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1613/1997

ペータさんからの意見がありました



「魔物を狩るのは、襲われたからだったり、食べるために必要だからで納得しているけど……無理に攫って来るのは違うからな?」

「キィ」


 あくまで自衛のためや、周囲の人達を守るために害がある魔物を狩る。

 もしくは、食物連鎖のように食べるために狩るというのも、もうある程度割り切って俺自身も納得しているが。

 まぁ美味しい食材を求めてという側面もあるが、それでも無駄に、享楽的に狩ってただ棄てるなんて事はしないようにしている。

 ここが、命を取るという事に対して俺の最低限の線引きだ。


 コカトリスの場合は狩るのとは違うかもしれないが、それでも強制的にというのはそれこそ奴隷を捕まえて来るようなもの。

 自分達でもなんとかできるのに、無理矢理やらせてこちらが楽をするのは違うと思っている。

 それこそ、ブラックな職場となんら変わらない気がするから……俺がそう思っているだけだけど。


「コカトリスが納得して、手伝ってくれるとかならまぁ問題ないだろうけど……さすがにそれはなぁ」

「キィ、キィキィキキィ?」

「ワッフ、ワフガウ」


 レオの通訳によれば、ラーレはこちらの力を見せつけて従わせればいい、と言っているようだ。

 力ある物が生き残る野生としての考えなのかもしれないが……。


「いやいや、それじゃ強制的に攫って来るのと変わらないから」

「キィ~」


 結局、脅して協力させるわけで、それじゃ攫って来るのと何も変わらない。

 それを良しとする考えも、人の中にはあったりするのかもしれないが、俺は我が儘と言われてもやりたくはない。

 手伝ってもらうなら、力関係とかとは別にちゃんと納得して協力して欲しいと魔物相手にも思うのは、特殊なのだろうか。

 もしかしたら、コッカーとトリースが毎日楽しそうにしているのを見ているからってのもあるかもな。


 最初からそうだけど、フェヤリネッテを見つけ出した時も含めて、本能のみで動くオークとかと違って、ちゃんと知恵とか理性みたいなものがあるようだし。

 お腹が空いたら羽をばたばたさせたり、当初はレオやラーレに怯えたりと、意思とか感情もあるのを見ているから。


「……力を見せて、というのに近いのかもしれませんが……交渉をして納得してもらう、というのは悪くないかもしれません」

「コカトリスと、ですか?」


 ペータさんが言う交渉……つまり話し合いをするという事だろう。


「はい。今タクミ様がなされたように、レオ様とタクミ様は話す事ができますよね?」

「そうですね……はっきりと、というより大部分がなんとなくという感覚的なものですけど」

「ワフ」


 ペータさんの言葉に対し、レオと一緒に頷く。

 はっきり言葉として聞こえるとかではなく、なんとなくレオの声や表情などなどから、こう言っているんだろうなというのが伝わる感じだ。

 これまでほぼ外れた事がないし、レオの表情が見えなくてもわかったりもするので、獣人だからこそのリーザやデリアさん、ティルラちゃんのギフトのように、レオ限定で確実な意思疎通ができているのは間違いない。


「それです。リーザ様やティルラ様もそうですが、こうして意思の疎通、話をする事ができるというのは大きな事だと思うのです」


 リーザは獣人だし、ティルラちゃんのギフトに関しては細かい能力はともかく、ギフトがあるからラーレ以外の魔物ともちゃんとした会話ができる、というのは特に隠していないため、ペータさんも知っている。

 というか、ギフトが発現したティルラちゃんが倒れた時、ペータさんも別邸にいたからな……あの時いた従業員さんのほとんどが、多少なりとも会話できる事を知っているはずだ。


「本来、魔物との会話というのは成り立ちません。それは、魔物が言葉を持っていないからだと言われていますが……」

「まぁそこは、発声とかが違うだけで言葉を持っていない、というわけではないんでしょうね」

「はい」


 お互いに言葉として通じる声を発する事ができないため、言葉というのはわかって、意思を通じさせることができないから、そう思われていた誤解だろう。

 一部、オークやトロルドのように意思の疎通ができない魔物もいるが。

 というよりもしかしたら、そちらの方が魔物の種類としては多いのかもしれない。

 ただ、言葉を持っていなければ俺とレオは例外として、ギフトを持ったティルラちゃんや獣人のリーザ達、それに従魔契約をしても話をする事はできないはずだから。


「実際の所、一部を除いて魔物と正しく会話をする事は難しいでしょう」

「そうですね……」


 むしろ、はっきりと意思の疎通ができて会話が成立している、今の俺がいる環境の方が珍しいんだろう。

 従魔契約があるとはいえ、それだって数が多いという程ではないみたいだし……ラクトスでは、以前より増えてはいるとしてもだ。

 まぁ、フェンリル達のように感情表現豊かで、言葉を使っての会話ができなくてもなんとなく意思の疎通ができるという例外もこれまたあるにはあるけど。

 ……あれはあれでまた特殊か。


「ですので通常は可能性として考えないのですが、タクミ様方であれば、コカトリスとの交渉……話し合いなどもできるかと。話し合いで納得してもらえば、強制にもならないですし、攫うなどともならないかと考えた次第です」

「ふむ……」


 コカトリスと意思の疎通ができるだろう、というのはコッカーやトリースを見ていればわかる。

 まだ成鳥ではないコッカー達でも、ちゃんと会話できるのだから、成鳥のコカトリスもできておかしくないし。

 それなら、話し合いを設けて向こうが納得する形で協力してもらえば、強制にはならないって事か。


「ただ……」

「ん?」


 何かまだあるのか、不安そうな面持ちになるペータさん。


「レオ様やラーレ……フェンリル達もですが。一緒にとなるとコカトリス達が怯える可能性も考えられます。コカトリスは、強い魔物という程ではありませんから」

「それが、最初に行った力を見せてに近いって事ですね」


 コカトリス自体は、成鳥でもあまり強い魔物ではないというのは聞いた事がある。

 石化能力があるから、それだけでも強力な気がしてしまうが……その石化能力自体が、あまり強いものじゃないようだからな。

 強みをあえて言うなら、空を飛べるから人では届かない場所に行ける事くらいか。

 それだって、絶対対処できない事じゃない……戦う前提で考えてしまっているけど――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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