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1639/1997

ユートさんの魔法と魔力の講座が始まりました



 昼食中、セバスチャンさんから参考になるとお勧めの本を受け取った後は、クレアと話していた魔法に関してを、ヘレーナさんに頼み込んで作ってもらったうどんを貪っていたユートさんに話す。

 ……ユートさんはうどんの虜になってしまったらしい、元々好きな方だったらしいけど、それはともかく。

 そのうち時間がある時に教えてもらえれば、という話のはずだったんだけど……何故か昼食後に準備中の畑と森の間に連れ出された。

 一応、昼からはアルフレットさんに言われて、少しだけ書類確認とかの仕事があったんだけど、ユートさんの強引さには逆らえなかった。


 俺も、魔法に興味があるから逆らおうとしなかったともいう。

 まぁ仕事に関しては、急ぎではないから後回しでも大丈夫だろう。

 遅れていた、明日到着予定の最後の従業員さんの給金や住む場所に関する事だし……本当に書類に目を通すだけだし。


「というわけで、ここまで来たわけだけど……タクミ君、まず魔法ってなんだと思う?」


 どんな魔法でも使って迷惑が掛からないよう、畑予定地と森の間に到着してからすぐユートさんからの質問。


「唐突になんだって聞かれても。えっと、体内にある魔力を使って、言葉で方向性を与えて発現する現象……ってとこかな?」


 少し離れたところに、わざわざテーブルや椅子を用意して、エッケンハルトさん始め公爵家の面々、さんに使用人さんや従業員さんがちらほらと見守る中、ユートさんに答える。

 ……俺は見世物じゃないんだけど。

 ともあれ魔法の話だ、セバスチャンさんやクレアから簡単な魔法と基礎を教わり、色々と聞いた中で俺なりに考えた答えだ。

 魔法は魔力を消費する、そしてそれは言葉という呪文で効果を決定する……んだと考えている。


「うん、そうだね。大まかには合っているし、ほとんどの人がその認識だと思う」

「……その言い方だと、間違っている部分もあるような?」

「間違っている、と言うとこれまた微妙なところなんだけど……魔力っていうのは体内にある、不定形の力。まぁ日本人にわかりやすく言うと血液に近いかな? 体内を循環していて、なくてはならないもの」

「血液……」


 体内の魔力を意識する時、循環すると聞いたからイメージとして血液っぽいものを意識してはいたけど、ユートさんが言うにはかなり近い存在と言って差支えがないようだ。

 当たり前だけど血液がなくなれば人は死んでしまうし、魔力がなくなっても同じ事になるのなら、役割としては違ってもなくてはならないものと言えるだろう。


「って事は、血液と一緒に体内を循環しているとか?」

「んー、血液の中に魔力が多く含まれているのは間違いないけど、それだけじゃないんだ。だから、血液とは別物。んで、その魔力になんらかの方法で方向性を与えて変換させてやる必要があるわけだね。変換される過程については、長くなるし省くよ」


 気にはなるけど、確かにそこまで聞いていると長くなるのは間違いないので、そのまま話を続けてもらおう。

 セバスチャンさんなら、全部説明したがっただろうけど。


「それでね、その魔力の動き……変換だとか方向性だとかだね。それを助けるのが言語なんだ。タクミ君は聞いた事があると思うけど、言霊ってあるよね?」

「まぁ、聞いた事くらいは。言葉に力が宿っているって考え方だっけ?」

「うん。言葉に発する事でそれが実際に起きるとか、そういった内容だね」


 例えば、人に対して強い言葉を使う。

 その後言われた人が、言葉通りになったとしたら……みたいな話だ。

 つまり魔力は、あると考えられているけど証明は難しく、信じる人も信じない人もいる言霊を実際に現象として発現するための力って事か?


「多分、タクミ君が何を考えているのかわかる気がするけど、違うよ。言霊によって確かに魔力が動くけど、それが全てじゃない。あくまで、魔力が魔法として発現されるための補助みたいなものなんだ」

「補助……言霊で、言葉で決まるってわけじゃないんだ」


 呪文で属性や効果を決定させるなら、そのまま言霊で魔法が使えると考えたけど、そうじゃないらしい。


「まぁ基本的には言霊……こちらでは呪文と呼んでいるけど、それでどんな魔法になるかが決まる、というのは間違いじゃないんだけどね。でもそれは補助的にそうしているだけで、実際は違うんだよ」

「それじゃ、補助って言うなら呪文がなくても魔法が使える?」

「うん、そう。魔法は、魔力をどう変換して実際に発現させて、どんな効果をもたらすかが大事なんだけど……例えば、タクミ君がよく使っている魔法っていうのはあるかな?」

「俺がよく使うと言えば、シャインの魔法……光を発するための魔法かな」


 戦う時なんかは、結構それに頼っている部分がある。

 目くらましをしてひるんでいる間に、こちらから攻撃するという……ちょっと卑怯臭い戦い方ではあるけど。

 命を懸けて戦うんだから、そういった工夫は必要だと考えている。

 もちろん、鍛錬とかで模擬戦をやる時とかは使わないけど。


 あと、実は夜中に起きて小用を済ませる時なんかも、屋敷の廊下は薄い明りが点いてはいても暗く感じる事があるので、こっそり使っていたりもする。

 いかに屋内とはいえ、足元がよく見えないと危ないし……暗いと男は色々と仕損じる事があったら、掃除とか大変だし使用人さん達に迷惑だから。

 何をかは、想像にお任せする。


「ふむふむ、その魔法だけど……使う時にどんな効果になるか、どこから発現させるかは頭の中で考えて、魔力を集めるでしょ?」


 ユートさんの問いかけに頷く。

 何度も使っているうちに、魔力を集めることだけでなくスムーズに発動できるよう、頭の中でイメージしている。

 想像していた事と、実際に魔法が発動された効果が完全一致すると、ちょっとだけ爽快感のようなものがあるけど……まぁこれは今関係ないか。


「大体は、呪文をトリガーとして発動するわけだけど、何度も使って、頭の中に思い浮かべている内容と一致させていく事で、魔力が自然と覚えて呪文を必要としなくなるんだ。とはいえ、最低限発動のための一言くらいは必要な事が多いかな」

「もしかして、それが無詠唱魔法……?」




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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