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労うためにハンバーグが必要そうでした



「それじゃ……いつブレイユ村に戻るかは任せるけど、今日と明日くらいはゆっくり過ごしてくれ。はっきりとした疲れがなくても、休んだ方がいいだろうし」

「ガフ! ガフ、ガフガフ?」

「美味しい物が食べられるかって聞いているよ? 前に、村でパパたちが来た時に食べたのが美味しかったからってー」

「ガフガフ。ガフガーフ? ガッフガフ!」

「んっとねー……」


 リーザの通訳で、フェルが求めているのがハンバーグだとわかる。

 以前俺達がブレイユ村に行った時、アウズフムラやオークの肉を使ってハンバーグを作ったのが、気に入ったらしい。

 合い挽き肉を、色々と配合を変えてもいたから、そのバリエーションのおかげでもあるんだろう。


 ちなみにブレイユ村では、今でもあの時に教えたハンバーグを作ったりはしていて、フェルに差し入れてくれるらしい。

 ただ、こちらへの移動中には食べられなかったから、また食べたいらしい。


「んー、そうだなぁ。ハンバーグは作って食べてもらう事はできると……って、フェリーがものすごく反応しているな。聞こえたのか。あまり大きな声で話していないのに」

「グルゥ……!」


 同じ中庭ながら、十メートル以上は離れているから普通に話している分には、声が向こうに届かないと思っていたんだけど、ハンバーグという単語にはフェリーが全力で反応していた。

 こちらを見て吠え、耳がピンと立っていて尻尾もグルングルンと回されている。

 昨日は出て来なかったから、食べたいんだろうな……他のフェンリル達も一部が同じような反応をしていた。

 レオが好物のソーセージという言葉に、マルチーズだった頃から大きく反応していたのと同じようなものだな。


 他にも、散歩と口にすると嬉しそうに尻尾を振って近付いてきたりもしたっけか。

 ともあれハンバーグは、すっかりフェンリル達の人気料理になった感があるが、割とお手軽に作れる料理でもあるので、手間がかからなくてありがたい。

 こねる作業で手が汚れるけど。


「まぁフェルにハンバーグを出して、フェリー達に食べさせないなんて事はないから、今夜はハンバーグにするよう、ヘレーナさんに言っておくか」


 既に準備をしていたら、献立の変更になってしまうから手間になるし、あまり無理は言えないけど……とりあえず確認が必要だな。


「絶対今日中に、とはまだわからないけど少なくともここで休んでいる間には、ハンバーグを出そうと思う。何か、他に希望があったりするか?」

「ガフゥ? ガフ、ガフガッフガフ!」


 ふむふむ……以前のように、合い挽き肉の配合を変えて色々な種類のハンバーグが食べてみたいと。

 ブレイユ村では、オーク肉のハンバーグがほとんどで、時折フェルが見つけたアウズフムラを使って牛肉のハンバーグが出て来るらしい。

 とはいえさすがに、配合を変えて色んな種類を揃えるとまではなっていないみたいだ。

 成る程な……肉の種類か。


 この屋敷では大体街から仕入れた食材の他に、今はラクトスを出る際にフェンリル達が狩った魔物の中にあった、オークの肉が使われる事が多い。

 味付けについては、ヘレーナさん達がアレンジしてソースなどの工夫で、飽きないように様々な味を楽しめるけど……肉の種類としては少ない。

 何かフェルが満足できる方法がないか、こちらも相談してみよう。

 あ、そうだ……ヘレーナさんに相談しに行く前に、これは聞いておかないと。


「わかった、できるだけフェルが美味しく食べられるよう、考えてみる。それと、ちょっと聞きたいんだが……」

「ガフ?」


 聞きたい事というのは、デリアさん達を連れてきた際の事。

 移動するにあたって、荷物や人を連れている事でのフェルの意見だな。

 駅馬の参考にするためだけど……フェル曰く、これまで人を乗せて長く走る事はなかったから、そこが不慣れだった事。

 まぁここは、屋敷に来ているフェンリル達は毎日使用人さんなどを乗せて、散歩して慣れてくれているからあまり気にする必要はなさそうだ。


 他に、ちょっと気合を入れて……つまり速く走ろうとすると荷車が壊れそうだからと、デリアさん達に止められた事。

 デリアさん達は、こちらに来る前フェルの背中と荷車でそれぞれ交代で乗っていたらしく、荷車に乗っていた人達から壊れたら危ないと言われたらしい。

 まぁ、かなり速度を出している時、乗っている荷車が壊れたら場合によっては大きな怪我をするかもしれないし、仕方ないか。


 やっぱり、丈夫なフェンリル専用の荷物を運ぶ物が必要そうだな。

 その荷車自体、ブレイユ村に上等な馬車などがなかったからで、作物などを載せて運ぶための人が曳いたりもする、大きくない物だったらしいけども。

 とりあえず、参考意見として後で俺以外にも、話して欲しいとフェルに言って承諾してもらい、俺はヘレーナさんがいるはずの厨房へ。


 リーザには通訳をするためレオと一緒に残ってもらい、いつの間にか恥ずかしさから脱して復活していたクレアが、フェルに話しを聞く人を探しに行ってくれた。

 他に使用人さんがいてくれれば、頼んでいたんだろうけど……今はカナートさんの方や、まだ整理しきれていない屋敷内の事で、皆忙しいからな。



 というわけで、一人屋敷内に戻って今度は厨房へ。

 執務室に残してきた、まだ確認していない書類の束が気になるけど……昨日程の量じゃないから大丈夫か。

 用を済ませた後でも、確実に夕食までには間に合うだろうから。


「失礼します。ヘレーナさんは……ってヴォルターさん。どうしたんですか?」


 厨房に入ると、ヘレーナさんと何やら話している様子のヴォルターさんを発見。

 一応色々と落ち着くまでは、これまで通り執事として屋敷で働いてくれているようだけど、しばらくすれば本を読み漁り、物語作りに励むであろうヴォルターさんだ。

 厨房に来る事は珍しいどころか、あまり用はなさそうなのにどうしたんだろう?


「タクミ様。ヴォルグラウが小腹を空かせていたようでしたので、何か食べるものがないかと」


 ヴォルコンビ、と俺が勝手に言っているんだけど、名前が似ているヴォルターさんとヴォルグラウは、別邸にいた頃から仲がいい。

 本を読み漁って引きこもりがちなヴォルターさんにしては珍しく、それこそセバスチャンさんが少し驚くくらいには、ヴォルグラウの様子をちゃんと見てくれているようだ。

 そのヴォルグラウだけど、フェンリル達と一緒に過ごすうちに慣れてくれて、敷地内外のフェンリル達の間を行ったり来たりして、結構自由に過ごしている。

 今日は確か、外に行っているはずだけど、様子を見たヴォルターさんが食べたりないヴォルグラウのために、おやつがないか相談しに来たってわけか――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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