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1492/1998

森の奥に魔物がいる事を察知したようでした



「フェリーも頷いていますし……無茶なお願いとかはさすがにですけど、フェンリル達が嫌がる事をしなければ、頼むくらいは全然問題ないでしょう」


 一応、大量のフェンリルが一緒にいるのは、駅馬のためではあるから始まれば数は減るだろうけど、何体かは残ってくれるだろう。

 ランジ村の人達とも今のところ、仲良くやっていけているようだし、一緒に森に入るくらいのお願いなら大丈夫だと思う。

 むしろ、フェンリル達は喜ぶんじゃないだろうか?

 森に入る事もそうだけど、最近は人と接する事や乗せる事を楽しいと感じているのも結構いるみたいだから……というか、こちらに来ているフェンリルのほとんどかな。


「うぅむ、フェンリルに頼れる時が来ようとは……いえ、レオ様には既に頼っていますし、子供達とも仲良く遊んで下さっています。それに今既に、私も乗せてもらっていますが……」

「ははは、俺も初めてランジ村に来たくらいの頃は、こうなるとは思っていませんでしたけどね……」


 あの頃は、まだフェンやリルルとすら会っていなかったし。

 まさか大量のフェンリルで安全を確保できるようになる、なんて考えられなかったからなぁ。

 そんな風に、ハンネスさんと話しながらしばらく森の中を進んでいると……。


「……スンスン……ワフゥ?」

「どうした、レオ?」

「ワフ、ワフワフ!」

「お、それらしい魔物がいたか」


 不意にレオが鼻を鳴らして、首を傾げた。

 どうしたのか聞いて見ると、目的の魔物かまではわからないけど魔物だとわかる気配と臭いを察知したらしい。


「グルゥ?」

「ワフ、ワウワフ!」

「フェリー達の方は、まだわからないってー」

「ふぅむ……」

「グル、グルルゥ」


 レオは魔物がいると確信しているみたいだけど、フェリーや他のフェンリル達はまだよくわからないようだ。

 リーザの通訳によれば、何かがいるような気はするけど……といったくらいらしい。

 やっぱり、シルバーフェンリルのレオはフェリー達フェンリルよりも、さらに感覚が鋭いんだろうな。


 ちなみに、獣人のためか人間より感覚の鋭いリーザは、何かがいるかも? という事すらわからないらしい。

 感覚強化の薬草は全員食べてもらっているけど、あれは元々ある感覚をさらに強化する効果だから、地力が違えば強化された際の結果も違うって事でもある。


「とりあえずレオ、そっちに行ってみよう。レオが知らない気配や臭いなら、ニグレオスオークの可能性が高そうだ」

「ワフ」


 レオの察知能力に従って、少しだけ方向を変えながらさらに森を進む。

 大体、最初にレオが察知してから二、三百進んだ頃だろうか……距離は、森の中で木々を避けて進んでいるため、正確な数字はわからないけど。

 ともかく、それくらい進んだ先でようやく、フェリー達にも魔物がいるという気配がわかるようになったみたいだ。

 ただ、リーザはなんとなくいるかも? というくらいで、フェリー達も数までははっきりしないとの事だ。


「レオはどうだ?」

「ワフ……ワウ、ワウ、ワウ!」


 ワウが三つで、三体ってね。

 いや、鳴き声だけじゃなくレオが言いたい事が伝わっているんだけど……なんとなく、クレア達と初めてフェンリルの森の探索に入った時、オークを発見したのを思い出した。

 あの時も、断続的に三回鳴いて三体っていうのを伝えようとしてくれたからな。


「ニグレオスオークかはわかりませんが、魔物が三体いるようです。ハンネスさん、一応気を付けて」

「は、はい……!」

「ライラさん、他の皆も、レオが魔物を見つけたので注意して下さい」

「畏まりました」

「キャゥ!」

「「「はっ!」」」


 近くにいるハンネスさん、それから他の皆にも注意を促す。

 フェリーの背中で身を固くして頷くハンネスさんに、自然体で頷くライラさん……この辺りは、フェンリルに慣れているかどうかの差かな。

 シェリーは意気込んでいる様子だけど、戦うのは他のフェンリル達だからな?

 テオ君とオーリエちゃんは、ハンネスさんと同じように身を固くし、後ろで支えている近衛護衛さんに身を寄せる。


 残った近衛護衛さん達は、俺相手にそれでいいのかな? とちょっと疑問に思うくらい、命令に対する感じで短く鋭い返事だった。

 いつの間にか、俺がここにいる全員のリーダーみたいになってない? なんて疑問が湧いて来るけど……深くは気にしないようにしよう。


「フェンリル……二体程俺達の前へ! あと一体ずつ左右に、残りのフェンリルは念のため後ろを警戒していてくれ!」

「「「ガウッ!!」」」


 続いて、隊列を組むようにフェンリル達に指示。

 フェンリル達の察知能力と、感覚強化の薬草の効果があれば、前後を念入りに警戒する必要はあまりないかもしれないけど、これも俺が慣れるため。

 何かあった時に、レオだけでなく俺からも指示して動いてもらわなきゃいけないかも、というかなり低い可能性に備えてだ。


 あと、幸いにもフェンリル達はちゃんと従ってくれるので、こういう指揮みたいな事をやってみたかったというのもあるかな。

 というか、フェンリル達は俺の指示を聞いて尻尾をブンブン振っているため、こういう風にされるのは嬉しいみたいだ。


「……よし、このままゆっくり進もう」

「ワフ!」

「はーい」


 俺の言葉に、レオや他のフェンリル達が気合の入った返事をするのに対し、リーザはちょっと気楽な感じだ。

 まぁ、レオもいてフェンリル達がいる時点で、ほとんど危険らしい危険はなさそうだからな……俺よりも感覚が鋭いリーザには、そういった事も多少はわかっているっぽいし、気にしなくていいだろう。

 指示を出す役割になった俺は、念のため気を引き締めておかないといけないけど。


「ガウ!」

「グルル……!」

「お。リーザ?」

「うん、フェンリル達もわかったみたい」

「そうか……ありがとう」


 レオの前に出て、先頭を歩くフェンリルの一体が吠え、もう一体が警戒するように唸る。

 リーザに聞いてみると、予想通りフェンリル達もニグレオスオークの気配……匂いとかかな? を察知したらしい。

 お礼を言いつつ、横を歩くフェリーの方を見ると頷いていたのでフェリー達や他のフェンリル達にもわかったようだ――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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