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1306/1998

森に行った理由がクイズ形式になりました


 

「あはは、気にしなくていいよ。ハルト……あー、エッケンハルト卿もそうだけど、僕もあまり身分とかは気にしないから。気になる会話だったらどんどん入って来ちゃってよ」


 ユートさんは、できるだけ大勢でわいわいするのが好きなタイプっぽいな。


「は、はい……」

「ありがとう、ございます……」


 小さくなりながら、頭を下げるチタさん達。

 ヨハンナさんも少し離れて同じく頭を下げている。

 この反応を見ていると、中々会話には入って来られないだろうなぁ……クレアも俺とユートさんの話にはあまり入ってこようとしないくらいだし。

 まぁ、追々かなぁ――。



 ――とりあえず寝具に関しては要検討という事で……少ししてアルフレットさんが、皆が落ち着いた事や出発の準備が整ったとの報告をしてくれて、ランジ村に出発。

 消火活動などは、フェリーを始めとしたフェンリル達が頑張ってくれたので、昼食はご褒美に美味しい物を用意するとヘレーナさんとも相談済み。

 一部、スケートリンクみたいになっていたのは、ちょっと力加減を間違えたらしいけど……様子を見た時には溶け始めていたので、以前トロルドを凍らせたレオとは違い、すぐに溶けて戻るようだ。


「それにしても、凄いねぇタクミ君。いや、凄いのはクレアちゃん達もかな?」

「いきなり何を?」

「私達もですか?」


 走る馬車に乗って、窓の外を眺めながらそう言うユートさん。

 馬車の中には今、俺とクレアが並んで座り、向かいにはユートさんとルグレッタさんが座っている。

 ライラさんやエルミーネさん、ヨハンナさん達は別の馬車や馬に乗っている。

 リーザとシェリーはレオと一緒だな……ティルラちゃんもラーレと空だ。


「いや、フェンリルが人を乗せているからね。クレアちゃんとこの……使用人さん達も、それぞれフェンリルに乗り慣れているようだし」

「あぁ、そういう意味かぁ。少し前から、屋敷の……クレアがいた公爵家の別荘だけど、そこの使用人さん達のほとんどが、フェンリルに乗ったりと慣れてくれたから」

「タクミさんやレオ様がいらっしゃるので、フェンリル達がおとなしく使用人達も慣れるのは早かったですね。これも、レオ様と普段接する機会があったからだとは思います」


 感心していたのは、人を乗せるフェンリル達と、それに乗っている使用人さん達か。

 レオも含めて、ライラさんやクレアのように最初から怖がらずに接していた人もいれば、怯えていた人もいる。

 まぁ、怯えていた人は俺の使用人候補の人達に多かったけど……ヴォルターさんなんて、どうしてもと馬に乗って横を走るヴォルグラウと一緒にいるくらいだし。

 ともあれ、ほとんどの使用人さんが慣れてくれたうえ、屋敷の近くを散歩させるのに付いてくれたので、今ではフェンリルと接するだけでなく、乗る事もいつもの事くらいになっている。


「やっぱりレオちゃんの影響が大きいのかもね。シルバーフェンリルがいるってだけで、フェンリルがかすむくらいだし」

「それは、ユート様だけかと思いますが……通常の人間は、フェンリルもシルバーフェンリルも見分けが尽きませんよ。同時に見て見比べれば別ですけど……ですが、どちらにせよ両方存在感が他の魔物とは一線を画します」


 横のルグレッタさんが、同じく外を走るフェンリル達に視線をやりながら、ユートさんに突っ込む。

 両方を見ていると違いはわかるけど、フェンリルもあまり人目に触れる機会の少ない魔物だから、慣れていないとルグレッタさんが言うように、強大な存在感を感じるものなのかもしれない。

 俺や屋敷の人達は先にレオを見ているから、ユートさんの感覚に近い可能性もあるけど。


「ははは、それはそうかもしれない。レオを見た人によっては、最初にウルフと勘違いした人もいたみたいだし」


 初めてラクトスに行った時、ニックと共に絡んできた男達だな。

 ヴォルグラウとレオを見比べると、大きさから何からはっきりと違いがわかるけど……シルバーフェンリルを見た事がなければ、見分けがつかないかもしれない。

 そもそも、シルバーフェンリル自体伝説の魔物みたいな扱いだし。


「私達は、先にレオ様と接していたので……あと、シェリーを保護したのもあるかもしれません」

「あぁ、フェンリルの子供ね。レオちゃんとフェンリルの子供を見ていれば、慣れるのも早いかぁ」


 シェリーは最初、獰猛なフェンリルとしてセバスチャンさんとかは警戒していた様子だけど、保護して目を覚ました瞬間からクレアに懐いていたからな。

 その後屋敷ではイタズラを多少した事はあれど、無邪気な様子やのんびりとした様子を見て、屋敷の人達がフェンリルへの認識を改めたとかありそうだ。


「まぁ、だからこそなのかもね……」

「……」

「ん?」


 何やら含みを持たせるようにして、窓から視線を外し、目を細めるユートさん。

 横にいるルグレッタさんも、何やら少しだけ神妙な面持ち。

 どうしたんだろう?


「さっき詳しく話さなかったけど……森の中。何があったと思う?」

「森の中? そういえば、ユートさんは森の中に用があったんだっけ……」


 ラクトスで噂を聞いて、森の中を調べて……それで移動するフェンリル達を見て「すわ、何事か!?」と、尋常じゃない魔法をぶっ放そうとしたわけだ。

 いや、本当にすわ! とか言ったかは知らないけど。

 姿を消す魔法も使っていたようだし、それだけ警戒して調べる必要のある何かがあったって事だ……セバスチャンさんには、衛兵隊を向かわせるようにとも言っていた。

 大公爵としての地位も使っていいとも言っていたから、相当な事のはず。


「危険な何かがあった……のは間違いないと思います。セバスチャンに、衛兵隊をと言っていましたから。それに、危険がなければユート様が姿を消すような事もないかと」

「んー、半分正解ってところかな。じゃ、ヒント。外を走っているウルフ……ヴォルグラウだっけ? あのウルフは、どうしてここにいるのかな? 」

「え、ヴォルグラウ? ヴォルグラウは……」


 ユートさんの問いかけに答えるクレアは、俺と同じような考えだ。

 だけど正解ではない……ヒントのヴォルグラウだけど、デウルゴが虐待をしていたからこちらで引き取ったわけで……。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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■7巻書影■mclzc7335mw83zqpg1o41o7ggi3d_rj1_15y_1no_fpwq.jpg


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