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異世界転移したら飼っていた犬が最強になりました~最強と言われるシルバーフェンリルと俺がギフトで異世界暮らしを始めたら~【Web版】  作者: 龍央


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クレアと想いを通じさせる事ができました



「タクミさん? 私の言葉への返事は、ないんですか?」


 少し拗ねたような、クレアの口調と視線。

 これはつまり、そういう事で……はっ!


「えーと、えーっと……あ、ありがとう? 俺も、クレアの事が好き、だよ……」

「そこは、私をしっかり見て言って欲しかったです……」

「うっ……ごめん」


 視線を逸らしながら、赤くなる顔を自覚しながらもなんとか言葉を紡ぎ出す。

 真っ直ぐ見つめ返さなかった事を、クレアに咎められた……俺、情けないな。


「でも、タクミさんらしいかもしれませんね。だからこそ、さっきは後ろからだったんでしょうし」


 全部、クレアにバレている気がする。

 正面から言えないから、ネックレスを付けるのを口実に後ろを向いてもらったんだし。

 まぁ、衝動にかられてあんな事をしてしまったけど。


「うぅ……情けなくてごめん。でもクレアは凄いね。こんな風にしっかり俺を見ながら言えるなんて」

「むぅ……」

「え?」


 もう一度謝りつつ、俺にできなかった事ができるクレアを褒めたつもりなんだけど……なぜか頬を膨らませてしまった。


「……んっ、私だって……恥ずかしいんですよ? でも、タクミさんが先に言って下さったから。だからこうして言えたんです」

「そう、なんだ……」


 膨らませた頬のまま、少し体をずらして俺の胸あたりに顔を埋めたクレア。

 そうしながら言われた言葉で、クレアの頑張りを理解した。

 少し前と同じように首元まで真っ赤になって、俺に抱き着いている体は少し震えているようだ。

 ……そうだよな、誰だって自分の気持ちを真っ直ぐ相手に告げるのは、勇気がいる事だ。


「そ、それで……先程のは私からタクミさんへの返事だったのですけど、タクミさんからはなにかないんですか?」


 顔を俺の胸に埋めながら、精いっぱいの勇気を振り絞っているクレア。

 その様子を見て、自分がやるべき事と言うべき事を理解する。


「ごめん……じゃないね。ありがとう、クレア。俺も、クレアの事が好きだよ」

「っ! タクミさん!」


 謝るのは違うと思い、訂正して感謝をしながら優しくクレアの背中に手を回し、俺からも抱き締めながら囁くようにもう一度気持ちを伝えた。

 その瞬間、さらに俺に抱き着く力を強めたクレア。

 あれ? 今のこの状況って……? なんて唐突に色々な事に気付く。

 気持ちをちゃんと言葉にして言えた事で、少し安心したのもあるかもしれない。


 正面からクレアが抱き着いているわけで、そんなクレアのあれやこれやは俺の体に密着していると。

 しかも、俺の方からも手を回して抱き締めているわけでもあって……。

 さっきクレアは俺の体が少し硬いと言っていたけど、クレアの方は色々と柔らかくてなんというか、大変な事が起こっていると言うべきか。


「ふふ……先程もでしたけど、タクミさんがドキドキしています。タクミさんには申し訳ありませんが、この鼓動を感じると不思議と落ち着いて幸せな気分になれますね」

「……先程?」

「背中越しに、凄く激しい鼓動が伝わってきましたよ?」


 なんだって!?

 衝動任せにクレアを抱き締めた時、俺の心臓の鼓動が、ドキドキが伝わっていたのか!?

 強く抱きしめていたのは俺だし、あれだけ激しい鼓動が背中越しに伝わっていたのは、よく考えると何も不思議はないんだけど……!

 恥ずかし過ぎる!


