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1630/1997

魔物図鑑の精査は任せる事にしました



「大体、続き物として書いているのは同一人物ですね。時折、別の人が受け継いでという事もあるにはありますが」

「まぁ、そうですよね」


 同じシリーズの本なんだから、基本は同じ作者が書くものだろう。

 特別な理由なしには、別の人が続きを書いたりする事はないだろうからな。

 別の人が書くなら、同じ題材でも題名なりなんなりが変わって別の本として出すと思う。

 魔物図鑑はそれぞれ同じような装丁だし、見ていないのも同じ作者だと思われる。


 ちなみに、パラっと中を見てみたけど、魔物に関して文字がびっしりと書かれていた。

 時折、魔物を描いたと思われる絵も添えられていて、部分ごとの絵と詳細もあってじっくり読めばわかりやすいんだろうなと思う。

 ただまぁ、文字が所狭しと詰まっているので、ちょっと興味本位にというだけで読み込めるものでもなさそうだけど。

 あと、縦書きで書かれているのが日本人としては少し懐かしさも感じた。


「文字は縦なんですけど、そういうものですか?」

「その魔物辞典は珍しく、縦に書かれていますね。なくはないですが、かなり珍しい部類です」


 ヴォルターさんに聞いてみると、縦書きが珍しいのは間違いないらしい。

 この世界は基本的に横書きだからな……というか、魔物辞典を見るまでは横書き以外見た事がなかったし。

 横に書かれた文字を左から右に読んで行くのではなく、上から下に文字を読み、右から左に行が移っていく文章は、日本の事を思い出させた。

 陸奥・五郎さんの日本人説が濃厚になってきたな。


 縦書き自体も珍しいようだから、同じように書かれた本の作者は、俺と同じく地球から来た人物である可能性も考えられるか。

 全員が全員そうだ、というわけではないだろうけど。


「読書家ってわけでもないし、こちらに来てまともに本を読んでいないけど、こうして発見もあるんだなぁ」


 なんて、本の表紙を撫でながら呟く。

 もちろん、必要があったからセバスチャンさんに貸してもらった、薬草図鑑や薬に関する本は読んだけど、それくらいだったから。

 興味を持って、別邸の図書室にも行っておいた方が良かったかも、なんて今更ながらに少し後悔。

 必要なら、言えばこちらに持って来てはくれそうだけど。


 ちなみに俺は、日本にいた頃からあまり本を読まない方だった。

 仕事やら何やらで時間が取れなかったというのはあるけど。

 漫画をそれなり、小説はほんの少しだけ読むくらいだったなぁ……小説は伯父さんの書斎にあった物が主だけど。

 同僚にラノベ好きがいたから、そこから聞いていたりはしたけど。


 異世界に行くお話とかな……まさに、今の俺とレオのような話だが。

 今のような事になるのなら、もう少し話を聞いておけば良かったかもしれないが、あの時はこんなことになるなんて夢にも思わなかったから仕方ない。

 いずれ異世界に行くから! とそういった物語を読みふけるのはさすがにな……いや、そういう思いで読む人を否定したいわけではないが。


「まぁ、読んでこなかったのは仕方ないとして……コカトリスはどこに書かれてあるのか」


 パッと見ただけでも、俺が手に取った魔物図鑑にはコカトリスらしき情報は見つからない。

 とはいえ、鳥型の魔物の絵などもあるようなので、もしかしたらそれがコカトリスなのかもしれないし……。

 写真なわけじゃないし、絵だけ見てもコカトリスかどうかがわからない。

 しかも、数もかなり多い……。


「では、よろしければ私が探しましょうか?」

「ヴォルターさんがですか?」

「はい。生憎と、私はまだその魔物図鑑を全て読破していませんし、この機会に読んでおくのも良いかと思うのです」

「成る程。そうですね……従魔の事も調べないといけませんし、お願いできますか?」

「畏まりました、お任せください」


 作者が地球からの人であれば、もしかするとユートさんに聞けば詳しい事がわかるかもしれないと思ったけど、ヴォルターさんが調べてくれるのなら渡りに船だ。

 魔物図鑑を書いた人物の事ではなく、コカトリスの事が知りたいわけだからな。

 ユートさんに聞くと、作者に関する話になりそうだし……あの人が本の内容を事細かに覚えているようでもないから。


 いや、ユートさんが悪いわけじゃなく、乱雑に順番なども考えられていない図鑑の、どの巻のどの部分にコカトリスが載っているか、などまでは覚えていないだろうってだけだ。

 もし俺に時間が有り余っていて読破したとしても、多分はっきりとは覚えていないだろうし。


「それじゃあ俺はこっちで、と……ここか」


 魔物図鑑の方はヴォルターさんに任せておいて、俺は従魔に関する本を探す。

 図書室は大体数十平方メートルあるくらいで、俺やクレアの寝室とかよりも広い。

 そこに棚が並んでびっしりと本が詰まっているので、ちょっと圧迫感はあるけど……とにかく、別の分類がされている本を探すには少し移動しないといけないくらいだ。

 ともあれ、そこまで離れていないのでヴォルターさんに教えてもらった、従魔の本が並んでいる棚へと近づく。


「えーっと、従魔読本、従魔と騎士の戦い、従魔と親しくなるには、罪が罰へ、世界の果てと従魔……うーん」


 背表紙のタイトルを読んで行くけど、物語とか伝承的な内容っぽいのが多いみたいだ。

 従魔読本というのはともかく、罪が罰へなんてドフトエフスキーを思い出すうえ、従魔と関係なさそうにしか思えない。

 まぁ分類されている場所としては、従魔に関する内容になっているんだろうけど。


「とりあえず、従魔読本かな。教本的な物が他にも欲しいけど……えっと……」


 他には「軍団、空の従魔との戦い」なんてのがあったり「あいつと私と僕。それと従魔」というもう従魔は単におまけじゃないか? という題名の本もある。

 参考になるのかどうか微妙なところだ。

 俺が知りたいのは、従魔を得るための条件を再度確認する事と、従魔になった魔物にはどういった事が起こるのか、同じく人にも何かあるのかなどだ。

 物語や伝承とかに、そういった内容は絶対ないわけではないと思うけど……空想された話もあるとしたら、眉唾な内容もあるだろうし、参考にはできないだろう――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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