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異世界転移したら飼っていた犬が最強になりました~最強と言われるシルバーフェンリルと俺がギフトで異世界暮らしを始めたら~【Web版】  作者: 龍央


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1103/1999

違和感の元になった原因が判明しました



「……わ、わかりました……お話します」

「はい」


 観念したのか、俯きながら言うウィンフィールドさん。

 余計な事を言わないように、頷いて返事だけをしておいた。


「タクミ様の仰る通り、私はいずれ貴族に……という考えが強いようなのです……」


 ゆっくりと話し始めるウィンフィールドさんの話……やっぱり、聞いていた通り貴族への考えがなくなったわけではなく、いずれはと思っていたようだ。

 両親はさっきウィンフィールドさんが言ったように、本当に貴族への憧れとかはなく、ただ公爵家に仕える使用人として過ごしているらしい。

 けど、使用人として忙しい両親の代わりに、祖父母が幼い頃のウィンフィールドさんの面倒を見てくれたらしいんだけど、その時に……なんというか、いずれ貴族へとの考えを捨てないよう言われ続けていたらしい。

 父親側の祖父母らしいけど、父親を育てる時は自分達が忙しくあまりそういった教育ができず、だったら孫のウィンフィールドさんにと考えての事だったらしい。


 その他には特に問題のある祖父母ではないし、面倒を見てくれた祖父母には感謝もしているらしく、両親との仲も良好ではあると。

 けど、成長して自分も公爵家の使用人となったウィンフィールドさんは、貴族と関わるうえで段々と教え込まれた考えが大きくなっていったのだとか。

 まぁ、公爵家の使用人なんだから、貴族と関わるのは当然なんだけど。


「なんとも、厄介な教育を受けたものです」


 そう自嘲気味に言うウィンフィールドさんは、苦しんでいるように表情を歪めている。


「私が貴族に返り咲く事はできない、いや、いずれはどうにかして……という考えが浮かんでは消え、浮かんでは消えるのです」


 祖父母の事を憎んでいるとか、そういった感情ではないんだろう。

 どうして浮かんで来る考えを完全に消せないのか、そればかりを考えている様子に見えた。


「結局、望みは捨てきれず……ある程度受け入れて、やれるだけの事をやってみよう、と決意した矢先の事です。本邸でタクミ様の事を聞きました」

「……俺の事、ですか?」


 エッケンハルトさんとは親しくさせてもらっているし、クレア達姉妹の事もある。

 レオの事も含めて考えると、俺に関する事が本邸で話題に上る事だってあるだろう。

 ウィンフィールドさんはどんな事を聞いたのか、先を促す。


「あれは使用人が集まる場でしたか……そこで旦那様が、話していたのです。タクミ様を貴族に……と」

「エッケンハルトさんが……?」


 確かに、以前俺を貴族に……みたいな話をされた事はある。

 あれはエッケンハルトさんじゃなくて、ユートさんだったからだったと思うけど。


「正確には、家令の方から旦那様に話をしていたようですが……旦那様も、機会があればというような事を仰っておられたのです」

「機会があればって、俺にその気はないんですけど……」

「はい、そう伺っております。ただ、今は隣の伯爵領……いずれ子爵領となるようですが、そことの関係で……」


 ウィンフィールドさんが聞いたのは、バースラー伯爵が行った悪事により、もし領地を治める貴族が変わるとしたら……という内容だったようだ。

 俺はレオというシルバーフェンリルを従え、フェンリルとも仲良くなっている。

 そのうえクレアやエッケンハルトさんとも親しく、公爵家も後ろ盾として推奨できるのではないか……という話だったらしい。

 結局のところ、ユートさんの温情もあって伯爵家は子爵家に降格、しばらく王家が領地を治めていずれアンネさんに引き継いでとなった事で、変わる事はないんだけど。


 ともあれ、先の事として子爵家が今後安定せず、本当に貴族家が交代する事になる場合や、別の場所でそういった事があった場合に公爵家としては俺を推してはどうかという話になっていたらしい。

 エッケンハルトさんはともかくとして、本邸の人とは会った事がないのに、家令の人からそういった話が出るというのは、それだけクレアやエッケンハルトさんと親しくしていて信頼されているからか。

 いやまぁ、レオと一緒にいる事が一番大きいか……シルバーフェンリルの影響力おそるべしだな……ジョセフィーヌさんとか、家訓が影響しているんだろうけど。


「それで、ウィンフィールドさんは、俺に対して何か思うところがあった……という事ですか?」

「そこまで見抜かれていたのですね……はい、お恥ずかしい話ですが、私の貴族の推薦への道は途絶えたのだな、と理解しました。そして、タクミ様という人物に対する思いもその時に……」

「そういう事ですか……」


 はぁ……エッケンハルトさんが、俺の知らない所で話していた事が元凶だったとは……まぁ、家令の人が言い出した事みたいだが。

 アンネさんやバースラー伯爵など、これまでの状況が重なった結果でもあるのかもなぁ。


「こうして面と向かって話をしていると、どうしてと思いもしますが……消えぬ貴族への憧れが、タクミ様への感情となっておりました……」


 まぁ、できれば自分が推薦されたい……と思っている所に、全然知らない別の人間が話しに出てきたら、その人に対して悪い感情を抱いてもおかしくはないか。

 人間は嫉妬や妬みの感情を持つ者だし、気を付けていても知らない所で恨まれていたりもする……それが誰のせいでもなくても、だ。


「申し訳ありません。タクミ様には全てを見抜かれていたご様子。こんな私は、タクミ様の使用人にも、公爵家の使用人にも相応しくありません」


 見抜いたのは俺じゃなく、クレアやリーザなんだけど……それも、はっきり恨みのような感情というわけではなく、違和感というくらいで

 ウィンフィールドさん自身、複雑な感情で恨みや妬みだけではないのかもしれないけど……それで相応しくないとまでは俺は思わない。


「別に構いませんよ。俺に何かを仕掛けたり、害をもたらしたりしたい……とまでは考えていないようですし」


 複雑な思いがあっても、俺に対して何かをというわけではない様子だからな。

 クレアやリーザも、悪感情とまでは感じていなかったようだし、俺へはっきりとした悪意を向けていたら、それこそレオが察知していそうだ。

 人の考えは自由であるべき……というのは俺の勝手な考えだけど、そもそも貴族へ憧れていずれは自分も、と思う事自体は悪い事じゃないはず――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

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[一言] 更新有り難う御座います。 嫉妬・羨望・隔意か……。
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