「いつかは……できれば、近いうちに。今度はタクミさんが、真っ直ぐ私を見て言ってくれるのを、待っていますね」

「あぁ、うん。頑張るよ……」


 自分の心臓の鼓動が伝わっていた恥ずかしさに、頭の中で悶えている俺に、もう一度抱き着く力を込めながら言うクレア。

 俺の恥ずかしさとか、伝わってしまっていた事とか諸々全てが吹っ飛んだ。

 今度は必ず、真っ直ぐクレアの目を見て正面から気持ちを伝えるよ……。

 決心と共に痛がらないように気を付けながら、俺からもクレアを抱き締める力を強めた――。


「ワ…」 

「キャ……」

「レ……様……! シェ……!」

「ん?」

「何か聞こえるような……?」


 月明かりの下、二人で抱き合っている俺とクレアの耳に、何やら声と共にガサガサと言う音が聞こえてきた。

 顔を巡らせてみると、茂み……というか、俺が作った庭園の花の向こう側が、かすかに揺れているような……?


「ワフー!」

「キャゥー!」

「「っ!」」


 何かがいるのか……? と思った瞬間、草花の向こう側から声と共に飛び出す巨大な影。

 急な事に、俺とクレアは身を寄せ合ったまま体を震わせる。

 ……って、この声!?


「レオ!?」

「シェリー!?」

「ワフ、ワフ!」

「キャゥキャウー!」


 月明かりを反射する銀色の毛並み、聞き覚えのある鳴き声と共に飛び出して来たのはレオだった。

 それと、小さい影が俺とクレアの足下に飛び込んできて、周囲を駆け回っている……シェリーのようだ。


「一体どうして……って、見てたのか!?」

「ワフワフー! ワフ、ワフゥ?」

「え……?」

「キャウー!」

「あっちに皆いるの、シェリー?」


 俺達がいるテーブルや椅子のあるパビリオンの周辺を、グルグルと尻尾を振りながら回るレオ。

 嬉しそうな鳴き声と共に止まり、首を傾げて出てきた場所の方を見る……シェリーの方も、クレアの足下で止まって、同じ方を見ている。

 レオとシェリー共に、見ている方に皆がいると言っているようだけど……。


「……レオ様は止められませんでしたな」

「仕方ありません。私達の力で、レオ様を制止はできませんから。……タクミ様、クレアお嬢様、おめでとうございます」

「スゥ、スピー。むにむに……」

「セバスチャン!?」

「ライラさんも!? って、リーザもいるのか……寝ているけど」


 レオ達の見ている方を窺っていると、そこから姿を見せたのは、セバスチャンさんとライラさん。

 それと、ライラさんに抱かれて気持ち良さそうな寝息を立てているリーザだった。

 苦笑しているセバスチャンさんの横で、寝ているリーザを抱いたまま祝福するように礼をするライラさん。

 レオやリーザは、ライラさんにお願いして部屋にいるはずだったのに……。


 リーザは夜だから、眠気に勝てなかったんだろう。

 それはともかく、なんで二人はこんな所に……レオとシェリーもそうだけど。

 って、考えるまでもなく、俺とクレアの様子を窺うためなんだろな――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はページ下部から評価の方をお願いします。

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■7巻書影■mclzc7335mw83zqpg1o41o7ggi3d_rj1_15y_1no_fpwq.jpg


■7巻口絵■ mclzc7335mw83zqpg1o41o7ggi3d_rj1_15y_1no_fpwq.jpg


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神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移


完結しました!
勇者パーティを追放された万能勇者、魔王のもとで働く事を決意する~おかしな魔王とおかしな部下と管理職~

申し訳ありません、更新停止中です。
夫婦で異世界召喚されたので魔王の味方をしたら小さな女の子でした~身体強化(極限)と全魔法反射でのんびり魔界を満喫~


― 新着の感想 ―
[気になる点] わかりきったことだけどやっぱり覗いてたか… それにしても仕える立場の人間がお嬢様の告白を覗き見ってどうなんだろ 不敬だよね(笑)
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