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異世界転移したら飼っていた犬が最強になりました~最強と言われるシルバーフェンリルと俺がギフトで異世界暮らしを始めたら~【Web版】  作者: 龍央


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1272/2000

二つ目の薬の話を聞きました



「コッカー達の成果だね、ママ」

「ワフワフ」

「コカトリス、植物の管理以外にもこんな活用法が……侮れません」

「それで次は……」


 とりあえず石化回復薬と名付けた小瓶を、しげしげと見つめて話しているリーザやレオ、ライラさんを横目に、俺とミリナちゃんは二つ目の小瓶についてだ。

 ちなみに、石化回復薬は薬草数種とコカトリスの羽根を水を加えて混ぜた後に煮るらしい……薬草の量を調節して効果を上げ、加水を少なくする事で粘度が出て塗り薬になるんだとか。

 何度も試行錯誤したんだろう、新薬としては短期間で一つできただけでも十分と言える。

 ……意気込みや向上心があるからだろうけど、ミリナちゃんも優秀だ……さすが、クレアが一度は使用人として誘っただけはある、かな。


「次は飲み薬で、体力回復薬になりますね。こちらは師匠の作った薬草を合わせて、効果を出すようにさせたものなのですけど……」

「何か問題が?」


 体力回復薬と言ったミリナちゃんは、後半小声になっていったので、何か問題があるのかそれともただ自信がないだけなのか……。

 こちらは、石化回復薬と違って小瓶を揺らすと中の液体が揺れていて、粘度はなく飲み薬になっている。


「その……師匠の作って下さった薬草を混ぜたのですが、効果があまり……なくはないんです」

「んー、薬草をそのまま食べるよりも、効果が低いって事かな?」

「はい……すみません」

「謝る事はないよ。まだ始めたばかりだし、もしできればってくらいだったから」


 体力回復薬は、俺が『雑草栽培』で作った疲労回復薬草と筋肉回復薬草、両方の効果を出せればという物だ。

 薬草の状態だと、両方を一度に食べても効果が出ない不思議な薬草だ……自然に自生しているかも怪しい物でもある。

 疲労と筋肉、両方を回復させるための物だから単純に体力回復薬、わかりやすい。


「体力回復薬……私や他の使用人も、効果を見るために試しましたが、確かにタクミ様の薬草と違ってはっきりとした効果は出ませんでした。ただ、両方の効果が出るのは間違いありません」


 リーザやレオと話していたライラさんが、俺とミリナちゃんの話に入って来る。

 効果を試すためには、実際に飲んでみないといけないからライラさん達にも協力してもらったようだ。


「効果が低い……けど、両方とも効果がちゃんと出ている。それなら、一応は成功なんじゃない?」

「元々の作る目的を考えたら、それでもいいのかもしれないですけど……せっかく師匠の作ってくれた薬草なのに、効果の低い物になると無駄にしている気がするんです」

「まぁ、ミリナちゃんの気持ちはわかるよ。でも、飲み薬として調合した体力回復薬を売り出せば、どれだけ評判になってもあくまで薬。使っている薬草などには興味を持たれるかもしれないけど……」


 ミリナちゃんが言う、体力回復薬草を作る目的……それは、俺の『雑草栽培』を隠すためだ。

 薬草のまま疲労回復薬草と筋肉回復薬草を売った場合、効果が強すぎるという問題もあるけどそれだけじゃなく、その薬草は何処から? という興味を持たれてしまうだろう。

 まだどこにも売り出していないため、市場価格も定まっていないし……薬草をどうにか入手して高値で取引しよう、と考える人が出て来てもおかしくない。

 このあたりは、キースさんが危惧していた。


 そのため、薬草への興味などを逸らす目的で飲み薬として調合してみたらどうか? という話が出た。

 その際、どうせだったら両方の効果が出るように調合してみます、とミリナちゃんが意気込んでいた。

 まぁなんにせよ、薬草と同じ高い効果のまま両立できた場合、販売するのには慎重にならなければいけないかも……と考えていたんだけど。

 でも効果が高くないのであれば、大量に売っても大きな支障はなくなるし価格も抑えられる。


 元が『雑草栽培』で作った薬草であり、元手がかかっていないから調合の手間だけでかなり安く提供できると思う。

 ……安すぎても、怪しまれそうだから捨て値で売るような事はできないけども……調合を頑張っているミリナちゃんも、せっかく作った物が二束三文で売られるのは微妙だろうし。


「使用者の興味、薬師の興味は、その調合法に向くでしょうね」

「ですよね。だから、気を落とす事はないよミリナちゃん。これは十分に成功だ」

「師匠……はい、ありがとうございます」


 ライラさんもその辺りの話は知っている。

 成功という言葉に、大きな喜びはなかったけど一応ミリナちゃんも納得してくれたようだ。

 ただ少しだけ不満そうな表情にもなっているので、いずれ本当に効果の高い薬を調合しそうな気もするな……その時は、本当に薬に関しての師匠と呼ぼうと思う、うん。

 ミリナちゃんが嫌がらなければいいけど。


「それで……想像以上に目的に合った物ができたわけだけど、実際はどれくらいの効果なのかな?」


 効果が低い……と言っても、どの程度なのかは確かめておかないとな。

 これで、薬草と比べたら効果が低いというだけであって、疲労や筋肉のほとんどを回復するとかだったら、本当の意味で低いとは言えないから。


「そうですね……師匠の作った薬草だと、食べた瞬間に疲れなどがほとんど消えます。けど体力回復薬は、少し楽になる程度でしょうか」

「完全に疲れなどがなくなる、という感覚はありませんが、効果の実感はちゃんとあります。気休め程度の薬は他にもありますが……それらとは違って、はっきりと実感できる程度には疲れなども回復します」


 ミリナちゃんは作った当事者として、ライラさんは試した被験者……というとちょっと大事な言い方だが、それぞれの意見を聞く。

 実感がある程度なら、高すぎず低すぎずってところかな。

 疲労回復効果もある事から、日本でよくお世話になった栄養ドリンクのイメージだったんだけど……あれよりはちゃんと実感できる効果がすぐに出るらしい。

 まぁ、あっちはプラセボ効果も大いにあるんだろうし、高いドリンクだと効果が出るとも聞くけど。


「うん、それなら薬酒と一緒に健康維持とか、凄く疲れた時に効く! みたいな感じで売り出せそうだ」


 本当に販売する時は、他の人とも相談する必要があるけど……現状で頭に浮かぶのは、小瓶を十本程まとめて箱に入れ、疲れた体に効果抜群! みたいなキャッチコピーを付けた物。

 昔伯父さんに聞いた、二十四時間戦えるだとかはさすがに過剰か。

 そもそもこの世界は一日が二十八時間だし。



読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

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■7巻書影■mclzc7335mw83zqpg1o41o7ggi3d_rj1_15y_1no_fpwq.jpg


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神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移


完結しました!
勇者パーティを追放された万能勇者、魔王のもとで働く事を決意する~おかしな魔王とおかしな部下と管理職~

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夫婦で異世界召喚されたので魔王の味方をしたら小さな女の子でした~身体強化(極限)と全魔法反射でのんびり魔界を満喫~


― 新着の感想 ―
[良い点] 体感出来る薬品が製造出来ただけでも十分だ。
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