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調査隊を別けるようにしました



「いえ……もしかしたらという事も考えられない程、危険はないものと思われます。同じフェンリルやレオ様なら話は別でしょうが、人であれば数十……数百人でようやく危険と言えるかもしれません」

「近衛の班長をやっている者の戦力評価なら、信じられるな。大方は私の考えと同じだ。が、私は数百でも危険がないと言える。おそらくだが、魔法を使って全力で戦ったところを、見た事がないのだろう?」

「そうですね……魔法を使うところは幾度か見ましたが、全力とまでは……」


 以前ニグレオスオークとかを狩りに行った時、一応見てはいるはずだけど、全力でフェンリル達が動いているところはまだ見ていないか。

 まぁそれは、エッケンハルトさんも同様ではあるけど。

 俺やクレア、それに屋敷の人達の一部はフェリーとフェンのぶつかり合いを見ているから、あれに魔法が加わったら数百とか以前に、人が敵うとは思えないんだけども。


「私は、以前フェンリル同士の戦いを目の当たりにした者から報告を受けた」


 今俺が考えていた、フェリーとフェンの戦いの事だろう。

 使用人さん達が多く見ていたし、セバスチャンさんもいたからエッケンハルトさんに報告がいっていて当然か。


「そして魔法もな。数日前に森へ入った時には魔物と一緒に木を凍らせたのだったか。だが、私が見たのは川を凍らせた魔法だ。あの時は確か、フェンがやったのだったか」

「そういえば、そんな事もありましたね」


 フェンやリルルと初めて会った時、川を渡るために凍らせて橋を作ったんだったな……森に帰る時、フェンは足を滑らせて溺れかけていたけど。


「川を凍らせる、流れている深い川だ。それを凍らせる事ができるのは、生半可な魔法ではない」


 俺はよくわからなかったけど、流れのある川を凍らせて橋を作り、しばらくそのままというのはかなり凄い事らしい。

 ともあれ、そういった事がエッケンハルトさんのフェンリルに対する評価が、女性近衛護衛さんよりも高い理由だとか。

 考えてみればあの時、フェンリルが敵と想定した場合どうするかを聞いたっけ。


 確か……フェンリル一体に対して、一軍で取り囲んで犠牲を覚悟で距離を取り、外側から魔法を使い続けてフェンリルを疲れさせてなんとか、と言っていたはず。

 ……本当にそうなら、確かに数百でも敵うとは思えないな。

 俺が考えている人が敵わない、とまでではないんだろうけど。


「ここにいるフェンリル達が、全て人に牙を向けたら……」

「我々などひとたまりもない。まぁ、脅すつもりはないのだがな。幸いにも、好意的に接してくれているのはわかっているし、レオ様もタクミ殿もいる。――まぁつまりだ、タクミ殿。人が相手だと考えれば、もしもすら起こらないだろうって事だな」

「そ、そうですか。思っていたよりも、フェンリルって凄いんですね」


 いや、凄い事はわかっていたんだけどな、人を乗せていなかったらとんでもない速度で走れるみたいだから。

 魔法に関しては、ユートさんとラクトス近くで合流した時にも見たし。

 ただまぁ、人懐っこくてわりとよくへそ天状態で、どこでもくつろいでいるのを見ているから、そういった感覚が薄れていたのは間違いない。


「ま、まぁとにかく、それならフェンリルがいれば調査隊の人達にも危険はないって事ですね。でしたら、とりあえず足跡周辺を調べる、見張る人は少数に、残った人はこれまでと同じように他の場所の調査を。ですかね?」

「そこは、自信なく私を窺う場面ではないぞ?」

「いやぁでも、俺がこんな事を指示するなんて、とつい思ってしまって……ははは」


 ついエッケンハルトさんを窺ってしまい、苦笑する。

 もともと人にお願いするのすら苦手で、頼る事をほとんどしてこなかったから、指示を出すのもこれでいいのかと心配になってしまうんだよなぁ。

 最近は、使用人さんを雇って、色々な人から助言を受けてなんとかできるようになってきている……かもしれない気がするけど。


「タクミ殿は、もう少し自信を持っていいと思うのだがな。私から見れば、人に指示を出す側に向いていると思うぞ? その証拠に、フェンリル達はまずタクミ殿に従っている」

「いえ、フェンリルが従うのと、指示を出すのではまたちょっと違うような……?」


 懐いてくれている自信は確かにあるけど、レオありきでもあるからな。


「あまり変わらんさ。それに、もし何か不足があるようであれば、他の者に聞けばいい。一人で不足する何かを補うために、使用人がいるわけだからな。タクミ殿には、クレアもいる」

「それは確かに……」


 一人でなんでもできるわけじゃないからこそ、アルフレットさんやライラさんなど、使用人さんがいてくれる。

 だからこそ、俺でも薬草畑の運営ができるかもなんて思えるわけだ。

 ……まだ準備段階だけど。


「私から見ましても、タクミ様は向いていると感じます。もう少し、はっきりと命じても……とは思いますが」

「そこは、タクミ殿の性格だろうな」

「どうしても、強く出られなくて」

「それは人を見下さず、対等に見ているとも取れて好ましい。人によっては、自信のなさにみえるかもしれぬがな」


 自信がなさそうに見えると言うエッケンハルトさんの言葉通り、実際に自信があるわけじゃないから仕方ないけど。

 俺にできるのは、命令ではなくこうして欲しいというお願いくらいか……ただ、女性近衛護衛さんとしてはもう少し強く命令調でもいいらしい。

 できるかわからないけど、一応考えておこう。

 上から目線で命令とか、やりたいとは思えないんだけど。


「森で魔物を狩る際に、フェンリル達に対しては毅然としておられました。あれと同じように、我々にも命令して下さって構いません」

「で、できるかどうかわかりませんが……頑張ります」


 あの時は、マルチーズだった時のレオを拾って、育て方とかを調べたのを参考にしただけなんだけどな。

 犬に対しては一貫性のある態度で接した方がいいとかなんとか……まぁ、あれでいいなら、少しくらいはできるかもしれない。

 人相手で、誰かを前にした時にできると断言はできないけども――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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