて話を戻して……大艦巨砲主義は戦略級魔法とは違って個人で求める考え方だね。だから、対極に位置する無詠唱魔法とは相性が悪いんだ。どちらかを求めると、もう片方は遠のいてしまう。威力を求めれば思い浮かべる事よりも魔力を込める、呪文を長くする事になるから、頭で結果を想像できなくなる。というより、それよりも優先すべき事があるってところかな」


 もう一度試して、練習している俺の魔法が発動した事を確認し、頷いてから話を戻すユートさん。


「それじゃあ、無詠唱魔法で威力を高めた魔法は使えないとか?」

「必ずしもそうじゃないけどね。でも、かなり難しいね。威力が高い、範囲が広いって事は、それだけ影響することが多いという事でもある。だから、結果まで全て思い浮かべて無詠唱で魔法を放つのはね。できなくはないけど……」




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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