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1503/1997

別の場所の様子も見に行きました



「これまで作った事のある薬草はこれくらいまでで、もう少し大きい物を作るのを見越したとして……人の頭くらいまであればいいでしょうか?」

「そうですね、それくらいであれば十分だと思います」


 レオから降り、簡単に薬草の草丈を手で示しながらペータさんに伝える。

 そこから木は人の頭のてっぺんと同じくらいの樹高と示し、ペータさんが頷いた。


「木を育てるのは時間がかかり過ぎるので、植林や植樹がいいかと」

「そうですね、森の中にもそれくらいの木がありましたから、あちらから持って来るのがいいでしょうね」

「畏まりました。では、予定地でフェンリル達が穴を掘っている間に、私どもでやっておきます」

「はい。あ、でも森の中に魔物がいますので……安全のために、入る時は必ずフェンリルを連れて行って下さい。あと、何かあった時のために森へ行く時は他の誰かに……」

「心得ております。フェンリルに協力してもらえるのは心強いですね」


 さすがに、ブレイユ村の近くにも森があるのもあって、ペータさんは森へ入る時の注意点はわかっているようだ。

 森はフェンリルの森よりも木々の間が広く明るいので、奥まで行かなければそうそう迷う事はないだろうけど、魔物が出るからな。

 魔物との遭遇を、山での遭難に置き換えれば入る前にやっておくべき事は色々ある。

 大体の事は、フェンリルが付いてくれていれば大丈夫だろうけど。


「森から木を移し替えるのは、こちらで話して許可を取っておきます」


 許可が必要なのかどうかもわからないが、とりあえずそう言っておく。

 屋敷に戻ったらアルフレットさんやライラさん、それから村長のハンネスと話して聞いておかないと。


「それじゃペータさん、引き続きよろしくお願いします。くれぐれも、無理はしないで下さいね? フォイゲさんとウラさんもです」

「はい、畏まりました」

「はい、承知いたしました!」

「旦那や子供達を心配させるわけにもいかないですから、気を付けます」


 ペータさんは結構なお年なので、そういう意味でも気を付けて欲しいし、フォイゲさんとウラさんにも無理はしないで欲しいからな。

 三人に念のための注意を伝えて、それぞれの返事を聞きながら再びレオに乗せてもらい、その場を離れた。

 さて、屋敷に戻る前に、もう一か所様子を見ておこうかな――。



「そっちの木材は……! あっちに……!」


 木材やらトンカチやら釘やらを持って、数人が行き交う人の中、指示の声を聞きレオにそちらへ行ってもらう。


「ガラグリオさん、お疲れ様です!」

「おぉ、タクミ様、レオ様」


 薬草畑予定地から少し離れた場所、屋敷を囲む塀の外、位置的には森のある北側でガラグリオさんが指示を飛ばして行われているのは、フェンリル達のための小屋作り。

 まぁ、小屋というより厩舎に近い物になるようだけど。

 今は……いくつかの木材を柱として立てて、屋根を作っている途中のようだ。

 予想していたよりも進みが早い。


「進捗はどうですか?」

「はい、今日中にはとりあえずの屋根を作って、雨を避けるくらいはできるかと。まだ村にいる全てのフェンリルを中に、という程の大きさにはできていませんが……」


 まずは、今日にでも雨が降っても雨宿りできるようにってとこか。

 壁がないので風が強いとあまり意味はなくなってしまうが、ここらは強風が吹く事は稀らしいし、場所は大きめにとってあるようなので、大丈夫だろう。

 建築中のフェンリル厩舎? を見渡してみると、ガラグリオさん以外にも村で見かけた人が協力してくれていたり、俺やクレアが雇った人達も動いてくれているのがわかる。

 執事として雇ったウィンフィールドさんとかもいるな……監督役ってとこだろう。


「まぁ、フェンリルの中でも雨を嫌がるのと、好んで雨に当たるのもいるみたいなので、いきなり全てをでなくてもいいでしょうね」


 雨に当たりながら寝るのが気持ちいい、なんて言うフェンリルもいたりする……さすがに数は少ないけど。

 だから、とりあえずは今作っているくらいでも屋根ができれば、今夜雨が降ったとしてもなんとかなるだろう。

 もし足りなければ、屋敷の中にあぶれてしまったフェンリルを避難させるくらいはできるからな。 


「何か、問題とかはありますか?」

「順調に進んでいるので、特には。あー、ですが……些細な事なのですが、少し困った事もありまして」

「困った事ですか?」


 ガラグリオさんに聞いてみると、ポリポリとこめかみあたりをかきながらなんとも言えない表情をされた。

 問題とは言えず、些細ではあるけど困った事ってなんだろうか?


「いえ、フェンリル達も手伝ってくれているんですがね、その……木材を破壊してしまう事がありまして」

「フェンリルが木材を……?」

「ワゥ?」

「はい。あちらをご覧下さい……あと、作った後に破壊されないかとの心配も。いえ、フェンリル達がおとなしいのはわかっているんですが、軽々と木材を破壊する姿を見るとどうしても」


 ガラグリオさんの言葉を聞きつつ、示された方を見る。

 レオも、俺と同じく顔をそちらへ向けた。

 建築中のフェンリル厩舎の近く、数体のフェンリルがしょんぼりしているのが見える。

 その近くには、建築用だったと見られる木材が半ばから二つに折れていたり、いくつかに分断されていたりと、残骸らしきものがあった。


 フェンリル達には、自分達が雨を凌ぐための場所を作っている事を伝えているから、協力しようとしたのかもしれない。

 しょんぼりして項垂れているフェンリル達は、尻尾も地面に垂れさせていて哀愁が漂っている。


「手伝ってもらっていたって、何をしていたんですか?」

「さすがにフェンリル達が工具を使って、というのは無理なので、重い木材などを運んでもらっていたんです。けどその……運ぶと言っても人間のように手に持ってというわけではないので、口に咥えて……」

「あー、成る程。わかりました」


 説明の途中で大体わかった。

 投げた木の枝をレオの口でキャッチさせるのと、似たような事が起こったんだろう。

 つまり、力が強すぎて折ってしまう、もしくは鋭い牙が突き刺さって……とかだ。

 フェンリル達が協力してくれる気持ちを無下にはしたくないから、体の構造上不向きだとしても、なんとかしてやりたい。


 しょんぼりしているよりも、楽しそうに尻尾を振っているフェンリル達が見たいのもある。

 まぁ、この場合の解決方法は簡単だな。

 その前に……。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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■7巻書影■mclzc7335mw83zqpg1o41o7ggi3d_rj1_15y_1no_fpwq.jpg


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