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デリアさんの事をクレアに話しました



「あら、タクミさんにレオ様。それにリーザちゃんも」

「ガフ!? ガフガフー!」

「ワフ!」

「キャウー!」


 中庭に出た俺達にクレアが気付き、続いてフェルがこちらに、というかレオに気付いたためかすぐにこちらへと駆けてきた。

 どうやら、案内してくれた事も含めての挨拶らしい……すぐ目の前で転がって仰向けになったし。

 レオが頷くように鳴いて、シェリーが楽しそうに仰向けになったフェルの周囲を駆け回る。


「よーしリーザ。フェルのお腹を撫でてやってくれー」

「うん、わかったー!」

「ワフ、ワフワフ!」

「キャウー」


 クレアに手を振りつつ、リーザにフェルの方へ行ってもらう。

 放っておいたら、俺が撫でるようになりそうだったからだけど、とりあえず今はクレアがいた事もあってちょっと話したいからな。

 嬉しそうに笑い、レオから降りてフェルのお腹に手を伸ばすリーザと、レオが前足を乗せ、さらにシェリ―がその上に乗った……重くないんだろうか?


 まぁ、フェルの方は苦しそうにしていないし、むしろ喜んでいるようだからいいか。

 レオに挨拶できたからか、満足そうでもあるし。


「クレア、ちょっといいかな?」

「タクミさんは私に用があってこちらに来たんですね、なんでしょうか?」

「いや、偶然というか……まぁそれはいいか」


 フェルの様子を見にきただけなんだけど、クレアがいたから目的変更。

 とはいえ、フェルの方も他のフェンリル達と問題なくやれているようだし、フェリー達も受け入れているようだから、大丈夫そうだというのはちゃんと確かめたからな。


「さっきデリアさん達が到着したんだけど……」

「あぁ、そうみたいですね。ジェーンがセバスチャンを呼びに来ました。お爺様達も連れて行きましたけど……」

「エルケリッヒさんもかぁ……達って事は、エッケンハルトさんも?」

「はい。ティルラも一緒に」

「だから、テオ君達はいてもティルラちゃんが見当たらなかったんだ」


 クレアはセバスチャンさんを呼びに来たジェーンさんから、デリアさん達の事を聞いたみたいだ。

 忙しければ、セバスチャンさん以外でも良かったんだけど……まさかエッケンハルトさんやエルケリッヒさん、さらにティルラちゃんも一緒に付いて行くとは。

 フェリー達のいる方では、テオ君とオーリエちゃん達が一緒にいるのに、ティルラちゃんがいないわけだ。


 カナートさん、いきなり現公爵様と先代公爵様と会って、萎縮し過ぎなければいいけど……強く生きて……。

 ティルラちゃんは、別邸で買うニャックに関してだから一応関係あるし、勉強のためとかだろうけど……エルケリッヒさんもエッケンハルトさんも、興味を持ったんだろうなぁ。


「まぁ、あっちはセバスチャンさん達がなんとかしてくれるか」


 キースさん達もいるはずだからな。


「えっと、タクミさん?」


 カナートさんの事を案じていると、クレアが不思議そうに俺を見る。

 声を掛けておいて、他の事を考えていたらいけないな。


「あぁごめん。ちょっとデリアさんの事で、クレアと話しておかないとって思ってね」

「デリアさんの事ですか?」


 謝りつつデリアさんの事と伝えたら、さらに首を傾げた。

 俺の管轄だから、どうして自分に話しが? と思っているようだ。

 確かに直接関係するわけではないし、間接的にも……いや、ある意味関係するのか? ともあれ、相談しないとな。


「デリアさんって、ブレイユ村に行った時もそうだったんですけど……」


 フェルと一緒にいるレオやリーザ達を見ながら、クレアに俺が考えている事を話す。

 単純に、デリアさんが喜ぶ事……お金とか、話をするくらいならいいんだけど、頭を撫でたりする事で誤解を生まないようにというか、いいのかどうかって話だ。

 細かい事を気にしている自覚はあるけど、それで、クレアや他の人達に変に思われたりしたくないからな。

 デリアさんは獣人で、リーザと同じだけど年齢も見た目も成人した女性。


 そんな女性の頭を気軽に撫でていたら、変な誤解や噂が生まれそうだし、クレアが嫌な気分になるかもしれないから。

 俺としてはレオやリーザ、それからフェンリル達を撫でる感覚と大差ないんだけど……傍からだとそうは見えないかもしれないしなぁ。


「そうですか……デリアさんが」


 撫でる事、そこから生まれそうな誤解などの話をし、口元に手を当てて考えているクレア。

 ブレイユ村でデリアさんを撫でていた時は、クレアへの気持ちはあれどまだ告白する前だったからな……まだセーフだという事で考えている。

 当然ながら、デリアさんを撫でたからといって邪な気持ちはなかったと断言できるからでもある。

 触り心地や、リーザと似たような可愛さみたいなのは感じていたけど。


「それで、もしクレアが嫌だと思うのであれば、別の方法を取ろうかと」

「別の方法、ですか?」

「とりあえず、俺じゃなければいいんだから……クレアやリーザに撫でてもらう、とか? レオはさすがに撫でられないだろうし」

「ワフゥ?」


 こちらを見るクレアに、代替案を提示。

 さすがに、まだ深く考えての事じゃないので俺以外の人がと考えての案だ。

 フェルに右前足を置いたままのレオは、自分の名前が出たのが聞こえたため、こちらに顔を向けて呼んだ? と首をかしげていたけど、手を振って気にしないように合図を送っておく。


「んー、でも多分ですが、デリアさんはタクミさんに撫でて欲しいんだと思います。私やリーザちゃんが撫でて喜ぶかどうか……」

「まぁ、そこはデリアさんに聞いてみないとわからないか。でも、俺だからってわけでもないと思うような?」


 誰かに褒められたい、撫でられたいとかだったら別に俺限定というわけではないだろう。

 それこそ、同じ獣人で子供のリーザからはデリアさんにとっても、あまり嬉しくない可能性はあるけど、立場のある人としてはクレアの方が適任とすら思う。


「いえ、デリアさんはタクミさんだからこそだと思いますよ? レオ様と一緒にいる事で……というのもあるでしょうが、フェンリル達の反応を見ているとおそらく」

「そう、でしょうか?」

「私達が撫でた時と、タクミさんが撫でた時ではフェンリル達の喜び方が違いますから。なんというのでしょうか、私達でも喜んでくれるのですが……」


 そうなのかな? あまり反応を見比べた事がないからわからないけど。

 尻尾の振り方が違うとか、撫でるのに慣れているからの違いとかかもしれない――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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