表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転移したら飼っていた犬が最強になりました~最強と言われるシルバーフェンリルと俺がギフトで異世界暮らしを始めたら~【Web版】  作者: 龍央


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1205/2000

少しだけ過保護だったようでした



「今日はあんまり構ってやれなかったな……」


 寂しがらせていた事を申し訳なく思いながら、背中から手を移動させてリーザの両耳ごと頭を撫でる。


「うん。デリアお姉ちゃんや、フェリー達もいてくれたけど……やっぱり、パパやママと一緒がいいよう……」

「……ワフ」


 お、拗ねていたレオが小さく反応した。

 レオもリーザの事が気になるようだ……それでもまだ、丸まったままなのは変わらないけど。


「そうだなぁ、やらないといけない事があったんだけど……リーザをほったらかしにしていい理由にはならないよなぁ」


 リーザをデウルゴに近付けたくなかった、というのは俺の考えだ。

 けどリーザは、そんな事関係なく俺やレオと一緒にいたかったんだろう……詳しい事情を話していないのもいけなかったかもしれない。

 あと、従業員さん達もまだ屋敷にいるわけで、皆はリーザの事を優しく見守ってくれているようだけど、リーザにとっては慣れない人達がいっぱいいる状態だからな。

 それもあって余計に俺達がいない事で、寂しさを感じたのかも?


「うー、ごめんなさい。我が儘で……うー……」

「いや、いいんだよ。リーザはもっと我が儘でもいいんだ。リーザを一人にしないって決めていたのにな……」


 撫でながら話しているからか、先程とは違ってリーザの尻尾も少しずつ動き始めている。

 そんな中、再び唸るリーザは寂しかったと俺に言う恥ずかしさや、我が儘と思われないかの不安もない交ぜになっている様子。

 上手く感情を整理できない感じだな……まぁ子供なんだから、それくらいの事があって当然か。


「……パパが悪いんじゃないって、リーザわかっているの。さっき、ヴォルグラウからも聞いたよ? 悪い人に、リーザを会わせたくなかったんだよね?」

「あー、うん……まぁ」


 うつ伏せ状態のリーザは、顔を横に向けてちらりと俺を見上げつつ、話す。

 リーザにはバレていたのか……いや、ヴォルグラウにリーザには話さないようにとか、頼んだりもしていないからな、伝わってしまうのは仕方ない。

 俺やレオがティルラちゃんと話している時、話を聞いたんだろう。

 リーザはギフトとか関係なく、ヴォルグラウと会話できるわけだし。


「デリアお姉ちゃんからも、聞いたら教えてくれたんだ。パパは、リーザが嫌な思いをしないように、連れて行かなかったんだって」

「そ、そうだな……」


 デリアさんからも漏れていた!

 いやまぁ、こちらもリーザには話さないでとか言っていないし、もともとデリアさんは俺がリーザに秘密にする事は反対していたからなぁ。


「でもね、リーザね……パパやママと離れている方が、よっぽど嫌だよ? リーザ、何か言われたりイジメられるのには慣れてるもん。でも、パパとママに置いて行かれるのは嫌……」

