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1417/1998

ランジ村近くの川に辿り着きました



「あ、何か見えます! あれは……川でしょうか?」

「そうみたいだね。成る程、川に繋がっていたのか」

「ワフー!」


 またさらにしばらく、といっても一分か二分くらい走ったあたりで、前方に流れる川を発見。

 どうやら掘り返した道みたいなのは、その川へと延びていたようだ。


「結構大きい川みたいだ。よし、川辺に行ったら休憩にしよう!」

「ワフワフ!」


 近付くごとに、川の大きさも大体わかるようになってくる。

 何故川に繋がる道みたいなのがあるのかはわからないけど、ちょうどいい区切りだし、レオ達の休憩にはもってこいだろうと、川辺までで止まる事に決める。


「グルゥ!? グル、グルゥ!」

「ガウガウ!」


 俺とレオの声を聞いた途端、フェリーとフェンが元気になった……というより、必死で辿り着こうとしている感じかな?

 ……ちょっと無理をさせ過ぎたかもしれない。

 フェンリルの体力とか、どれくらいの距離や時間を、どれくらいの速度で走れるかははっきりわからなかったからなぁ、ちょっと申し訳ない。

 レオに付き合って、かなりの速さで走っているせいでペース配分ができなかったのかもしれないな。


 でも、馬なら数分……十分も今のペースで走り続けたら、へばって動けなくなってもおかしくないのに、一時間近くも走り続けられるだけでかなりすごい。

 やっぱりフェンリルは、長距離移動も馬より優秀みたいだ。

 なんて、ちょっとだけの散歩のつもりが図らずもフェンリルの体力の限界を知る機会になってしまったなぁ。


「はーい。リルル、もう少しだから頑張ってー!」

「ガウゥ~!」


 リルルの方は、リーザの応援のおかげなのか元々持久力が優れているのか、フェリー達程疲れた様子はない。

 とは言っても、口を開けて舌がだらんと出ているんだけど。


「よし……あ、えっと。止まれ! ここで休憩だ!」

「ワッフ!」

「グ……グルゥ……ハー、ハー……」

「ガウ……ハー、ヒー……」

「ガウゥ。ガ、ガウゥ」


 合図から始まったから、止まるのにも合図が必要だと思い、短く声をかけてレオ達を静止する。

 レオはまだまだ元気そうで、ゆっくり速度を落としつつ、川のすぐ近くで停止。

 フェリーとフェン、リルルは既について来れる速度ではなく、ゆっくりと荒い息を吐きながら歩いている状態だ。

 リルルだけは強がりなのか、歩きながらも平気そうな振りをしているけど……舌が収まっていないぞ?


「スンスン、スンスン……」

「どうだレオ?」

「どうなんでしょう……?」


 レオが川に鼻先を近付けて、流れる水の匂いを嗅ぐ。

 背中から降りた俺とテオ君が、その様子を窺う。

 どこまで嗅ぎ分けられるのかはわからないが、病の素を臭いで察知したレオの事は信頼している。


「ワフ、ワッフワフ! ガブガブガブ……!」

「うん、飲めるみたいだな。とりあえず、フェリーとフェン、それからリルルは水を飲んで休んでくれー」


 大丈夫とか、飲める! と言うように鳴いた後、レオが勢いよく川の水を飲み始めた。

 シルバーフェンリルのレオだから大丈夫なのでは? と一瞬躊躇しかけたけど、俺に対して飲めると言っていたようだから大丈夫なんだろう。

 とりあえず、俺やテオ君、リルルから飛び降りてこちらに駆け寄って来るリーザはともかく、フェリー達には少し休んでもらおうと声をかけた。


「パパー!」

「おっと。よしよし……すぐに降りたかったのはわかるけど、リルルから飛び降りると危ないからな? 気を付けるんだぞ?」

「はーい! でも、リルルも疲れていたみたいだったから」

「うん、そうだな。まぁ今回だけって事で」


 お腹付近に抱き着いて来るリーザを受け止めながら、リルルから飛び降りた事を注意する。

 馬程じゃないけど、リルルの背中も十分高い位置だからな……大きな怪我の可能性は少なくても、着地に失敗したら足をくじくぐらいはしてもおかしくない。

 リーザはリルルが疲れていたのを感じて、そうしたみたいだが。

 左右に揺れながら川に向かうリルル……やっぱりそれなりに無理はしていたみたいだが、リーザを降ろすために止まって伏せをしてまた立って、という手順をさせない気遣いもあったんだろう。


「グルガブギャブグブブブ……!」

「ガブガフガフ……ガハッ! ガフッ! ガフッ!」

「ガウゥ……ピチャピチャ、ゴク、ゴク……」

「おぉ、フェリー達すごい勢いです」

「リルルはお上品だねー」

「ははは、そうだな。リルルは女の子だからかな……シェリーって子供もいるから、女性か。――フェンは慌てて飲み過ぎないようになー!」


 川に辿り着き、勢いよく流れる水を飲み始めるフェリー達。

 口を川に突っ込み、溺れているのかわからない様子で水を飲むフェリーに、同じく勢いよく水を飲むが焦り過ぎたのか咳き込むフェンに、テオ君が感心している。

 リルルは、口先を少し川に浸しながら舌を使って水を飲んでいた。

 リーザの言う通り、落ち着いた様子で水を飲んでいる姿は上品と言えなくもない……結構無理をしているっぽいけど。


 フェンリルの雌、つまり女性だから優雅にとかそういう事だろうか?

 レオも時折そうする事があるけど、知性が高い分自分がどう見られるかを気にしているのかもしれない、フェリー達はともかくとして。

 見られる事を意識してとか、人間の女性とそう大差ないのかもしれない。

 まぁ、マーキングをしようとしていたレオの事は、気にしない方がいいのかもしれないが。


「ガブガフワブブブ!」

「レオ様が溺れて……!」

「いや、あれは泳いでいるんだよ。口が川の中に入っているから、抜ける息で溺れているみたいな音になっているけど。というかレオ、いつの間に……」


 気が付くと、レオは川の中腹辺りで楽しそうに犬かきで泳いでいた……息継ぎする気があるのかないのか、相変わらず溺れているような音を出して、テオ君を驚かせている。

 初めて見たら、泳いでいるのか溺れているのか判断に困る事あるよなぁ。

 水をたらふく飲んで満足したら、顔を上げて優雅……かどうかは犬かきなのでわからないが、ちゃんと顔を上げて泳ぐ事も多くなるんだけど。

 フェンリルの森に行った時、散々泳ぐレオの姿を見てきたからな。


 それにしても、レオの体の大半が水に浸かっているのを見るに、結構深い川みたいだ。

 俺がレオのいる所まで行ったら、顔まで浸かりそうだな。

 テオ君やリーザが入ったら、足がつかないだろう――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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