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正しいコカトリス情報を見つけました



「……あぁ、申し訳ありません。コカトリスと似た魔物、コカドリーユでした。読み違えていたようです」

「コカドリーユ……」


 コカトリスとは別に、似たような見た目と能力でそんな魔物もいるのか。

 というか、コカトリスとコカドリーユって、読み方の違いで同一だったはずだけど、それは地球の伝承での事で、こちらの世界では別物って事か。

 まぁ、俺みたいに書かれた文章が勝手に翻訳されて頭に浮かぶのとは違い、ちゃんと文字を見て読むヴォルターさんは読み間違う事くらいはあるかな。

 とりあえず、後学のためと興味をそそられたのでヴォルターさんから本を借りて、コカドリーユの部分を見てみる。


「確かに、絵では似ていますね。尻尾が蛇ですが」

「そのようです。私は見た事がありませんが、尻尾が蛇な事で見分けを付けるのでしょう。能力に関しては、コカトリスよりも強力なので危険な魔物なのでしょうね」


 魔物図鑑にて描かれているコカドリーユは、雄々しく羽を広げて長い蛇の尻尾が目立っている。

 黒いインクのみで描かれているので色はわからないが、尻尾以外はトサカの形といい、大きくなった鶏だ。

 コカトリスも聞く限りだと鶏みたいな見た目らしいので、単純にコカトリスの上位の魔物と考えて良さそうだ。

 ただ群れずに単独でいるのが多く、食べるのも石化した元生物らしいというのは大きな違いか。


 獲物を石化させてそれを食べるとか、硬くないんだろか? なんて疑問も湧くけど、魔物の好みだから俺にわからなくても仕方ない。

 他に、石になった何者かを食べるのもあってか、噛みつかれると人の骨など容易く砕くとも書かれているので、石化を避けても驚異的な魔物である事は間違いなさそうだ。


「それにしても、写本なのに絵もしっかり描かれているんですね」


 ヴォルターさんにコカドリーユに関して書かれた本を返し、再びコカトリスの情報を探しながら、ふと思った事を口に出す。

 本来の著者が見た事あるかどうか、によって違うんだろうけど、多くの魔物に関する絵も描かれている。

 それは、写本されて今俺が見ているのも変わらない。


「内容を忠実に伝えるためには、絵もできる限り描く必要がありますから。とはいえ、完全に同じ絵を描くのは技量が必要ですので、写本されるごとに少しずつ変わるんですがね」

「成る程……」


 売るための写本などだと、親しみやすいように崩した絵を描く事もあるらしい。

 デフォルメされた絵とかもあるのかもしれない。

 ただ今俺達が調べている図鑑などでは、正確さが求められるため、写本でもできる限り原本に忠実になるよう描かれている事が多いとか。

 まぁ図鑑なのに、魔物に関して実際とは違い過ぎる絵を描かれていても、参考にはならないからな。


「お、今度こそコカトリス……かな」


 あれこれ考えたり、話したりしながら調べを進めるうちに、ようやくコカトリスに関する記述を発見。

 ヴォルターさんのように読み間違えてしまわないよう、何度か確認したけど間違いない。

 コカトリスは、赤いトサカと白い羽毛、石化能力は弱くすぐに行動不能になる程ではないが、注意すべし。

 解除薬があれば対処は取るに足らない能力だと書かれている。


 解除薬に関しては、元々ある薬とミリナちゃんが作った物があるから、簡単に対処できそうだし、探していたコカトリスの情報で間違いなさそうだ。

 他にも、臆病だとか、雑食でなんでも食べるとあったから、聞いていた話通りだ。


「……屍肉を好む……?」


 その中で、特に好むのが屍肉と書かれていたのが気になった。

 確かに、森の掃除屋と呼ばれているとも書かれているし、コッカー達もオークの肉なども含めて食べるから、間違っていないんだろうけど。


「コッカー達は穀物とか虫を好んで食べているようだったけどなぁ」

「おそらく、成長するにつれて変わるのでしょう。幼体と成体で、食べる物が変わるという魔物はいますから。コカトリスに関しては好みが変わる、でしょうけど」

「そう考えて良さそうですね」


 人間だって、子供と大人では好みの食べ物が変わったりするから、コカトリスも成長するにつれて変わる事があってもおかしくないか。

 俺も、小さい頃は苦手だった物も今は気にする事なく食べられるようになったのだってあるし、逆に好んでいた物が多く食べられないってのもある。

 まぁ大体はこの世界ではまだ出て来ていない食べ物だけど。

 とにかく、コッカー達もいずれは好みが変わっていくんだろう。


「ただ、屍肉と書かれているのがやっぱり気になります。表現的に、わざわざ屍肉と書いているみたいですし」


 肉食と言わずとも、肉が好みと書けばいいだけだからな。

 屍肉と書かれているのには、何かしらの意図のようなものを感じる。


「確かに、意味がある書き方に感じますね」


 ヴォルターさんにも書かれている部分を見てもらい、頷かれた。


「もしかすると、写本するうえでそう書かれた可能性もありますが……」

「成る程……とにかく、これをよく読んでコカトリスに関して知ろうと思います」


 写本をするうえで、余計な文字が追加されたり削られたり……いくら販売用でなく忠実にとはいえ、そういった事もあるかもしれない。

 気にし過ぎないようにしながら、とりあえずコカトリスの事が書かれている魔物図鑑の参拾捌さんじゅうはち巻を閉じて手に持つ。

 数ページにわたってびっしりと記述があるから、後で熟読しよう。

 探すのに結構時間がかかってしまったから、今ここで読むのはちょっとな。


「えーと、タクミ……魔物図鑑……と」


 従魔の本に加えて、魔物図鑑を持ち出すための記入をする。

 今更ながらに、記入用紙には俺以外にも色んな人の名前があるなぁ。

 チタさんやクレアが、よく従魔に関する本を借りているみたいだ……魔物図鑑を持ち出している人もいるようだ。

 まぁ、写本されて同じ物でも複数あるのが当たり前なので、俺とヴォルターさんが調べていた魔物図鑑に抜けがないのは幸いだな。


「あぁそうだ、そういえば父がタクミ様に渡したい本があると話していました」

「セバスチャンさんが?」

「昨夜ここに来て、棚から本を抜き出していましたが……そちらに書かれていませんか?」

「えーっと……あ、ありました。薬師になるための上級調合、かぁ……」




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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■7巻書影■mclzc7335mw83zqpg1o41o7ggi3d_rj1_15y_1no_fpwq.jpg


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