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レオは鍛錬に賛成なようでした

「……それに……クレアを守るのにも必要かもしれんからな……」

「お父様、それは一体どういう事ですか?」

「いや……もしクレアと一緒になったら、男であるタクミ殿が守るべき事だろう?」

「そんな!? 私とタクミさんが一緒になるなんて!?」


 エッケンハルトさんの言葉に、クレアさんが真っ赤になっている。

 ……んークレアさんは美人だから、俺よりもっと相応しい人がいると思うんだけどなぁ、それに俺なんかじゃクレアさんに申し訳ない。

 というかエッケンハルトさん、まだクレアさんにお見合い話を持ってくる癖みたいなのが治ってないのかな……? 今まで長い間そうして来たからかもしれないけど……。


「姉様とタクミさんならお似合いです!」

「ティルラまで!?」


 話を聞いていたティルラちゃんまで、クレアさんを俺に推して来た。

 セバスチャンさんも、ニヤリとした笑みを隠そうとしていない……皆して俺とクレアさんをくっつけようとしてるのかね?

 ……なんでこんな話になったんだろう……。


「……それはともかく、エッケンハルトさん。俺が武器を学ぶ場合、どうしたら良いですか?」

「あぁ、そうだな……」


 俺が話を変えるためにエッケンハルトさんに声を掛ける。

 ちょっと強引だったかもしれないが、話が変わった事にクレアさんはホッとした表情で、セバスチャンさんは不満そうな表情だ。

 この執事さんは……まったく。


「タクミ殿にはまず、私が剣を教えよう」

「エッケンハルトさんが?」

「……お父様の悪い癖がまた……」


 どうやら俺にはエッケンハルトさんが教えてくれるらしい。

 公爵家の当主が自らっていいんだろうか……?

 見た目がゴツイ山賊風なのもあって、剣が扱えるのは何も不思議じゃないけどな。

 クレアさんの方は溜め息を吐くような仕草だ。


「タクミさん、お父様は見込みのある人を見つけるとすぐに剣を教えたがるんです。この屋敷の護衛の方達も何人かはお父様に教えてもらった経験があります」

「それは凄いですね。エッケンハルトさんはそんなに剣の扱いが上手いんですか?」

「そうですな……旦那様は王都の騎士団長に勝つ程の腕前です。この国ではトップクラスの実力でしょう」

「はっはっは。騎士団長は日頃の鍛錬が足りてないようだったからな。全く、団長だからと事務仕事ばかりやってるからだ」

「旦那様、騎士団長はその名の通り騎士団を纏める者なのです。裏方仕事が多くなるのも無理はありませんよ」


 エッケンハルトさんは凄い剣の達人だったみたいだ。

 そんな人に教えてもらえる俺は運が良い……のかな……厳しそうだけど……。


「剣は全ての武器の基礎だからな。剣が扱えるようになれば他の武器も慣れるのが早くなる」

「……お父様の持論です」


 剣が全ての基礎というのを俺がわかるわけじゃないが、どれか一つの武器でも扱えるようになれば、他の武器に慣れるのが早くなるというのはわからないでもない。

 刃物を扱うという事にまず慣れないといけないけど。


「よし、食事が終わったら早速鍛錬だ!」

「……お父様、タクミさんは先程までギフトを使っていたのですよ。ギフトの過剰使用による弊害は伝えたはずですけど」

「……確か、急に倒れるんだったか?」

「その通りです。ギフト使用がどう作用するのか、わかってる事は少ないのです。今日は止めておいた方が無難でしょうな」

「うぅむ……しかしな……武器は出来るだけ早く鍛錬を始めた方が……」


 食後にすぐ鍛錬を開始しようとしたエッケンハルトさんを、クレアさんとセバスチャンさんが止める。

 さっきまで『雑草栽培』を使って薬草を作ってたけど、今の所何も疲労とかは感じて無いから大丈夫だとは思う。

 けど、以前倒れた時も急な事で何も疲労は感じて無かったからなぁ。

 無理をしないために今日は止めておいた方が良いのかもしれない。

 鍛錬とギフトで使う体力的なものが同じかどうかはわからないけどな。

 エッケンハルトさんが、今すぐにでも鍛錬を始めたそうにしているのをクレアさんとセバスチャンさんに止められるのを眺めつつ、昼食は終わった。

 部屋に戻って一息。

 レオと一緒に戻って来て、さっきの話を思い出している。


「剣の鍛錬かぁ……レオ、俺に必要だと思うか?」


 ベッドの端に腰を下ろしながら呟く。

 剣というものに憧れみたいなのがあるにはあるが、実際に扱うとなるとしり込みしてしまう。

 剣を持つという事は相手を傷つける可能性があるという事でもあるからな。

 しかし、エッケンハルトさん達が言うように自分の身も守らなければならない。

 レオを残して俺だけ死ぬわけにもいかないから。


「ワフ」


 レオは俺の言葉に頷くように返事をする。

 レオも俺が武器を扱えるようになる事には賛成なようだ。

 確かにレオが付いてこられない場所もあるから、離れてしまう事もあるだろう。

 それにいつまでもレオにばかり守られるというのも気が引ける。


「そうだな、エッケンハルトさんもやる気になってるんだから、やるだけやってみるか」

「ワフワフ」


 俺が気を取り直して、剣の鍛錬に前向きになると、レオは嬉しそうに鳴きながら尻尾を振ってくれた。

 どうやら、レオは俺が戦えない事を心配してるみたいだ。

 レオに心配をさせてるままじゃいけない、か。


「ありがとうな、レオ。いつまでもお前に守られてるだけじゃ駄目だからな。頑張ってみるか」

「ワフ……ワフゥ」


 そんな事は気にしなくてもいいよとばかりに首を振るレオだが、いつまでもレオにばかり頼っててもいけないからな。

 やると決めたからには前向きに、だ。

 どこまでやれるかわからないし、そもそも素養が無いかもしれない。

 だけど、自分の身はある程度自分で守れるようになりたいと思う。

 剣を使うための決意をしていると、部屋の外から声が聞こえた。


「タクミ様、よろしいでしょうか?」

「はい? どうぞ」


 部屋の外からノックの音と一緒に聞こえたのはセバスチャンさんの声だ。

 どうしたんだろう……契約関係は昨日のうちに済ませたし、何か用がある事ってあったっけ?

 俺はベッドから立ち上がり、部屋の扉を開けてセバスチャンさんを部屋に招き入れた。


「ワフ」

「レオ様はご機嫌がよろしいようですな」

「ははは。俺が剣の鍛錬を受ける事を決めた事が嬉しいらしいです。自分の身を守る手段が無いのはレオに心配をかけてしまってたようなので」

「そうですか。これでレオ様の心配も少しは軽減されるかもしれませんな」




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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― 新着の感想 ―
[一言] 魔法にしろ科学にしろいくら進んでたとて命が軽んじられてる世界で護身すら出来ないのは自殺志願者以外何者でもない。特に学べる環境があるのにだ。物理、魔法無効に即死無効、状態異常無効の特殊能力があ…
2020/01/31 17:55 退会済み
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