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1642/1997

とりあえずいくつかの魔法の呪文を教えてもらいました



「魔力の抵抗って言うのは、『雑草栽培』に対する抵抗と同じようなものか……」


 口に手を当てて考えながら、小さく呟く。

 魔法を使ううえで発現した効果で何かをするのではなく、発現するために他人に働きかけようとすると、抵抗されるものらしい。

 そうじゃなければ、複数人が一緒にいる場で魔法を使うだけで、危険だからな。 

 『雑草栽培』で言えば、以前オークに対して発動し、オークの命というか体力を栄養に薬草が作れたが、人が相手の場合は魔力や意志が抵抗になって、簡単には使えないという事。


 誰にでも楽にできるのなら、俺は人に触れられなくなるから、そういう意味では抵抗があってよかったと思う。

 クレアとのハグだってもちろんできなかっただろうし……。

 そう考えると、俺もユートさんに負けず劣らず傍迷惑だな、迷惑と言うだけで済む事じゃないが。

 いかんいかん、考えが逸れてきているから、戻さないと……使いたい魔法、というか効果は……。


「それじゃ、えっと……」

「うんうん、成る程。タクミ君らしいなぁ……」


 そうして、とりあえずあれば便利かも? と思う魔法をいくつかユートさんに教えてもらう。

 それぞれ、火、水、風、土、という四大元素と言われる属性に関する魔法と、光を放つような魔法は既に知っているのでいいとして、他にもいくつか教えてもらった。

 多くは、複合魔法と言われる属性の混じり合った魔法……というか、そのための呪文だけど。

 これを参考に、他にも使いたいような魔法があれば、自分で言葉を組み合わせて呪文を作る事で魔法を考えた方がいいとも言われたな。


 大体考えられる限りの魔法は、既に呪文が考えられているらしく、教えてもらう方が近道ではあるみたいだが、自分で考えた方が魔法への理解度も高まるだろうとの事だった。

 ……変な魔法を考えるつもりはないけど、自分なりの魔法を考えられると言われれば、ちょっとワクワクするのは日本人だからかもしれない。

 ちなみに、教えてもらった魔法の半数以上が畑に有効活用できそうなものだったりする。

 雨のように水を撒くのとか、土を動かして混ぜるのや、風を吹かせるだけ……というのは以前クレアに教えてもらっていたから、応用の風の刃を飛ばすとかだな。


 風の刃は、細い枝を斬るくらいのもので、薬草を摘み取る時に役立ちそうだ。

 他はそれらを組み合わせた魔法だったりする。

 まぁ、火に関する魔法だけは一部攻撃的だったりするけど、こちらは自分の身を守るためだな……一応、狩りのために魔物と戦う事などを想定してだ。

 レオやフェンリル達がいるから、使う事があるかはわからないが。


「ふぅ……さすがにきつい」


 教えてもらった魔法を一通り、その中からいくつかの魔法を練習がてら発動させて、額ににじんでいた汗を拭う。

 ついでに、息切れもしているので地べたに座り込んで休憩だ。


「これだけ魔法を使えばね。それでも大したもんだよ、タクミ君は。もっと魔力が多い人はもちろんいるけど、それでも平均よりはかなり量が多いね」

「そういえば、以前調べてもらった時もそれなりの魔法使いになれる、みたいな事を言われたっけ」


 イザベラさんの所で、ギフトを調べるついでに言われたのを思い出した。


「そうだね……望むなら、魔法を使うだけで生計が立てられるのは間違いないよ。まぁどう使うかはタクミ君次第だけど」

「ギフトがあるし、それを使って今薬草畑の運営をするよう準備しているから、魔法でとは考えていないかな。まぁ、役に立つ手段の一つとは考えているけど」

「それくらいでもいいと思うよ。無理に使う必要もないわけだし……適材適所じゃないけどさ、無理に使ってもあまりいい事はないだろうし」


 過去に何かあったのだろうか? 少し目を細めてそう言うユートさんは少しだけ寂しそうだった。

 俺としては、才能があるからと無理に魔法で何かをさせられる、とかじゃなくて安心だけど。


「そういえば、もう一つの魔法の到達点? 大艦巨砲主義って言っていた方だけど……」

「そっちはタクミ君はあまり気にしなくてもいいと思うよ。うん、そろそろ魔力も少し回復したようだし、練習を再開しようか」


 ユートさんに促されて、座り込んでいた地面から立ち上がり、再び教えてもらった魔法の練習。

 教えてもらったのは、魔法を発動するための呪文と効果。

 それを反復する事で呪文を覚えると共に、魔力の動きなども感覚に覚えさせ、滞りなく発動できるようにする……初めてセバスチャンさんから魔法を教えられた後、明りの魔法を何度も使って練習したのと同じ事だな。


「えっと……ウィンドエレメンタル・スモール・スラッシュ・ブレイド」


 少しだけ集中して、うろ覚えの呪文を唱えて魔法を発動させる。

 誰もいない方向へ振り上げた手の前に、空気が集まり、風の刃として形を成し、そのまま腕を振り下ろす。

 何もない場所でやったので、風の刃が振り下ろされるまで維持されていただけだけど、今は練習だからこれでいい。

 実際には、その刃で草木……木は無理でも、草刈くらいはできる切れ味らしい。


 まだ教えてもらったばかりだし、数も多いので呪文がうろ覚えなのは仕方ないけど、とりあえずは確実に発動させることができるようになってきた。

 ちなみに、最初はスモールを入れずに発動させたんだけど、風の刃が大きくなりすぎて使い慣れていない俺自身を傷つけてしまう危険もあると言われて、急遽減衰させるために追加された。

 理由は、まだ魔力操作が上手くない俺が、魔力を込めすぎているかららしい。

 まぁ薬草を摘む時や草刈りなんかに使おうと思っていたから、ちょうどいいんだけど。


 それから、風の刃は発動後しばらく維持できる魔法でもあり、維持している間ずっと魔力が消費される。

 魔力操作というのが不慣れな俺にとって、ちょうどいい練習用魔法にもなってくれそうだ。


「確実に発動させるまではできるようになったね。とりあえず、教えた魔法はそんな感じで、あとは余裕がある時に練習すればいいと思う。さすがに全部は無理だろうけど、その中から得意な魔法とか使いやすいのを、半無詠唱に昇華できるように考えればってところかな。――それで、大艦巨砲主義的な到達系だけど……タクミ君、戦争したいとか考えてたりする?」




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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