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1629/1997

参考書探しをヴォルターさんに手伝ってもらいました



「そういえば、タクミ様の知りたい事っていうのはなんでしょう?」


 俺が本棚とにらめっこしていると、ようやく思考を止めたヴォルターさんから声を掛けられた。


「従魔の事と、コカトリス……魔物に関してですね。そういった本もあるはずなんですけど……」


 一応、この屋敷に来てすぐの頃に確認していた書類で、運び込んだ本のリストみたいなのもあって見ている。

 タイトルのリストで、どれがどれくらい詳しく書かれているとかまではなかったが。

 その時は、そのうち読んでみるのもいいかもなぁくらいでしか確認していなかったし、どの本棚に置いてあるかとかもわからない。


「ふむ、従魔と魔物。タクミ様の事ですから、薬草に関してかと思いましたが……」

「そちらも読んでみたいですけど、まずはですね。直近で、やらないといけない事がありますから」


 薬草の知識はもっと深めたいと思うけど、とりあえず後回し。

 まずはコカトリスについて知れる事が重要だ。

 クレアと相談の結果、レオやフェンリル達などの力を見せる事は仕方ないにしても、ある程度コカトリスがやりやすい環境や好む環境を整えようとなったからだ。

 コカトリスを引き込む事に関しては、もうほぼ決定みたいな方向になっている。


 なので、エッケンハルトさんの提案にあった従魔にするというのを採用するにも、従魔に関してもっと詳しく知る必要があるだろうと思った。

 それと、コカトリスに関しても知っておかないと……というわけでの図書室だ。

 セバスチャンさんの事だから、コッカー達が来た事でコカトリス、それからヴォルグラウの事があっての従魔の事などを詳しく調べていそうだから、聞けばいいのかもしれないけど。


 まぁそこで、図書室に来る時に考えていた、頼り過ぎるのも良くないと思って自分で調べようとなったわけだ。

 聞けば、セバスチャンさんは喜んで教えてくれるだろうけどな。


「成る程……従魔は魔物に関する事ではありますが、少し違いますから……この棚のこの段ですね。それから、コカトリスは……こちらの棚のこの段にある本の中に書かれてあるはずです」

「おぉ、ありがとうございます、助かります」


 ヴォルターさんが部屋の中を移動し、十以上ある棚の中から二つの棚、さらに段まで指定して教えてくれる。

 さすがに、詳しく書かれているのはこの本、とまではわからないみたいだがそれでも随分と助かる。

 一つ一つの棚を確認していたら日が暮れてしまいそうだし、さらにどの本に詳しく書かれているかまで探そうとすると、数日かかってしまいそうだったからな。

 ……すぐ見つからなければ、誰かに頼もうと思っていたから、ここにヴォルターさんがいてくれたのは良かった。


「えーっと……魔物辞典、か。結構数があるな」


 まずコカトリスの方を調べようと、ヴォルターさんに示してもらった棚の段を確認。

 一つの段に数十冊並んでいるんだけど、それら全ての背表紙に「魔物辞典」と書かれていて、数字が割り振られていた。

 かなりの巻数があるみたいだ……それだけ、魔物の種類や情報が豊富なんだろうし、頼もしい限りだけどコカトリスだけを調べるとなると大変かもしれない。


「あ、もしかすると、何かの法則で順番にまとめられていたりとかするのかな?」


 例えば、鳥型、獣型など魔物の形などによって分類されているとか。

 他には、辞典だから五十音順みたいな並びをしていたりとか……かな?

 五十音順のようなまとめ方だった場合、この世界の言葉や文字が勝手に翻訳される俺には、探すのは不向きだな。

 そもそも、この世界の文字は五十音じゃないし、文字の順番もよくわからない……この世界の文字を学んだ人なら、わかるんだろうけど。


「あぁ、そちらの本は特にまとまっておらず、適当に魔物の詳細が書かれているだけですね。私も少々不便だとは思いますが……おそらく、それを初めに書いた人物が、見つけた、または情報を集めた順で書き留めたままなんでしょう」

「それはまた……さすがにこの中からコカトリスだけを探すのは、骨が折れそうですね……」


 本を出すにあたっての編集とかどうなっているんだ、と思ってしまう。

 まぁ地球での整理された本に慣れたから、そう思うのかもしれないし、この世界にそういった編集などの考えはあまりないからなのかもしれないが。


「魔物辞典・漆……か」


 適当に棚から本を抜き取り、表紙を見てみると大きく「魔物辞典・漆」と書かれていた。

 漆はつまり七の事で、大字だろう……実際に目に見えているのは、よくわからない記号になっているので、勝手にそう翻訳されているんだろうけど。

 書物などの数字とか、巻数などは大字で翻訳されるのか? と思って他を見ると、壱、弐、参、肆、伍、陸とあったので、間違いなさそうだ。

 まぁ、翻訳された頭の中ではちゃんと数字のように読めるので問題ないか。


「この名前は……?」

「上が本を書いた人物の名ですね。下にあるのは、それを書き写した人物の名になります」

「成る程」


 その他、表紙には題名とは別に人物名らしき文字も書かれていた。

 横から覗き込んだヴォルターさんによると、作者名という事らしい。

 下の書き写した人物の名は俺の知らない人……サラという人の名があった。

 ヴォルターさんによると本邸にいる使用人さんの名らしく、女性ながらに魔物の生態に興味があるのが珍しいと言っていた……まぁ、そういうものかな。


 さらにその上の、魔物辞典を最初に書いてまとめた作者名には、「陸奥・五郎」という文字が浮かび上がった。

 実際に浮かび上がったわけじゃなく、俺には漢字も含めてそう読めるってだけだけども。

 しかし、陸奥・五郎か……どう考えても、あの動物王国の人にしか思えない、いや同一人物ではないだろうけど。

 多分ペンネームとか、そういう意味で付けた作者名なんだろう。


 ただその名前から察するに、おそらく書いた人は地球からこの世界に来た人で間違いないと思う。

 日本人かどうかは……可能性は高いけど、絶対じゃないだろうけども。

 元になっている人物は海外でも有名な人ではあったからな。


「……他のも、同じ人ですね」


 並んでいる他の魔物辞典の表紙も見てみると、同じく陸奥・五郎の名が入っていた。

 書き写した人の方は、それぞれ違う人の名だったけど――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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