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異世界転移したら飼っていた犬が最強になりました~最強と言われるシルバーフェンリルと俺がギフトで異世界暮らしを始めたら~【Web版】  作者: 龍央


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1302/1998

フェンリル達は獲物認定していました



「あー……警戒しているんだと思うよ。いや、獲物を慎重に見定めているとか、そんな感じかな?」

「ワフ」


 俺の言葉に、レオが肯定するように頷く。

 フェリーと一緒に魔法が激突した場所を片付けているフェンリル達が半分、もう半分は今、ユートさんを中心に見据えて囲むようにしながら、それぞれがお腹を地面に付けて低い姿勢でジリジリとにじり寄って来ている。

 最初は警戒しているのかと思ったけど、そういえば犬でも時折ある行動だと思い出した。

 群れで獲物を狩る習性のある狼が、獲物に対して距離を詰める時のやり方の一つだと、何かで見た。


 フェンリルがやっているのは、そのままその通りの行動なのかもしれない……フェンとリルルが扇動しているから、半分くらいは冗談のつもりなのかもしれないけど。

 ……こんな事で実感するのはどうかと思うが、フェンリル達にもまだ野生が残っているようで少し安心。


「僕が獲物なの!? いやまぁ、最初に敵対行動をとったのは確かかもしれないけど! でも、あのおっきな壁でほとんど防がれそうだったし、それどころかレオちゃんもいるんだから、獲物どころか俎上の鯉だよ!?」

「俎上? 鯉……?」

「難しい言葉を知っているなぁ……」


 フェンリルに狙われている事に驚くユートさん……はまぁ、自業自得という事で。

 俺やレオは怒ったりしていないし、クレアやセバスチャンさんも困りはしても罰する方向では考えていない……そもそも立場的に罰せられないが。

 でもフェンリルはそんな人が考える地位だとかは、関係ないからなぁ。

 とりあえず、首を傾げるクレア達に簡単にわかるように、俎上の鯉の意味を教えておこう。


「生殺与奪を握られているというか……完全に屈服して、相手に全てを握られている状態、ってとこかな。多分この場合全てを握っているのは、レオの事だと思うけど」

「そういった言葉なのですね……」

「ワフゥ」


 それは嫌だなぁ、と訴えるような表情で鳴くレオ。

 俺も同じく、ユートさんの全てを握っているなんてあまり良くない事がありそうで嫌だから、気持ちはわからなくもないけどな?

 今回の事のように……ルグレッタさんの苦労が偲ばれる。


「嫌そうな表情をしても、制したのは間違いなくレオなんだけどな? とりあえず、フェンリル達は解散で。セバスチャンさん、皆も驚いているでしょうからフェンリル達と一緒に自由にさせてあげて下さい」

「畏まりました」


 とりあえず、子供達もそうだけど使用人さん達や護衛さん達の中でも、浮足立っている人達がいるようなので、そちらはフェンリルと一緒にいてもらって和んでもらおうって算段。

 エメラダさんやチタさん、それからヨハンナさんとかライラさんとか……まぁ、フェンリルと馴染みのある人たちが率先して撫でていれば心も落ち着いてくれるだろう。

 セバスチャンさんに言った後、フェンリル達にも俺から伝えたけど、一部残念そうな声を漏らした以外は素直に聞き入れてくれた。

 フェンリルの祝福だったか、フェリーと近い群れにお願いできる立場っていうのは有効なんだな。


「タクミ君、随分と冷静だね? さっきあれだけの事があって、しかもこれだけのフェンリルに囲まれているってのに。いや、だからこそ冷静になれるのかな?」

「……目の前で、あんなことが繰り広げられたら逆に冷静になれますよ。驚きなんて通り越しました」

「私もタクミさんに同感です」


 冷静に対処している風に見えたのか、ユートさんから呆れとも驚きとも取れる視線と言葉をかけられた。

 驚いていたのは間違いないけど、レオだし、あとユートさんだし。

 すでに驚きを通り越して、妙に頭の中が冷静になっている……ルグレッタさんも、俺と同じような感想なのか、同意すると言って頷いていた。

 ……クレアもコクコクと隣で頷いているけど、こちらはルグレッタさんに対抗しているだけっぽいな。


 俺に同意するルグレッタさんを見て、対抗心がもたげたみたいだ。

 必要はないけど、やきもちを焼かれた感じがしてちょっとだけ気分がいいし、クレアが可愛い。

 おっと、そんな事を考えている場合じゃないな……。


「それで実際、さっきは何があったのか詳しく聞いてもいいかな?」


 なんとなく大変な事が起こった、とんでもない力がぶつかり合った……というのはわかるけど、氷の壁に阻まれて見えなかったから。

 どんな事があったのか聞いてみたい興味と、皆が落ち着くまで、さらに片付けているフェンリル達の作業が終わるまでの時間潰しみたいなものだ。

 あと、皆を守ったレオはちゃんと褒めておくために、話を聞くのは撫でながらにしよう。


「えっと、とりあえず魔法を使ったくらいの所からかな?」

「なんでユートさん達がここに、という疑問もありますけど……そちらは後でじっくり聞きますから。今はまず、さっきの魔法がどうしてどうなったのか、の方に興味がありますね」


 ユートさんがここにいる理由など、気になる事は多々あれど、興味としてはさっきの魔法の事。

 レオとユートさんの魔法がぶつかったんだろうな、というくらいしかわからない。

 俺自身の興味もあるけど、凄い音や振動だから……ラクトスの方に影響はあるだろうし、場合によっては何かしらの騒ぎになっているかもしれないからな。


 誰かにお願いして街への説明をするにしても、俺達が事情を知ってなきゃいけないだろう。

 全てを正しく伝えるかどうかは別として……。


「まぁ、今後の説明とかもあるからねぇ。えっと……」

「ワッフ、ワフワフ……」


 俺がなんで真っ先に魔法についての話をして欲しいのか、ユートさんは察しているようで、レオと一緒に話し始めてくれる……まぁ、ラクトスの方をチラチラ気にしていたらわかるか。

 とりあえず、魔法に関してだけど……ユートさん曰くギフトを使ってできる最大の魔法を使おうとしていたらしい。

 そんな魔法をいきなりぶっ放すのはどうかと思うが、フェンリル達が集団で森から出て行くのを見たから、とんでもない事が起ころうとしているんじゃないか、と考えたんだと。

 それで、フェンリル一体ならまだしもさすがに集団を相手にするのは分が悪いため、先手必勝で仕掛けようと……まさか四十体以上いるとは思わなかったらしいけど――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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