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1510/1997

リーザやレオの感じた事を聞きました



「うーん……わかんない。変な臭いとかも、しなかったと思う」

「そうか……」


 レオが嫌な臭いがすると言っていたから、もしかしたらリーザも感じていたかもと思ったんだが。

 フェンリル達も何も感じなかったようだし、レオだけ特別に感じていたのかもしれないな。

 感覚強化の薬草も食べていたのにレオだけというのは、本当に微かな臭いしかなかったんだろう。

 もちろん、俺やハンネスさん、ライラさんや近衛護衛さん達など、あの時一緒にいた人達も同じく変な臭いなどは感じていなかった。


「それじゃあ、気持ち悪いっていうのはどんな感じだったんだ? いや、思い出したくないならそれでもいいんだけど」


 思い出して、リーザがまた気持ち悪くなってしまったら大変だからな。


「大丈夫だよ、パパ。えっとね……なんだろう、よくわかんないんだけどこうしてちゃいけないって、感じた、かな?」

「こうしてちゃいけない……?」

「うんとね……」


 リーザがたどたどしく、気持ち悪くなった時の事を話してくれる。

 うまく言葉にできなかったのか、要領を得ない部分もあったんだけど……要約すると、何か急かされるような気持ちになったんだとか。

 レオに乗っていて特に何かをしていたわけでもなく、何かしなければいけないような事もなく、なのになぜか急かされている気持ち。

 自分のものじゃないような気持と、自分の気持ちがせめぎ合って段々と気持ち悪くなっていった、という事らしい。


「つまり、リーザが気持ち悪くなったのは、病気とかそういう事じゃないのか? うーん」


 体のどこかの調子が悪くなって、とかならわかるけど……急かされるとか、自分のものじゃないような気持とか、よくわからない。

 いや、謎の焦燥感に駆られるなんて事はあり得なくもないから、わからなくもないけど。

 でもあの時その焦燥感に駆られるような何かが、わかる範囲であったわけじゃない。

 そもそも、それで自分のものじゃない気持ちっていう事にはならないからな。


 カウフスティアの様子や、レオの言っていた嫌な臭いと言うのと照らし合わせると……知覚できないような臭いとか空気が影響したとかか?

 何かしら、外的要因がありそうだ。


「ありがとうリーザ。――それじゃ次に、レオの言う嫌な臭いっていうのは?」

「ワフ? ワウゥ、ワッフワフガウ、ワーウガウウワフ!」

「ふむふむ……」


 教えてくれたリーザにお礼を言って、今度はレオに聞く。

 レオが言うには、カウフスティアのいた辺りに嫌な臭いが薄っすらと広がっていたらしい。

 どんな臭いかはレオですらわからないくらい薄く、消えかけていたと。

 ただそれを嗅いで、嫌な気分になったので離れた方が良さそうだと思ったとの事だ。


「レオでもよくわからないか……その臭いは、カウフスティアとフェンリルが戦った後、それとも前から感じていたのか? あと、カウフスティアからその臭いがしたりとか」

「ワッフ! ワウワフ」


 戦う前から感じて、カウフスティアからは消えかけの臭いがあった、と。

 俺達が来る前から、あの辺りに広がっていた臭いがほんの少しカウフスティアに付着していたってところだろう。

 カウフスティア自身に異常があったわけではなく、こちらでもやっぱり外的要因なのだろう。

 その事は、凍ったカウフスティアを持ち帰ってから、食べても大丈夫か調べたからな。


 変な臭いのするかもしれないお肉とか、食べたくないし。

 実際は興奮していた事以外に影響はなかったようで、レオも食べられると判定してくれたから、ハンバーグになったけど。


「急かされる気持ちと、興奮状態のカウフスティア。それにレオが離れた方がいいと感じた、消えかけの臭いか……」


 繋げると、微かな臭いが元になってリーザの言った急かされる気持ちが掻き立てられ、カウフスティアが興奮状態になった、と考えられる。

 とはいえ、はっきりした事はわからないので結論は出さず、そうと考えられるかもしれないという程度で留めておく事にした。

 明日、皆と話してから結論を出しても遅くなさそうだからな。


「うん、ありがとうレオ。参考になったよ」

「ワフ」


 レオにお礼を言い、撫でる。

 リーザも頑張って言葉で伝えようとしてくれたから、そちらも撫でておく。


「にゃふ~」

「ワウ~」


 リーザとレオの気持ち良さそうな声を聞きながら、事情を聞く際に緊張していた俺が自然と顔を綻ばせるのを感じた。

 撫でられている方も気持ちいいんだろうけど、リーザもレオも、撫で心地がいいからなぁ。

 癒される……癒されるんだけど……。


「リーザは毎日ライラさん達が洗ってくれているからいいとして、レオ……?」

「ワ、ワフ?」


 撫でる手をはたと止めて、レオに呼びかける。

 何を言われるのかわかったのか、それとも嫌な予感がしただけなのか、レオは視線を逸らした。


「そういえば、こちらに来てから一度も洗ってやれてなかったなぁ。今日は遅いからまたにするけど、一度お風呂に入らないとな」

「ワ、ワゥゥ……」


 予想通りだったのか、伏せの体勢で床に顎を置いているレオが両前足を鼻の上に乗せ、両目を隠して落ち込んだ。

 新しい落ち込み方だな……。

 昔のように絶対いやと拒否をするような事はなくなったけど、こればっかりは苦手なままのようだ。


 今日はほとんどフェンリル達に任せたけど、森に入ったわけだし……別邸からランジ村への数日かけての移動、さらに日頃から外を走り回っているから、レオの毛は結構汚れているというかくすんで見えた。

 あと、割と撫でる手が絡まった毛に引っかかったりするときもある。

 多少引っかかって、毛を引っ張ってしまう事になってもシルバーフェンリルになってからのレオは、痛がったりしなくなったけど、これじゃ気持ち良く撫でてやれないからなぁ。


「でもなレオ、この屋敷は最初からレオが入る事を想定して作られているから、凄いんだぞ?」

「……ワウ?」

「お風呂、楽しいよママ!」


 興味をそそるように、新しい屋敷のお風呂がどうなっているかを話す。

 リーザもお気に入りなのか、楽しそうだ。

 屋敷のお風呂は、ただ広かっただけの別邸とは違って、最初からレオやフェンリル達が入る事が想定されていた。

 だから、広いのはもちろんだけど、それだけじゃない――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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