表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転移したら飼っていた犬が最強になりました~最強と言われるシルバーフェンリルと俺がギフトで異世界暮らしを始めたら~【Web版】  作者: 龍央


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1248/2000

見た事のない魔物もフェンリルが狩って来ました



 そういえば、見間違えじゃないかとレオに言われて思い出した。

 初めてラクトスに来た時、ニックを引き入れたばかりのならず者たちが、レオを見てウルフと言っていたから以前はそちらの方が馴染みがあったんだろうけど。

 従魔にしている人がいるとはいえ、レオやフェリーを連れている俺達は特に目立つから、今では町の住民はフェンリルの方が見慣れていると言っても過言ではない、と思う。


 だから、遠目にそれらしい姿を見ただけで、本当はウルフなのにフェンリルと見間違えた……と考えるのが自然かな。

 レオや今いるフェンリル達によれば、今いないどころか近付いた気配も残っていないくらいだからな。


「ありがとうございます、お聞きして良かった。見間違いの線も考えて、周辺を調べるとともに調査致します」


 見間違いかも、とわかってホッとした様子の衛兵さん。

 待ちの近くに俺やレオが把握していないフェンリルがいて、もし街の人が……いや街が襲撃されたらと考えて、気が気じゃなかったんだろう。

 フェンリルはそんな事しないと俺は思うが、知らない人からしたら恐ろしい魔物だからな。


「はい。あ、でももし本当にフェンリルだった場合は……」

「もちろん近付きません。タクミ様方がいない時に、フェンリルと接触したいとは……正直、近くにいる今も圧倒されるばかりですから」

「ははは……」

「ガウゥ?」


 俺に敬礼し、近くにいるフェンリル達を見て苦笑しながら、去っていく衛兵さん。

 見られたフェンリルは、よくわからず首を傾げているだけだった――。



「ワフ」

「お、戻ってきたか」

「ガウー!」


 衛兵さんとの話から数分くらいだろうか、リーザとじゃれていたレオが森の方へ顔を向ける。

 俺もそちらを見ると、森から勢いよく大量フェンリルが走って来ているところだった……何か、それぞれが口に咥えたり背中に乗せていたりするんだけど……?


