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魔法は色々な時短に使われているようでした



「もっとかかると思っていたけど、早いなぁ。それだけ人手が多いからかな。そう言えば、屋敷ができるのも早かったっけ」


 街道整備なんて、馬で数日かかる距離は数か月で終わるものじゃないと思っていたけど……。

 それを言ったら屋敷に関してもだな。

 最初はもっとこじんまりとした家を想像していたから、完成したと聞いた時は早いとは思ったけどこんなものかな? と考えていた。


 けど実際は、想像以上に大きな屋敷が建設されていたわけで……ランジ村にできた宿屋もそうだけど、俺が考えているより建設速度が早い気がする。

 建設などに関して詳しく知らないけど、もう少しかかると思っていたから。


「急がせているのもあって、予定より早く進んでいるのはありますね」


 クレアは、エッケンハルトさんの許可のもと、街道整備を主導しているので工程や進捗も把握しているらしい。

 別邸にいた頃からだけど、日中執務室にいる事が多かったのは、薬草畑に関してだけではないって事だな。


「早く進んでいるなら何よりだけど……俺の元いた場所と比べると、かなり早いんじゃないかなって」

「そうなんですか? んー、急がせていると言っても、無理を言っているわけでもありませんし、こちらではこれくらいなのですが……」

「まぁ、人手を簡単に集められる、というのはあるのかもしれないけど」


 公爵家が言えば、強制はしなくても簡単に人手が集まりそうだからな。

 日本だと、建設業界に限らずどこも人手不足が蔓延していたし、簡単に急げるだけの人を集めるのは難しい。


「でも、人手だけじゃないような……? もしかして、魔法とか使ったりしてる?」


 人手だけで、こんなに早く建設や街道の整備が進むようには思えず、この世界と前の世界で違う事と考えて魔法が思い浮かんだ。

 魔法でなんでもできる、というわけでもないから違うだろうと思いながらも、クレアに聞いてみる。


「えぇ、もちろん魔法も使っているはずですよ?」


 俺の前に座るクレアが、何を当然の事を? と言わんばかりのキョトンとした表情で、振り向く。

 ……魔法で建設って、できるの?


「えっと……魔法は俺のいた場所にはなかったから、そこの違いかぁ。驚いた。でも、どうやって魔法を?」

「そういえば、タクミさん達がいた所には魔法がないんでしたね。そうですね、魔法は……」


 そうして、レオが機嫌よく走って流れる景色を見ながら、クレアから建設で生かされている魔法について聞いた。

 なんでも、魔法を使えば乾燥はお手のもの……塗装や接着剤などの乾燥とか。

 さらに重い資材を組んだり、高い場所での作業も魔法でなんとかなるらしい。

 もちろん、フェンリル厩舎を作った時のように釘を打ったり、木材を削るなどの人の手が必要な事は多いみたいだが、それでも時間短縮に魔法は大いに活用されているとか。


 まぁ大体は、使われている魔法というのも本来建設用途ではなく、他の用途で使われていたらしいけども。

 要は、魔法の応用だな。

 ちなみに乾燥で言うと、水を出す魔法は周囲の水分を空気中以外からも集めるため、乾燥させたい物の近くで使えば、天日干しとかよりよっぽど早く乾燥させられるらしい。

 水を出してもいい場所が必要なので、裏技的な使い方とも言えるけど。


「どんな能力でも、使い方次第ってわけだね」

「そうですね。他にも、生活に有効活用されている魔法というのは多くあるんですよ。タクミさんも、魔物と戦う時に魔法を応用していたみたいにですね」

「成る程……」


 俺がよく目くらましに使う魔法は、本来は明りを得るための魔法だからな。

 戦闘用の魔法というものでもない。

 焚き火に点火する時、以前フィリップさんが使った強めの火を出す魔法のようなのもあるわけで……あれこそ、魔物との戦闘で使える魔法だろう。

 まぁあれは火力が強すぎるため、ニコラさんがフィリップさんに注意していたけど。


「とはいっても、延々と魔法を使うわけにはいかないので……」

「そのための人手って事かぁ」


 魔力には限りがあるため、一人の人がずっと魔法を使い続ける事はできない。

 それなりに魔力があるらしい俺でも、水を出す魔法を数時間も使えないからな。

 だったら、使える人を増やせばそれだけ作業の手だけでなく、魔法の使い手というか工程に対する魔力総量も増えるってわけだ。

 魔法と聞くと、戦うための手段ってイメージが先行する俺だけど、意外と身近な所で有効活用されているみたいだな。


「俺ももう少し、ちゃんと魔法の事を知らないとなぁ」

「そういえば以前、ユート様が教えると仰られていましたね?」

「うん。話した通り、ユートさんにはギフトの効果もあって魔法に関しては、専門家って言えるだろうね。真剣に、教えてもらった方がいいかも。俺も、もうちょっと魔法を使ってみたいし」


 戦うため、というわけではなくただ便利に使いたい、という気持ちの方が強いけど。

 ただ、ユートさんは感覚派なので教えを受ける相手として正しいのかはわからないけど。

 でも他の人より詳しそうだし、やっぱり一度ちゃんと教えてもらってみるのはいいのかもな。


「ただ魔法って、言葉の組み合わせみたいだから……基礎を覚えた後ってどうなるのかな?」

「そうですね……組み合わせを教えてもらう、などはいいかもしれません。あとは、詳しい方であればそれぞれの魔法の使い方なども学べるかと」

「成る程ね。うん、やっぱりユートさんから教えてもらおう」


 今すぐってわけじゃないけども。

 そもそも、言葉の組み合わせというのが俺は少しわかっていない部分がある。

 なんとなく、意味のある言葉をいろいろ組み合わせる事で、魔法の効果や属性を表す……とかは基礎として教えてもらったけど。

 ただどういう言葉が意味を持つのか。


 呪文に限らず、誰かが発した人の言葉が自動的に翻訳されて聞こえる俺には、地球での数か国語それぞれによって聞こえるから。

 そういう意味では、確かにユートさんに教えてもらうのは理にかなっているのか。

 どの国の言語がいいのか、そもそも複数の言語を組み合わせてもいいのかなど、同じく地球からこの世界に来たユートさんだからこそ、俺にとってちょうどいい先生になってくれるかもしれない。

 ……ユートさんが先生、というのは違和感しか感じないけど――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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