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レオだけはもう少し走ってもらう事にしました



「あ、そういえばコカトリスの事で……」


 魔法や建設に関しての話を終え、コカトリスの話に移る。

 図書室でヴォルターさんに助けられて、詳しく書かれている本を見つけた事などだ。

 従魔に関する本も同様だな。


「すみません、タクミさんにばかり調べさせて。私も一緒にやらなければいけないのですが……」


 コカトリスの事を相談した時、屋敷に迎えるのは決まったけどその前に、詳しく調べてみた方がいいのでは? と言ったのはクレアだったりする。

 自分で言った事なのに、俺が図書室に行って調べて本を見つけた事を申し訳なく思っているんだろう。

 まぁ、クレアは他にやる事があったからな、仕方ない。

 共同で色々とやるんだから、手が空いている方が担当するのでいい……後で、クレアには本を読みこんで調べた内容を教える事になっているけども。


「気にしないで、俺もいい機会だったから。図書室でいろんな本を見る、というのは楽しかったよ」

「でも、それもあってこうしてレオ様との散歩だったのですよね?」


 俺が散歩をすると言い出した理由に、クレアは気付いていたみたいだ。

 クレアも、気晴らしと言いうか息抜きというか……気分転換だな、そのために外に出た仲間だから、なんとなく察したのかもしれない。

 ……俺が本を読んだり調べものをしたり、知識を得る行動に向いていないと考えられているわけじゃない、と思いたい。


「まぁね……はは。やっぱり俺はどちらかというと、本を読んでいるより体を動かす方が性に合っているみたいだ。でも、知識が必要ないなんて事はないから、これからはもっと図書室で本なりを読まないとね」


 セバスチャンさんが俺に渡す予定らしい、調合などに関する本とかもだな。


「そうですね、私もよく知識は武器になる……とセバスチャンに言われて、書庫に連れて行かれたものです」

「セバスチャンさんがですか?」

「えぇ。まだ本邸にいた頃で、今のティルラより少し上の頃でしたか。今思えば、お母様が亡くなってから、ふさぎ込みがちだった私をセバスチャンなりに、励まそうとしていたのかもしれません」

「そうだったんだ……」

「私が、お父様やティルラとは違って、剣を扱えなかったというのもあるのかもしれませんが……」


 まぁセバスチャンさんの事だから、励ますよりも前に本を読んで! という思いがあったのかもしれない。

 クレアが言っているように、不器用ながら元気づけようと考えていたのも否定しないし、一つの理由だとは思うけどな。

 あと、クレア自身も言っているように、剣などの本当の意味での武器を扱えないのなら知識を、とかも考えていたんじゃないだろうか、単なる想像だが。

 ただセバスチャンさんが多少強引でも本を読ませたいたちなら……。


「……これから、ティルラちゃんは大変そうだね。ラクトスの事に対してやる気みたいだし」

「ふふ、そうですね。私はあまり苦痛には感じませんでしたけど、それとは違って勉強よりも外で体を動かす方が楽しいティルラですが……お爺様やお婆様もいますし、逃げられませんね」

「想像したら、ちょっと面白いね」

「ふふふ……」


 本気で嫌がるティルラちゃんを、実力行使で引きずって書庫に……というのはさすがにないだろうけど、エルケリッヒさんやマリエッタさんも別邸に行く事は決まっているわけで。

 セバスチャンさんも含めた三人で、あれこれと言葉を尽くして説得して、色んな本を読ませている姿が簡単に想像できた。

 ラクトスのスラムや、外壁修理等々を考えているようだから、そのための……それ以上の知識をできるだけ早く詰め込まれそうではある。

 まぁ本気で嫌がる事はしないだろうし、ティルラちゃんも最近は剣の鍛錬やレオとかラーレ達と遊ぶこと以外にも、勉強への意気込みを垣間見せる事があるから、大丈夫か。


「ワフワフ!」

「お、話しているうちにもう村を一周したか。さすがだなレオ」


 いつの間にか、ランジ村を一周して出発した場所に戻って来ていたのを、レオが鳴いて教えてくれたことで気付く。

 まだ一時間も経っていないし、昼食までの時間もありそうだから、もう一周ってとこかな?

 レオも疲れを見せていないし……というか、レオが走るくらいで疲れるのか疑問だけど。


「少しだけ、後ろを走るフェン達が大変そうですけれど、お父様達は楽しそうですね」

「ワフー! ワフワウガウ!」

「ははは、フェン達も頑張っているんだから、そう言ってやるなレオ」

「ワウー」


 俺の体の隙間から、レオの後に続くフェン達の様子を窺うクレア。

 以前テオ君を乗せて川まで行った時程の速度ではないけど、それでもフェン達の方は少し疲れが見えているようだ。

 全力疾走ではないにしても、フェンリル達にとっては続けると疲れるくらいの速度らしい。

 まぁその背中に乗っているエッケンハルトさんを始めとした、他の人達は朗らかな笑顔が見えるから、楽しそうではあるけど。


 もう少し速度を落とせば、フェンリル達もあまり疲れずに走り続けられそうだけどなぁ。

 それでも、馬で走るよりも速いっぽいけど。

 今は散歩というより、競争と言えそうな速度だ。


「というかまぁ、フェン達はここまでにして休憩してもらおうか。朝も散歩に行ったみたいだし、疲れすぎるのは良くないから」

「ワフゥ。ワウ!」

「お父様達は残念がるでしょうけど、また機会もありますからね。お婆様を乗せる時とかに」

「だね」


 というわけで、レオに言って鳴き声で合図を送り、フェン達は一周で散歩を終了。

 俺とクレアはこのまま、レオと一緒にもう一周する事にした。

 それくらいなら、昼食にちょうどいい時間になるだろうから――。



 ――クレアとレオに乗って、ランジ村の外周をもう一周追加で走って散歩を終了。

 レオが張り切ってしまったのか、それでも昼食よりまだ早い時間だったけど、クレアやエッケンハルトさん達と話しているうちに準備ができた。

 勉強を終えたリーザとティルラちゃんからは、かなり羨ましがられたけど……でもレオのおかげで、随分と気分転換できたな。

 そして昼食の時、セバスチャンさんから調合や薬に関する本を受け取る。


 ミリナちゃんの方には、既に同じ物を別邸にいる時に渡していたらしい……ちらっと覗いてみると、特殊というか一部の薬を作る際、混ぜる物による調合法の違いなどが書かれていた。

 例えば、水を使うなら川の水と井戸の水、煮沸させた物とそのままの物で、調合できる薬の差異などだな。

 ミリナちゃんはおそらく、井戸の水しか調合で使えないらしい体力回復薬とかは、この本を見て試したんだろうな――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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