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改めてラーレを紹介しました



 中庭に出ると、俺達が食事をするためのスペースから少し離れた場所に、フェリーを先頭にしてフェンやリルルを始めとしたフェンリル達が並んでお座りしていた。

 どうやら、食事の時間だとわかっていて整列しているらしい……尻尾が嬉しそうに揺れているな。

 シェリーは……リルルの横でお座りしていながら体を硬直させているヴォルグラウの横で、同じくお座りして胸を反らしている。


 親分的な感覚で、ヴォルグラウの面倒を見ているような気分なんだろうか?

 フェンが寂しそうに見ているから、程々にな。


「む、むぅ……こうして見ると、やはり目を見張るものがあるな。威圧感は、覚悟していたほどではないが」

「父上、これでも全てではないのですよ? まぁ私も、同じく圧倒されましたが……」


 それらフェンリル達を見て、唸るエルケリッヒさんとエッケンハルトさん。

 昨日は暗かったし、すぐにお酒も入ったようで気にする余裕もなかったみたいだからな、レオ相手に緊張もしていたみたいだし。

 敷地内にいるフェンリルはフェリー達を合わせて十体で、他のフェンリルは敷地外と厩、村の中で過ごしてもらう事になっている。

 まぁ今はまだ村の中にはいないけど。

 ちなみに、屋敷の敷地はかなり広く取ってあるようで、四十体以上のフェンリル達が勢揃いしても余裕はある。


 ただ中庭は別邸の裏庭より広くなっているんだけど、ここだけで揃ってしまうと手狭だからな。

 精々二十体といったところか……それでも結構、手狭になるか。

 レオもいるからな。


 それに、フェンリル達が自由に過ごすためにも狭い敷地内に押し込むのではなく、出入り自由にしつつできるだけ外で過ごしてもらう事にしている。

 できるだけ早く、雨風が凌げる場所も作らないといけないなぁ……。


「あ、レオ様とタクミさん! 姉様に爺様達も!」

「お、おぉティルラか」


 フェリーたちとはまた離れた場所で、空を見上げていたティルラちゃんが、エルケリッヒさん達の声に気付いてこちらにかけて来る。

 エルケリッヒさんは、フェンリル達に気圧されつつも表情を柔らかくしてティルラちゃんを迎え……ようとしたが。


「レオ様ー!」 

「ワフ!」

「……」

「まぁ、そういうものです父上」

「ティルラは、レオ様によく懐いていますから。ラーレやシェリー達もですけど、やっぱりレオ様が特別みたいですね」


 駆けて来るティルラちゃんを受け止めようと、両腕を広げて備えるエルケリッヒさんの横を抜け、レオの前足に抱き着くティルラちゃん。

 背中にテオ君やオーリエちゃんを載せたまま、ティルラちゃんに鼻先を近付けて一舐めして歓迎。

 エルケリッヒさんは両腕を広げたままの体勢で固まり、エッケンハルトさんから肩をポンポンと軽く叩かれていた。

 クレアは微笑ましくティルラちゃんとレオのじゃれ合いを見ているけど……可愛い孫娘が飛び込んでくると思っていたエルケリッヒさんが、少し可哀そうだ。


「んん! そうだティルラ。ラーレだったか、紹介してくれないか?」


 咳払いをしてなんとか体裁を取り繕った……できているかはともかく、エルケリッヒさんがティルラちゃんにラーレの紹介を求める。

 受け止めようとしたのは、なかった事にしたいようだ。

 昨夜合流した時に近くにはいたけど、向かい合って話をしていなかったからな。


「はい、わかりました爺様! すぅ……ラーレー!!」


 エルケリッヒさんに言われ、レオから離れたティルラちゃんが大きく息を吸い込んで、空に向かって大きくラーレを呼ぶ。

 中庭にいないと思ったら、空を飛んでいたのか……あぁ、だからティルラちゃんは俺達が来た時、空を見上げていたんだな。

 視線を空に移して見ると、確かにラーレらしき鳥の影が動いているのが見えた。

 ただここから呼んで、ラーレに聞こえるのかな? と思ったけど、それは杞憂だったようだ。


「キィー!」


 こちらに向かって急降下してきたラーレが、大きく鳴く。

 ギフトがあるからか、それとも従魔契約の影響か、届くかわからない声もラーレには聞こえるみたいだな。

 ラーレの耳が特別優れている、というわけではないと思う。


「爺様、ラーレです。えっと、カッパーイーグルでしたっけ?」

「キィ!」


 ものすごいスピードで降下してきたラーレは、途中で大きく羽ばたいて速度を緩め、ゆっくりとティルラちゃんの近く、俺達の前に降り立つ。

 その前に立ち、エルケリッヒさんにくるりと体を振り向かせ、ティルラちゃんが紹介すると、ラーレは肯定するように鳴いて大きく翼を広げた。


「キィ、キィ~!」


 続いて、左の翼は広げたままに、右の翼を折り曲げて体の前に持って行き、頭を下げるラーレ。

 人間が恭しく礼をする時に似ている……ラーレは結構紳士なのかもしれない。

 あれ、そういえばラーレの雌雄ってどっちだったっけ? 聞こうとして聞いていない気がするけど、まぁ今はいいか。


「う、うむ。ティルラの祖父、エルケリッヒだ。よ、よろしく頼む……こうして近くで見ると、体の大きさもあって迫力があるな。貫禄もある」

「私は、出会った状況が状況でしたので、父上程ではありませんが。ですが、確かに威厳は感じますな」


 まぁエッケンハルトさんは、レオの魔法で撃ち落とされたラーレを見ているから、圧倒される事はないのかもしれない。

 とはいえ初めて見ると、ラーレの大きさなどに圧倒されている様子のエルケリッヒさんみたいになるのも、無理はないと思う。

 体のつくりから、ラーレはレオより大きく見えるくらいだからなぁ。

 翼を広げたら横幅もかなりの広さになるし、縦横三メートル以上ってところだ。


「ピ~」

「ピピィ~」


 ラーレとエルケリッヒさんの対面を見守っていると、左右に別れて肩辺りに乗っていたコッカーとトリースが鳴いて主張。

 ばっさばっさと羽を動かして、ゆっくりと地面に降りた。


「む、こちらはコカトリスの子供だったか。ラーレを見た後だと、可愛らしいと思ってしまう大きさだが……これは、誰かの従魔とかではないのだな?」

「コッカーとトリースは、お掃除係です!」

「ピピ!」

「ピピィ!」


 ティルラちゃんの簡単すぎる説明に、ラーレと同じ事をしたかったのか両翼を広げて誇らし気にする、コッカーとトリース。

 結構、お調子者な所があるよなぁ……最初ラーレに連れて来られた時は、レオを見て怖がっていたり、食料と言われて震えあがっていたのに――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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