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異世界転移したら飼っていた犬が最強になりました~最強と言われるシルバーフェンリルと俺がギフトで異世界暮らしを始めたら~【Web版】  作者: 龍央


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1032/2000

滝を発生させそうな人がいました



「次は……フェリーとフェンの様子を見て、リルルの方を見ないってのはないな。レオ、リルルとシェリーが走っている方に近付いてくれ」

「ワフ!」


 こうなったら全員の様子を見て、声をかける事に決め、レオに頼んでリルルとシェリーが走っている方へ。


「あ、タクミ様! レオ様とリーザ様もー!」

「ははは、チタさんは元気だなぁ。――リーザ、あの前に乗っている女の人がチタさんで、その後ろにいるのがエミーリアさんだ」


 一生懸命走っているシェリーの邪魔をしないよう、レオに動いてもらってリルルに近付く。

 リルルの背中の上で、俺達が寄って来るのに気付いたチタさんが、大きく手を振りながら声をかけてきた。

 苦笑しつつ手を振り返して、リーザにチタさん達の名前を教える。


 昨日一応それぞれ紹介し合っていたんだけど、アルフレットさんやヴォルターさん達を見て、まだあまりしっくりきていなさそうだったからな。

 多分、まだ顔と名前が一致していないんだろう……一気に初対面の人が十人だから、仕方ない。


「えーっと、チタお姉ちゃんと、エミーリアお姉ちゃん……だね。――おーい!」

「ワフ!」

「わぷ……リーザ、尻尾を振るのはいいけど、後ろに俺がいる事も覚えておいてくれ?」


 元気なチタさんを見て、触発されたのかリーザが声をあげて手を振り返し、レオも大きめに鳴いた。

 ただ、リーザを支えている俺の顔に、二つの尻尾がバッサバッサと当たる。

 楽しそうなのは俺としても喜ばしいけど、息がしづらいからもう少し控えめにお願いしたい……毛がフサフサで気持ちいいんだけどな。


「リーザ様、楽しそうですね!」

「うん、楽しいよ! ママやパパと一緒に走るの楽しい! でも……もう少し速いともっと楽しいかなぁ?」

「リーザ、今日は新しくきた皆がフェンリル達になれるためだからな。速度は控えめにしないと」


 チタさんは満面の笑顔で、叫ばなくても声が届く位置まで来た俺達……リーザに話し掛ける。

 俺から見ると、チタさんの方が楽しそうだけどな。

 ともあれ、リーザはもっと速くレオに走って欲しそうに呟いたが、さすがに俺達はともかく慣れない人達ばかりなので、速度を出したらさらに恐怖心を植え付けてしまいそうだ。

 ヴォルターさんとか特に……。


「た、タクミ様……」 

「あー、エミーリアさんはちょっと苦手ですか?」

「申し訳ありません。フェンリル達が、人を乗せて走ってくれる。危害を加えるような怖い存在じゃないって事は、よく理解できたのですが……」


 チタさんの背中に抱き着くようにして、顔を青ざめさせて声を出したのはエミーリアさん。

 ヴォルターさんみたいに騒いだりはしていないけど、その様子を見れば誰が見ても苦手だろうなとわかる顔色だ。


「エミーリアさんは、馬に乗るのも苦手なんです」

「じ、自分の足で移動しないというのは、どうも慣れなくて……それに、揺れるとどうしても……」

「うーん、昼食もあまり食べていないらしいですし、それもあって酔いやすいのかもしれませんね」


 フェンリルとか関係なく、エミーリアさんは単純に乗り物に弱いみたいだ。

 馬や馬車よりは、レオやフェンリル達の方が揺れは少ないけど、全くないわけじゃないからなぁ……こればっかりは、体質だろうから仕方ない。

 空腹や寝不足でも、乗り物酔いしやすくなってしまうから、今回はそれも影響しているんだろうし。


「いえ……少量しか食べていなくて正解でした。おそらく、満腹になっていたら……うっぷ!」

「ちょ、ちょっとエミーリアさん! 私の背中にエンジェルフォールは止めて下さい!?」

「だ、大丈夫ですか、エミーリアさん!?」


 突然、チタさんの背中に口を押し付けるエミーリアさん。

 驚いて叫ぶチタさんだけど……エンジェルフォールって、確か地球で一番大きな天使の滝って呼ばれる、滝の事だったよな?

 慌てて声をかけつつ頭の中で考えるが、多分吐いたり戻したりって事を言っているんだろう、と勝手に納得。

 そのまま言うより、綺麗な表現なのかもしれないけど微妙にわかりづらい……しかも地球にあるはずのエンジェルフォールって……誰か地球からこちらの世界に来た人が、伝えたんじゃないかな。


 ナイアガラの滝とかって表現は、なんとなく聞いた事あるし。

 ユートさんかな? いや、なんでもユートさんのせいにしちゃいけないか。

 それに、エンジェルフォールは日本の滝じゃないし。


「な、なんとか……だ、大丈夫です」

「エミーリアお姉ちゃん、どこか痛いの?」

「い、いえ……痛いわけではありませんけど……うぅ……」

「ほ、本当にエンジェルフォールは止めて下さいね!?」


 込み上がる物を飲み込んだのか、抑え込んだのか、堪えるようにしながら話すエミーリアさん。

 優しいリーザが心配するけど、痛みとかはないから大丈夫だぞー。

 うーん、チタさんは楽しそうだったのに、エミーリアさんの様子から一気に天国から地獄だな。

 エンジェルフォールだから、天使の滝から落ちて悪魔が待ち受けている、とか? なんてどうでもいい事が頭に浮かんだ。


「はははは……リルルに乗っている状態でこれなら、ラーレに乗ったセバスチャンさんやヨハンナさんより、深刻だなぁ」


 本格的に、酔い止め薬みたいなのを考えないといけないかもしれない……とは言え、薬草でそういう効果がある物がなければ、俺にはどうしようもないけど。

 酔い止め薬の作り方なんて、知らないから。

 というか、俺は乗り物酔いをあまりしない体質だから、お世話になった事もないんだよなぁ……当然成分や作り方なんてわかるわけがない。


「あ、そういえば……」

「どうされましたか、タクミ様?」

「いや、ちょっと思い出した事があったんですけど……まぁなんにせよ、皆大分フェンリル達に慣れ始めているようだし、もう少し我慢して下さいね、エミーリアさん?」

「うっぷ……ふぁ、ふぁ~い……」


 酔わない方法として、一つ心当たりというか使えそうな方法が浮かんだけど、今すぐは試せない。

 チタさんには申し訳ないけど、もう少しリルルに乗る楽しさを感じながら、背中に迫る恐怖を我慢していて欲しい。

 エミーリアさんに声を掛けたら、なんとか我慢できそうだったし、きっと大丈夫だろう……返事に元気は全くなかったが――。



読んで下さった方、皆様に感謝を。


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夫婦で異世界召喚されたので魔王の味方をしたら小さな女の子でした~身体強化(極限)と全魔法反射でのんびり魔界を満喫~


― 新着の感想 ―
[一言] 更新有り難う御座います。 ……[滝]ってそう言う……。
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