「うん、うん。そうだな……本当にごめん」


 これは、俺が間違っていたんだとリーザに言われて気付く。

 慣れている事に対しては、それでもリーザに向けられたくない事ではあるけど……ほぼ一日俺やレオと離れて過ごした事で、逆に色々考えさせてしまったのかもな。

 デウルゴと直接会わせなくても、クレア達のように別室にいさせるとか、一緒に行く方法があったのにと、今更ながらに考えて反省する。

 ……ほんの少しだけ、過保護過ぎたのかもしれないな。


「だから、我が儘かもしれないけど……もうリーザと離れちゃ嫌だよ……」


 再び、顔をベッドに埋めるリーザ。

 泣いているわけではないと思うけど、尻尾も萎れてしまっているので、俺に拒否されるのを怖がっているんだろう。

 俺が、リーザのお願いを拒否するなんてあり得ないのにな……よっぽど無茶なお願いだったら、さすがに考えるけど。

 だからって、リーザの事を嫌がるとか邪険に扱う事は絶対にない。


「大丈夫、我が儘なんて思わないから」


 そう言いつつ、できるだけ気持ちが伝わるようにリーザの頭を撫で続ける。

 少しでも、リーザが安心してくれるように。


「これからは、ちゃんと事情を話すようにするからな? それで、リーザがどうしたいか聞くようにする。寂しくならないように、できるだけ離れない。約束するよリーザ」


 結果的に我慢させてしまう事になるかもしれないけど、それでも何も言わずに寂しい思いをさせるよりはマシだろう。

 これからは、過保護になり過ぎないようにちゃんと話をしないとな。


「うん。リーザは大丈夫だから。パパやママが、リーザの事を考えているってわかっているんだけど……でも、離れている方がよっぽど嫌な事だから」

「うん、うん。そうだな……俺やレオも、リーザと離れるのは嫌だから」

「うん……パパ、約束だよ?」

「あぁ、約束だ」


 そうして、少しずつ寂しさを解消して行くリーザと、ゆっくり話す。

 しばらく経った頃には、リーザの尻尾はいつものように元気にパタパタと振られ始め、安心したおかげかすぐにスヤスヤと寝息を立て始める。

 起こさないよう、ベッドに寝かせて毛布を掛ける俺の心の中では、絶対にリーザとの約束を破らないように、刻み付けた。

 視界の隅で、レオがごそごそと動きお尻をこちらに向けていたのが、顔を俺達の方へ向けて片目を開けて見ていたのを発見。


「ワフゥ……」


 俺に見られたのに気付いたからか、溜め息を吐くようにして目を閉じた。

 庭園を離れる直前の溜め息とは違って、リーザの不安が解消された事に安心した感じの溜め息だったから、レオも拗ねてはいてもリーザの事が心配だったんだろうな。

 そんなレオの様子に苦笑しながら、俺もベッドに入って就寝。

 夢の世界へと旅立つ前、寝ているはずのリーザが俺の手を掴んだのを握り返した――。



「ダグビざばー!」

「あぁはい、また会えるのでそれまでの我慢ですよ、デリアさん」

「わがっでるんでずげど……ズズ!」


 翌日、それぞれの場所に戻る従業員さんの見送り。

 まだ全員集まっていないのに、玄関ホールでボロボロ泣いているデリアさん……苦笑する俺の前で、盛大に鼻水を啜っている。

 ブレイユ村から戻る時もそうだったけど、一時的にでも誰かとの別れがあると、感極まってしまうんだろう――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はページ下部から評価の方をお願いします。

また、ブックマークも是非お願い致します

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍版 第7巻 8月29日発売】

■7巻書影■mclzc7335mw83zqpg1o41o7ggi3d_rj1_15y_1no_fpwq.jpg


■7巻口絵■ mclzc7335mw83zqpg1o41o7ggi3d_rj1_15y_1no_fpwq.jpg


■7巻挿絵■ mclzc7335mw83zqpg1o41o7ggi3d_rj1_15y_1no_fpwq.jpg


詳細ページはこちらから↓
GCノベルズ書籍紹介ページ


【コミカライズ好評連載中!】
コミックライド

【コミックス6巻8月28日発売!】
詳細ページはこちらから↓
コミックス6巻情報



作者X(旧Twitter)ページはこちら


連載作品も引き続き更新していきますのでよろしくお願いします。
神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移


完結しました!
勇者パーティを追放された万能勇者、魔王のもとで働く事を決意する~おかしな魔王とおかしな部下と管理職~

申し訳ありません、更新停止中です。
夫婦で異世界召喚されたので魔王の味方をしたら小さな女の子でした~身体強化(極限)と全魔法反射でのんびり魔界を満喫~


― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