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1320/1998

ジョセフィーヌさんは写真を持っていたようでした



「あ、でもそれなら、ティルラちゃんも大丈夫そうだ。良かった」

「ん? ティルラちゃんがどうしたの?」

「そうだった、まだ話していなかったっけ。えっと、ティルラちゃんに……」


 簡単ながら、ティルラちゃんにギフトが発現した事をユートさんに伝える。

 ジョセフィーヌさんのギフトとは少し違った能力、ギフト名である事もついでに。

 あと、ユートさんの事は言っていないけど、ジョセフィーヌさんの事をティルラちゃんにだけ話した事を伝え、謝っておいた。

 秘密にしていた事を俺の判断で話したから……とはいえユートさんは、その事に関しては特に気にしていないようで、むしろ気を遣わせてごめんねって言っていた。


 俺に話した時点で、その内容を誰に伝えるかも自由にしていい、という事だったらしい。

 同郷ながら俺を信用し過ぎなんじゃないかな? と思ったけど、どうやら信頼感はシルバーフェンリルのレオの方にあったようで……もちろん、俺の人となりもそれなりに信用はされていたんだろうけど。

 でも、レオと一緒にいるから滅多な事は起きないだろうとか、ちょっと楽観的すぎないかなと思うような答えもあったりしたけど。


「成る程……あのティルラちゃんにねぇ。てっきり、もしギフトが使えるようになるとしたら、クレアちゃんの方かと思っていたけど……」


 そう言って、ティルラちゃんやクレア、レオやリーザ、ラーレやシェリーがいる方に視線を移すユートさん。

 そちらでは、ラーレも一緒に楽しそうに過ごしているのが見えた……コッカーとトリースが、レオの背中とラーレの頭を行き来しているのは何故だろうか。

 羽根をバタバタさせているから、どれだけ飛べるかを試しているのかな? まぁ、楽しそうだからいいか。


「俺は見た事がないけど、ジョセフィーヌさんとクレアはそっくりなんだっけ?」

「うん。生き写しというか、そのままと言ってもいいくらいだよ。まぁ、僕が見たのは随分前だけど……もしリーベルト家の屋敷。えっと、タクミ君達の言い方に合わせると本邸かな? そっちに行く事があったら、写真を見せてもらったらいいよ」

「写真? え……写真!?」


 思わず二度聞いてしまった。

 写真……言わずと知れたカメラで撮った物の事だけど、この世界にもあるのか?

 絵が残っている、というのは聞いた事があるけど。

 ん、待てよ?


「ジョセフィーヌさんの絵があるって聞いたけど、写真を撮っていたって事?」

「撮っていたというか、持って来ていただね。こちらの世界に来る時の持ち物だったみたい。アルバムを持っていたみたいだよ。あぁ、勘違いしないで欲しいけど、まだこちらの世界には写真というかカメラはないね。近い物なら、そろそろ開発されそうだけど……銀塩写真に近い物になるだろうね。当然カラーじゃない」


 カメラはなく、ただ写真を持って来ていただけって事か。

 偶然にも、こちらの世界に来る際にアルバムを見ていたとかだろうか? 俺は特に何も持っていなかったから、服がそのままだっただけだけども。

 いや、確か部屋で寝ていたはずだから、靴を履いていたのは疑問だけど……あれ? 俺、こちらで目覚める前に寝ていたんだっけ? まぁ、その時の状況は思い出せないし、レオの鳴き声で起きるまでは寝ていたようなもんだから、それでいいか。


「こちらではまだ写真とは言われてなくて、精巧な絵って事になっているよ。まぁ、リーベルト家……というか当主になれば写真という言葉くらいは教えられるかもしれないけど」


 だったら、一応エッケンハルトさんは知っている可能性はあるか。

 つまり、ジョセフィーヌさんのアルバム……生まれた頃から成長の途上を記した絵、というのは写真だったんだろう。

 それを見て、クレアが成長する過程でユートさんも言っているように、生き写しのように見られていたってわけだ。


「まぁ、それはともかくとして……ギフトが変化してティルラちゃんにか。ないわけじゃないけど、珍しいかな? とりあえず、変な心配はしなくてもいいと思う。ティルラちゃんに備わった能力であって、受け継がれた、変化した事は気にしても、害になる事じゃないから」

「珍しいには珍しいんだ。いやまぁ、ティルラちゃんに害がって心配しているわけじゃなくて、お酒はさすがにまだ早いだろうから……」


 まだ十歳の子供にお酒は飲ませられないな、と考えただけだから。

 もしギフトに使うための力が、お酒を飲む事でしか回復しないのであれば、ティルラちゃんに使用しないよう注意する必要があったかもしれないけど。

 というより、俺自身お酒を飲まなくても、毎日『雑草栽培』を使って問題なかったんだから、余計な心配だったかもしれない。


「そういう事かぁ。そうだね、飲んじゃいけないって事はないんだけど、日本というか地球の価値観で言うと躊躇するよね」

「飲んじゃいけないわけじゃない?」

「うん。だって、別に未成年の飲酒を禁止していたりはしないから。もちろん、推奨はしないけど」


 この世界、というかこの国では未成年でも飲酒してもいいって事か。

 ユートさんも言っているように、推奨はされていないんだろうけど……それはどうなんだろうと感じる。


「ふふー、やっぱり禁止されないのはおかしいって感じている顔だね?」

「まぁ……そりゃ、ちょっとお試しで飲むみたいな事はあっても、子供が飲むのはね」


 俺の世代ではなかったけど、伯父さんから聞いた話ではあった事。

 正月に飲むお屠蘇とか、子供であっても特に注意される事なく……むしろ年代が上がれば上がる程、子供にも勧める事があったんだとか。

 さすがに、赤ん坊に飲ませるとかはなかったみたいだけど、ある程度育った子供には勧められたりって事も……断ったらしいけど、伯父さんも弟と一緒にお爺さんから勧められてという話を聞いた。

 ちなみに、伯父さんが言うお爺さんは俺のひい爺さんで、弟は俺の実の父親の事だな。


「確かにね……推奨はされないしできないんだけど、仕方ない面もあったんだよ」

「仕方ない面?」


 子供がお酒を飲むのが仕方ないって、どういう……?


「この世界は、僕達がいた地球と違って文化がまだ未発達だからね。旅をするのも一日二日ではなく、一カ月や長ければ年単位になるわけで……」




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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