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必要な素材の話をしました



「今すぐ、というわけにはいきませんけど。鉛筆も消しゴムも、多分両方作れるとは思います」


 頭の中で色々と考えながら、キースさんとライラさんに話す。

 二人共、俺の話に興味があるのか真面目に聞いていてくれる。

 特にキースさんは、紙の節約イコール諸々の経費などの節約になるためか、目を輝かせている様子だ。


「では、すぐに鉛筆と消しゴムを作れば……」

「待ってください、キースさん。鉛筆の方はともかく、消しゴムはゴム。つまり旦那様に頼るしかありません。少量なら作れなくもないでしょうが、現状ではまだ薬草畑も本格的に入っていません」


 逸る気持ちのキースさんに、ライラさんが待ったをかける。

 ゴムは定期的に作って、スリッパの滑り止めや酔い止めのチューインガム以外にも、少しずつ溜めていっている状況だ。

 溜めているのを使えば、作れなくもないけど……。


「あ……そうでした。申し訳ありません、旦那様」

「いえ、キースさんの気持ちはわからなくもないです。紙の使用を抑えられれば、出費も抑えられるわけですから」


 事務係、というか経理担当っぽくなっているから、経費を抑えたいというかできるだけ節約したい気持ちもわからないでもない。

 まだ本格的に薬草や薬を売り出していないから、収益も出ていないわけで……支出を抑えたいのは当然だろうし。

 まぁ、書類確認をする中でアルフレットさんやキースさんと何度も話したけど、見込みとしては良心的な販売で、十分過ぎる程の収益が見込めるとは予想されているけど、それでもな。


「ともあれ、作るにしても試作してみないといけませんし、俺が作っているゴムで本当にできるのかもまだわかりません。あと、混ぜる物が必要なので、それも手に入れないと……」


 消しゴムを作ると言っても、今のままのゴムでは多分使えない。

 そして、俺の知っているゴムとは違う物というか……既に効果がある状態でのゴムなので、素材と混ぜで変化するのかもわからないからな。

 試作して色々調べるにしても、ゴムも消費する事になるし、多少なりとも人手や時間が必要になる。

 消しゴムっぽい物を作るだけでも、今すぐにとはいかないだろうなぁ……実際に文字を消せるかどうかは、鉛筆を作ってから試さなきゃいけないだろうし。


「混ぜる物とは、何が必要なのでしょうか? 鉛筆の芯という、インクの代わりになる物も気になりますが……そちらはインクとは別物なのでしょうか?」

「えっと、消しゴムに必要なのは、こちらでなんと呼ばれているのかわかりませんが、硫黄です。火薬とか、着火剤に使われる物なんですけど……鉛筆の芯の方は、インクとは違って黒鉛と粘土ですね。粘土はレンガがあるので問題ないでしょう。黒鉛は鉱物なので、多分探せばあると思います」

「硫黄、黒鉛、粘土……確かに、粘土ならばすぐに手に入るでしょうね。おそらく、屋敷の近場でもかなり深く掘れば出土するかもしれません」


 粘土質の土は育てる植物を選ぶから、田畑にはあまり良くないとは聞いた事があるが……かなり深くという事なら、そこまで影響はないかもしれない。

 というか、ペータさんからは特に何も言われていないので、粘土が薬草畑に影響する事はほぼないと考えて良さそうだ。


「しかし、硫黄と黒鉛……聞いた事がありませんね」

「もしかしたらこちらでは、違う名称なのかもしれません。黒鉛は鉛ではなく、なんというか……あ、石墨やグラファイトという名も持っています」

「グラファイトでしたら、よくある鉱物として広く知られています」


 腕を組んで考えるキースさんに対し、他の呼び名を思い出すと、ライラさんが反応した。

 こっちではグラファイトと呼ばれているんだな……というか、本来はそちらが正式名称か。

 グラファイトがそのままの名称という事は、これを発見や命名したのも地球から来た人の可能性が高いかな……絶対に偶然じゃないとは言えないけど。

 というかライラさん、ある程度鉱物の知識もあるのか? 広く知られているから、知っているのかもしれないな。


「あぁ、グラファイトでしたか。それならば、すぐに作る事ができますよ」

「え、作るんですか?」


 てっきり、どこかの鉱山とかで産出されると思っていたんだけど……黒鉛って作れるの?

 さすがに種類とかは知識として知っていても、黒鉛を作るなんて事は知らない。

 学校とかでも習っていないはず……勉強熱心な方ではなかったから、俺が忘れているだけかもしれないけど。


「はい。木材を使用した木炭などを、できる限り密閉した場所で高温により熱処理して作れます。用途がないのですが、知識としては知っている者も多いでしょう」


 どうしてそんな知識が、広く知られているのか……まぁ作れるなら、理由はどうでもいいか。

 木炭が黒鉛に……。

 そういえば、炭素化をして木炭にというのは習った事があるけど、その先にまた熱処理をしたら黒鉛になるって事なのか。

 待てよ? 確か学校の授業か何かの余談で、炭素化した物を熱して別の物にして、さらに高熱を加える事で人工的にダイヤモンドを作れる、みたいなのを聞いた覚えがあるな。


 圧力も加えないといけないとかなんとかって話もあったような気もするけど。

 黒鉛が炭素の仲間で、ダイヤモンドの親戚と言われていたりもするし、あり得ない事じゃないか。


「それじゃあ、黒鉛はなんとかなりそうですね」


 密閉した場所で高温に、というのが難点かもしれないけど、できなくはないというのはいい情報だ。

 ちなみに木炭は、基本的に乾燥した薪を使う事が多いけど、着火性の高さや炎が上がらないために、それなりに作られてそれなりに使われている……料理とか。

 ただ、当然薪よりも高価なため、一般に広く浸透している程じゃないけど。


 まぁ屋敷の厨房では、魔法具のコンロ以外で使われていたりもするから、入手しようとすれば入手できる。

 そこから黒鉛にする方法は検討しないといけないだろうが。


「とりあえず、鉛筆はいずれ作る事ができると思います。まぁ、色々と相談しないといけませんけど」


 あくまで俺は、薬草畑の運営するわけだから、鉱物を作ったり筆記用具を作るのは専門外のようなものだ。

 クレアやエッケンハルトさん、ユートさんとかとも話して決める必要があるだろうな――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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申し訳ありません、更新停止中です。
夫婦で異世界召喚されたので魔王の味方をしたら小さな女の子でした~身体強化(極限)と全魔法反射でのんびり魔界を満喫~


― 新着の感想 ―
[一言] まだまださすがに文明レベルに難あり、だねぇ。 芯も圧掛けて極細にしないといけないし、太巻きサイズの鉛筆ができました!じゃ話になら無いし、難しいとこだ。
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