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異世界転移したら飼っていた犬が最強になりました~最強と言われるシルバーフェンリルと俺がギフトで異世界暮らしを始めたら~【Web版】  作者: 龍央


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コカトリスは植物に優しい魔物でした



「害になる虫を食べてくれる事で、植物が健康に育つんです。効果は、ペータさんが見た通りですね」

「確かに、この屋敷に来た時、植えられている草花の美しさは、他とは違うと感じました。そういう事だったんですね……」


 薬草で虫が寄り付かなくなるような物もあって、農業などでは使用されるらしいけど、植物に一切影響を与えないなんて事はないらしい。

 つまり、コッカー達がいれば無農薬で植物を育てる事ができ、健康に育った草花が綺麗になっているってわけだ。

 薬品を使わないといけない植物とかもあるだろうけど、それ以外なら正直、作物も含めて植物を栽培するうえで非常に有用な存在と言えるだろう。


「納得しました。そのような方法があったとは……この年まで生きて、作物や草花に関する事には相当詳しいつもりでしたが……」


 そもそも、コッカー達が植物に対してこれだけ活躍できるとわかったのは、ラーレが連れて来てくれたからだ。

 人間が近付けば逃げる魔物だし、意思疎通ができるからこそわかった事だと思う。

 危険な魔物も多いから、協力関係を考える事はなく……ペータさんが知らなくても無理はない。


「まぁ、魔物を利用してというのは、あまり考えられていないみたいですからね。人が植物の世話をするのは大変ですけど、この屋敷の草花は全てコッカー達だけで管理してくれています」


 もちろん、水や土に肥料、剪定は使用人さん達がやってくれているんだけど。

 見栄えやちゃんと管理された草花を、と考えなければコッカー達がいれば十分だ。

 水は雨で、肥料もなんとかなるし剪定はする必要がないから。


「コカトリスが多い森は、木や草花が良く育つ……と言われております。タクミ様の仰るような理由もあったのですね」 


 納得したペータさんは、何度も頷いてコッカー達を見る。

 コッカーとトリースはその視線に、羽根を広げてアピール……顔に羽根が当たって、ちょっと邪魔だけど。

 森の掃除屋と呼ばれるコカトリスは、大きな森を管理しているんだろう、本人達にその意識がなくとも、植物にとって有害な物を食べて排除しているから。

 大きく質のいい木材が採れる森には、必ずコカトリスがどこかにいる……と言われているんだとか。


「あとは、人の手じゃ取れない虫もいるようですね。目で見えない、といった方が正しいかもしれません」


 よーく見れば、何かいるかなくらいの小さな虫もいるようで、人間の手入れだと見逃しがちどころか、わからない虫も、コッカー達はついばんで食べてくれる。

 ペータさんが気にする程、綺麗に育っている理由の多くはそちらにありそうだ。


「成る程、成る程……コッカーとトリースでしたか。コッカー達は、ランジ村に連れて行くのですな」

「あー……」

「ピピ?」

「ピィ?」


 ペータさんに言われて、そういえばコッカー達をどうするかを考えていなかったのを思い出した。

 肩に乗っているコッカーとトリースは、羽根を畳んで首を傾げている。

 んー、コッカー達はラーレが連れてきたし、今では屋敷の景観を保つのに活躍してくれている。

 ティルラちゃんとラーレはこのまま屋敷に残るのだし、コッカー達はそのままここで頑張ってもらう方がいいだろうな。


「あ、ちょうどいいところに。ライラさん」

「はい、何か御用でしょうかタクミ様?」

「えっと、コッカー達の事なんですけど……」


 ちょうど食べ終わったお皿を下げていたライラさんが通りかかったので、呼び止めて聞いてみる。

 クレアやティルラちゃんとで、コッカー達の事を話しているかもしれないから。

 ……そう思っていたら、本当に話が済んでいたらしい。


 コッカー達はラーレが連れてきて面倒を見る事になっているので、このまま屋敷に留まるようになっているとの事だ。

 レオやシェリーがいなくなる屋敷で、コッカー達もいなくなったらティルラちゃんも寂しがるから、ちょうど良かった。


「ありがとうございます、ライラさん」

「いえ、それでは。また何かございましたら、声をお掛け下さい」


 教えてくれたライラさんにお礼を言って、食事会に参加している皆の歓待に戻ってもらう。

 歓待と言っても、配膳や初対面の人達に話題を提供するくらいだけど。


「……せっかく薬草園を作られるのに、こんなに有用だとわかっていても連れて行かないのですか?」

「元々、植物の栽培に利用するためというわけではないですからね」


 ラーレは屋敷に来るフェンリルが増えた事で、自分と同じ鳥型の魔物も一緒に、と思っただけらしいからなぁ……連れて来る時は、ほぼ攫ったような状況だったけど。

 人攫いならぬ、鳥攫いだ。

 コッカー達は自分達が食べられないように、生きるために仕事ができると示したわけで……レオが涎を垂らしていたのが、一番怖かったそうだ。

 魔物同士で思う事はあれど、俺やクレア、ティルラちゃん達は最初から利用しようとは考えていなかったからなぁ。


「薬草園は、俺の『雑草栽培』を使うので、虫に害されるとか、健康に育つかはあまり気にしていませんでしたからね。でも……成る程、そういう事も考えた方がいいのか……」

「タクミ様?」

「ペータさん、簡易薬草畑は見ましたか?」

「え、あ、はい。見させて頂きました。あれだけ様々な種類の薬草が育っているのは、初めて見ました」


 俺が戻って来るまでに、ペータさんは屋敷で『雑草栽培』の研究のために作った、簡易薬草畑を見ていたらしい。

 裏庭にあるし、アルフレットさん達は予定通りに進めてくれたみたいだな。


「あれは、『雑草栽培』で作った薬草が、摘み取らずに増えるかどうかを一番の目的としているんですけど……」


 『雑草栽培』で作った薬草を、その場で摘み取るのならそれでいい。

 虫が付くとか、育ち方が悪いなんて事は一切考えなくていいからな。

 ただ、数を増やそうとすると『雑草栽培』の力の影響が少なくなっていく……具体的には、増えた側の植物は育つ速度が遅かったりだな。

 それ以後も増やしたり、薬草畑として機能させていくなら、コカトリスがいるとずいぶん楽になるはず。


 増えていく薬草は段階を追うごとに通常の薬草と同じになるわけで、当然ながら虫も付くし、病気になったり土が合わなければ枯れてしまうのを確認している。

 コッカー達も、簡易薬草畑の事は気にしてくれていて、連れて来られた時以降も何度かくちばしで虫を捕まえて食べているのを見かけた。

 『雑草栽培』で作れる量に限度がある以上、畑で増やさないといけないから、考えなきゃいけない事だ――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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