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昨夜の事を褒めました



「グル、グルルゥ」

「ワフ。ワッフワフ!」

「わー、ママの尻尾がすごーい!」

「おぉ~、すっごく揺れるのよう……!」

「レオ、無理を言っちゃだめだぞ? まぁ今回は朝食後だから、フェリーがお腹いっぱいで助かったな」


 首を振るフェリーに、再び尻尾をブンブン振って喜ぶレオ。

 後ろにいたリーザに先っぽが直撃していた……痛いとかじゃなく楽しそうだからいいか。

 フェヤリネッテに至っては、その尻尾にくっ付いて一緒に振られていた、酔ったりしないのかな?

 ともあれ、フェリーへの圧のようなものを注意しつつ、ソーセージを一つライラさんに預け、開いた手で撫でて落ち着かせる。


「ワウ!」


 レオからはものすごくいい返事が返ってきた。


「よしよし、ちょっと遠慮して欲しそうにしていたのはあれだけど、フェリーにも聞いて偉かったなー」

「ワウー、ワッフ。ワフ?」

「おっと、そうだな。そろそろ……って、レオも朝食を食べたばかりだろう? お腹は大丈夫なのか?」


 レオを褒めつつ、話しばかりでもせっかくヘレーナさんが温めてくれたソーセージがさめてはいけないと気付く。

 ただお腹を壊したり、この後の移動に差支えがないかは聞いておかないとな。


「ワウ、ワフワフ、ワウー」


 ソーセージは別腹とか、そのような感じの事を言っているようだ。

 いや、あれは甘い物に対してで……そもそも、本当に別腹なわけじゃないし、牛じゃないんだから本当に胃がいくつもあったりしないだろうに。

 とにかくソーセージならどれだけでも食べられる、って伝えたいみたいだな。

 まぁ……多分大丈夫そうか。


「そうか……まぁ、レオがそういうなら。お腹が痛くなったりはしないな? 無理はするなよ?」

「ワウン!」

「それじゃ、昨夜はユートさんの邪魔をしてくれてありがとうな。おかげで、レオもそうだしクレア達とも楽しく過ごせたよ。ほら」

「ワッフ! ガフガフ……!」


 念を押して確認して大きく頷くレオを見てから、手に持っていた大きなソーセージを食べさせてやる。

 と言っても、金串を刺したままだと危ないので、褒めながら別で持って来ていたお皿に入れてだけど。

 ……最初からお皿に載せて持ってきたら良かったと、今更気付いたのは内緒だ。


「レオ様を褒めると言っていたのは、そのような事があったのですか。クレアお嬢様と一緒に過ごされていたのは知っていましたが……」

「ははは、朝ルグレッタさんに吊るされていたのは、そのせいだったみたいです。まぁそんなわけで、俺やクレアにも気付かれずにユートさんを阻止してくれたレオを褒めておこうと思って」


 もしユートさんが乱入して来たら、落ち着いて話ができなかった以外にもリーザやシェリーが起こされていただろうからな。

 まぁリーザは、話の最後に起きてしまったが。


「ガフガブワウガブブ……!!」

「ママの勢いすごい……リーザも、あんな風にしたいなぁ」

「いや、あれは真似しちゃだめだぞ? できればよく噛んで飲み込まないと、体に悪いからな」


 一分も経っていないくらいなのに、もう半分くらい食べ進めているレオ。

 その凄まじい勢いを見て、感心どころか自分もと言うリーザにはできれば真似しないで欲しい。

 獣人だから人間とは違う部分はあるかもしれないけど、さすがに食べ物の消化に関しては大きな違いはないと思うし。

 歯や顎のためにも、よく噛んで食べた方がいいと思う……レオは特別として。


「ワフゥ……」

「お、満足したかレオ?」


 そうしているうちに、ソーセージを一つ食べ終わったレオ、本当に早いな。

 満足そうな鳴き声を漏らしていたので、お腹いっぱいになったかな?


「ワウ、ワッフワッフ!」

「まだまだってか。ふむふむ……」


 一つ目が食べ終わったレオの視線は、先程渡したライラさんへと注がれて外れない。

 まだ食べられるようだし、あっちも食べてもらうか……もしレオが満足なら、残った方のソーセージはフェリーにあげるか他のフェンリル達で食べられそうなのに、あげようかと思っていたけど。


「持たせてしまってすみません、ライラさん」

「いえ」


 持ってもらっていたソーセージを受け取り、レオが食べ終わったお皿に金串を外して載せる。


「ワーフ……」

「レオ、待て!」

「ワフ!?」


 一つ目程ではないけど、大きく口を開けてお皿のソーセージに食いつこうとするレオに手をかざし、待てをする。

 驚いて固まるレオ……よしよし、ちゃんと止まったな。

 以前、ラクトスの街で屋台で売られている食べ物に飛びつかないよう、エッケンハルトさんの前で待てを覚えさせた甲斐があったな。

 シェリーの方も一緒にやったけど、あっちは覚えているだろうか?


「そのまま、待てだぞレオ……」

「ワ、ワウ……」

「ママ、足も固まってるー。面白ーい!」


レオに向ける手を二つに増やし、我慢させる。

 驚いた拍子なのか、右前足が口の高さまで上がってピタリと止まっているのは、リーザも言っているように面白い。

 だるまさんが転んだをやっている気分になるな、別に動いてもいいんだけど。


「グルゥ?」

「尻尾が動かなくなったのよう……」


 フェリーは何をしているのか疑問なようで首を傾げ、レオの尻尾付近をフワフワと飛んでいたフェヤリネッテは、つまらなそうに呟いた。


「よしよし……そのままそのまま……」


 両手をかざしたまま後ろに下がって、レオと地面に置いたお皿から少しずつ距離を離す。


「リーザ、ちょっとこっちに。ライラさんも少し離れていて下さい」

「うん!」

「畏まりました」

「ワ、ワウゥ……」


 リーザを呼んで、ライラさんもレオから離す。

 段々と我慢の限界が近付いて来たのか、情けない鳴き声を漏らすレオ。

 ちゃんと我慢してて偉いぞーレオ。


「よ……じゃない。レオ、ジャンプだ!」


 よし! と言ったら、食べる許可のコマンドになってしまうので、言いかけて途中でやめ、代わりにジャンプを指示してみる。

 コマンドとしては教えていないけど、ちょっと変化させてどういう反応をするかを試してみたかった。

 こういう時、短いコマンドを教え込むのと違って、ちゃんと言葉が通じるって楽だなぁ。

 実際に動けるかはともかくだけどな――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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