「ガウ、ガウガウ~」

「……随分、大猟だったんだなぁ」


 戻ってきたフェンリル達は、自分達の狩りの成果を誇るように俺の前へと、倒した魔物を積み上げた。

 魔物を積み終わったフェンリルは、褒めて欲しそうにしながらお座りまでしている……最後の方は、咥えていた魔物を放り投げていたけど。


「オークに、サーペントもいるのか。他には……」


 アウズフムラはいなかったようだけど、オークをメインに色んな魔物が数種類、混ぜこぜになって積み上げられている。

 しっかりと咥えたせいなのか、牙の跡がある以外はほぼ全て凍っており、その状態で運びやすいように幾つかに別けられているのもあった。

 さすがにウルフなどの獣はいなかった……うん? そうか、避けたのか。

 狩る魔物も選別したみたいで、ウルフなどの獣系の魔物は見つけても見逃したらしいと、レオが通訳して教えてくれた。


「これは、見た事ないな……なんて魔物なんだろう?」

「グルゥ?」

「ワフワフ」


 完全な形を保って凍っている魔物はいなかったから、他にも見た事のない魔物がいたのかもしれないけど、いくつか俺が確実に見た事のない魔物がいた……というかあった。

 首を傾げる俺に、フェンリル達だけでなくレオも首を傾げていた。

 まぁ、魔物の特徴や名称なんて、そんなに詳しくないよなぁ……。


「その魔物は……ゴブリンですね。それもおそらく、リーダー格かと」

「ゴブリン、ですか……」


 観察する俺に、ライラさんが覗き込んで教えてくれる。

 ゴブリンと言えば、ゲームとかではよく雑魚敵扱いの魔物……物語とかでは、場合によって厄介な敵にある事もある。

 大体は複数で群れを作り、集団で人を襲う魔物だったはずだけど。

 顔と思われる部分は、鼻が異様に長く肌は青みがかった緑で小さな牙と角が生えていて、ゲームとかで見たゴブリンの姿に近いか。


「その通りです。ゴブリンは集団で人間や他の魔物を襲います。肉食ではないにも関わらず、イタズラに他者を襲う魔物として嫌われています」


 いつもポーカーフェイスな事が多いライラさんにしては珍しく、ゴブリンを見るその表情は嫌悪感を示して歪んでいる。

 説明する口調も冷たい気がするし……オークとかトロルドを見ても、そんな反応をしなかったのに。

 それだけ、ゴブリンが生理的に受け付けないとか嫌われている証左だろうか。


「肉食じゃないんですね……歯というか牙は、肉を好んで食べそうなんですけど」


 牙は肉食獣のようにとがっているため、それこそ肉を好んで食べそうな感じだったけど、違うのか。


「木の根を食べると言われています。ですので、森を棲家とする魔物からも嫌われているとか」

「ガウゥ!」


 ライラさんの言葉を証明するように、勢いよく頷くフェンリル。

 他のフェンリルも頷いているし、邪魔だから見つけて狩ってきたってところだろう。


「ワフワフウ、ワーフワフ。ワウガウワウー」

「成る程……木がなきゃ森じゃなくなるもんな」


 レオによると、森がなくなるくらい見境なく、しかも若木の根を食い散らかすから放っておくと、森の木が減っていくとか。

 詳しいな、と思ったら近くにいたフェンリルにレオが聞いたようだ。

 ブレイユ村で聞いたけど、森の木を伐り出す人間でも伐採する木は無差別には伐らず、森を狭めてしまわないよう気を付けているとか。


「ゴブリンの醜悪さは他にも、先程申しましたように集団で人間を襲う際、自分達が優位だと思うと弄び始める事でもあります」


 概ね、俺が知っているゴブリン像と似ているな。


「魔物が相手だとどうなのかはわかりませんが、いたぶって弄び、痛みを与えて苦しむさまを喜んでいるのだとか。少々なら道具を扱う知能を持っているのもまた、その性質の悪さを助長しているようです」

「そうなんですね……」


 顔をしかめたまま、ゴブリンの事を語るライラさんは、嫌っている以上に憎しみも感じている様子に見えた。

 ゴブリン相手に、過去何かがあったのだろうか?

 まぁ、ライラさんの説明を聞いている俺も、そういった場面を想像してあまり気分のいいものじゃないけど……。

 ちなみに後で聞いた話だけど、日本の物語などで時折人間の女性を襲うなんて、さらに醜悪な行動をする話があるが、そういった事はないらしい。


 だから安心……なんて事はないが、ちょっとだけホッとしてしまったのはある意味、日本人だからかもしれない。

 とにかくゴブリンは自分達以外の他者を、いたぶって楽しむという最悪な知能を持っている魔物って事のようだ――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はページ下部から評価の方をお願いします。

また、ブックマークも是非お願い致します

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍版 第7巻 8月29日発売】

■7巻書影■mclzc7335mw83zqpg1o41o7ggi3d_rj1_15y_1no_fpwq.jpg


■7巻口絵■ mclzc7335mw83zqpg1o41o7ggi3d_rj1_15y_1no_fpwq.jpg


■7巻挿絵■ mclzc7335mw83zqpg1o41o7ggi3d_rj1_15y_1no_fpwq.jpg


詳細ページはこちらから↓
GCノベルズ書籍紹介ページ


【コミカライズ好評連載中!】
コミックライド

【コミックス6巻8月28日発売!】
詳細ページはこちらから↓
コミックス6巻情報



作者X(旧Twitter)ページはこちら


連載作品も引き続き更新していきますのでよろしくお願いします。
神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移


完結しました!
勇者パーティを追放された万能勇者、魔王のもとで働く事を決意する~おかしな魔王とおかしな部下と管理職~

申し訳ありません、更新停止中です。
夫婦で異世界召喚されたので魔王の味方をしたら小さな女の子でした~身体強化(極限)と全魔法反射でのんびり魔界を満喫~


― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